短編集
私には両親がいない。正確には亡くなっただが
それも"私のせいで"
『あーぁ............』
空を見上げながらあの日を思い出す
《○○、逃げなさい!!》
《絶対に戻ってくる》
2人が第一次大規模侵攻で、トリオン体に着替えて、凛々しく戦う姿
でも、数が多くて押されていた時のこと
2人は近くに居た住民を逃すために、"自分たちで"隙を作った
《おかあさん.......おとうさん........え、は.......》
まぁ、そこからは想像にお任せする
空を見上げていた眼を、前へ向け進む
もう空は橙色だ、そろそろ帰る時間
私は荷物を取り、教室のドアに手を掛ける
「おっ、"両親亡くし"は今から帰んの〜?」
『...........』
私の両親が居ないことをいつも揶揄ってくる男子。日常茶飯事で、他は見て見ぬ振り
自分は両親が居ないから分かんないだろうねきっと.......そんな想いを込めながら睨みつける
「事実だろ?両親いないとかかわいそぉ〜!もしかして、
お前のせいで居なくなったとかっ!?」
一つの足音が響く
彼等は笑いながら言ったその言葉の重さを知らない
確かに両親が居ないのは事実だけど、それを引きずっていてもお母さん達が喜ぶわけない。そんな想いを込めながら溜息をついた
「あ?なんでため息なんかついてんだよ」
『くだらないと思って』
そうキッパリと言い放って、目の前の男に中指を見せる
男の怒りの声色なんて知らぬふりをして、私は踵を返し前を向いて歩いた
[明朝体]過去に笑われても中指立てろ[/明朝体]
(今を生きろ)
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出水dis
俺のクラスには両親が居ない子がいる。第一次近界民大規模戦で、亡くなったらしい
そのことで両親を亡くした人は多分何十人も居る、ただその子がこのクラスに居るだけ........なのに
そのことを揶揄う男子がいる
「おっ、"両親亡くし"は今から帰んの〜?」
『...........』
例のその子、「●●○○」が帰ろうとすると彼はいつも、こう言う
別に今に始まったことじゃない、俺が入ったってどうなることじゃないと、一歩距離を置いている
彼女はゆっくり振り返り、男の瞳を捉えて逃がさないよう睨みつけた
「事実だろ?両親いないとかかわいそぉ〜!もしかして、
お前のせいで居なくなったとかっ!?」
"お前のせいで居なくなった"と言う言葉に反射的に、足が動いた
流石にそれはねぇだろ、お前その言葉がどんだけのもんか.........
2歩程度踏み出した時、一つのため息が聞こえた
「あ?なんでため息なんかついてんだよ」
『くだらないと思って』
そうキッパリと言い放って、彼女は目の前の男に中指を見せる
多分見ていた人が全員驚いただろう。俺もその1人だ
注目の的の彼女は視線なんて知らぬふりをして、踵を返し前を向いてドアを開けた
俺はそんな彼女を見て呆然としていた
中指を立てた?普通何をされるかわからなくて、抵抗できないんじゃ...........?
ドアをふわりと閉めた彼女の横顔見て、俺は思った
「..........かっけー.........」
とても凛々しく、まるで今しか生きていないような、そんな勇気ある横顔だった
俺はそんな横顔を追うように彼女を追いかけた
(誰かに似ている)
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