短編集
創作元:文豪ストレイドッグス
キャラ:太宰治 中原中也
-----------
僕は君に何時も何処でも、何もかも勝っていた
だけど唯一つ、認められないモノがあった
『 ち ゅ ー や 、首領が呼んでた』
「おう、今行く」
優しく、平仮名混じりの可愛らしい声で彼を呼ぶ、まるで 彼 女 に 色 が つ い た よ う だった
彼もまた、優しく弾んだ声色で 彼 女 の頭を少し撫でてから、その場を去る
『..............』
その後の 彼 女 は、頬を赤て視線を下へと向ける
なんて乙女なんだろう
「.....○○」
『....ぁ.. 太 宰 さ ん』
僕の声で現実に戻されたように 彼 女 は顔を上げる
何時もの無機質な声ではなく、少し優しさが残っている甘い声に胸が弾む
彼奴が居なくなってから必ず僕は○○に声を掛ける
○○の少しでも甘い声をこちらに向けて欲しかったから
『..... 太 宰 さ ん ?』
何も言わない僕を不思議に思ったのか、少し首を傾げながら無機質な声で僕に問う
身長差で必然的に上目遣い気味になる○○に、理性を覚える
「いや、やっぱりなんでもないよ」
何も無かった訳ではないが、はぐらかすのは何時もだ
そんな僕の心情を読み取ったのか○○は少し間を置いて「そうですか」と言い、踵を返して行った
○○の意識が先程迄、此方に向かれていた。そんな事が嬉しいだなんて、僕も人の事は言えないのかもしれない
--------------------------------------------
今日、「織田作之助」こと、織田作が亡くなった
何処か心に隙間ができたように感じた
織田作と仲の良かった○○もまた、心に隙間ができたように出てきた
でもやはり、 彼 女 の心の中心には彼が居るように感じた
まるで、隙間を埋めるように、彼の存在が 彼 女 にとって大きくなるように、大切になるように
この時、"本能"で私は 彼 女 に手を伸ばしたのだろうか
「○○、一緒に"人 を 救 う"仕事をしよう」
『.............そうですね』
無機質な声で○○が言う
○○と私の手が触れ合い、小さな音が鳴る
○○はずっと俯いていて何を考えているか、どんな表情か分からない
でも、○○の世界はとても モ ノ ク ロ で 、 色 が つ い て い な い よ う に思た
何故私の手を取ったのか、何を思って考えて「そうですね」と言ったのか........何も分からない
○○はずっと私の謎だ
そして、私が初めて手に入れたいと思って、手に入れられないモノ
彼 女 の脳内の裏にはやはり彼、「中 原 中也」が居るのだろうか
何故?僕は彼に戦闘も、頭脳も、価値も、全てにおいて勝っていた
何故?何故............一番欲しいモノは、勝ちたいモノは.....
だから、少し彼にとっての最大の嫌がらせを私は残していく
嫌がらせなんて散々してきた
けど、君にとっては"コレ"は人生にも響く嫌がらせなんじゃないだろうか
いいだろう?だって私は君と 彼 女 が居るだけで、嫌がらせだったんだから、
彼 女 の心は、君のモノだったんだから、奪ったとて、奪えないモノ
でも君にとっても一番大切な 彼 女 を、私は奪い取る
彼 女 を掴む腕の力が一層強くなる
(このまま何処までも)
このボタンは廃止予定です