短編集
[太字]心攫い競技[/太字]
今日晴れた日。私たち「青葉城西高校」は体育祭が始まっています。
『あつい"........』
皆んなが「頑張れー」と、やる気のない応援をしている中、借り物競走で走者は走り回っている
そして一つの叫び声が聞こえた
「はあっ!?」
皆んな、なんなだなんだと、声の方へ向く。声の主は青葉城西のアイドル、及川徹だった。どこがアイドルなんだか
無理に決まってるくない!?公開処刑だって!と、叫び続ける及川。同級生はともかく、後輩からの「キラキラッ及川徹☆」のイメージは消え去ったな
《及川選手どうしたんでしょうか!?頭を唸らせて、とても考え込んでいます!そんなに難しいお題だったのか!?》
放送部からの合いの手が入り、より騒がしくなる。
及川は何やら考え込んで、覚悟を決めた様子だ
「もぉ、こんなこと本当にあるんだねっ!?」
《及川選手!何やら覚悟を決めた様子です!さぁ、向かう先は....................》
及川がくるりと踵を返して、こちらを見る
《3年生だーっ!!》
何やら目が合った気がするが、気のせいだろう。なんてったって、私は列の最後尾だ。1番目立たない、影もある場所を選んだのだ。サボりやすい.........
「及川〜!」
「好きピでも探しにきたか〜?」
「モテ男は受け付けてません〜」
「うるさいよっ!?」
皆が口々に言っていく中、及川は列の前に来て、人を掻き分けていく。
皆さん元気..........
そう思うと、手を掴まれた。
『えっ』
「○○っ、来てくれるっ!?」
一気に、体育祭が盛り上がる声がした。
尚、私は困惑中
『えっ、私?』
「●●○○さんですよね!?貴方!」
『あっ、はい』
必死の形相で言われるものだから、思わず返事をしてしまった。
そしたら「ごめん!」と謝られて、何が?と返す前に、膝と首の間に腕を通された
『うぅわぁ!?』
「ごめん!速く行きたいから!!」
《おぉーっと!及川選手ここで、●●○○さんを
"お姫様抱っこ"!!》
会場が一層盛り上がる。
『っちょ......!落ちるっ!』
「ちゃんと捕まってて!落とさないから!」
《及川選手!これは女を攫う競技ではありませんので、丁重に扱ってあげてくださいね!》
落とさないからと、言った及川の顔は真剣で、でも顔を赤らめて、少し.......かっこいいと思った
その頃及川は、「うるさいよっ放送部!」と喚いていた。ははっ.........ちょっと楽しいかも
《及川選手!●●さんを抱えて、共に一位でゴール!!》
及川がゴールテープを切り、ゆっくりと私を下ろす。私の身体から温もりが消えていき、少し寂しかった
「はい、おだいっ.........!」
お題の紙を回収係へと息を切らしながら渡す及川。回収係が中身を確認して何やら、急ぎ目で放送部へと渡しに行く
《ん?なにやら、面白いお題だったようだ!走ってこちらへ来ている!普段走らないくせに!》
『そんな面白いお題だったの........?』
少し疑問に思った。こわっ
放送部に受け渡されて、放送部が中身を確認する
《えぇー、お題は...........[大文字]っえ!?[/大文字]》
放送部が中身を確認し、驚いた音が校庭に響き渡る。みみこわれる........
《おっ、お題はなんとっ!!》
及川がくるりと真剣な顔をしてこちらを向いた。及川の真剣な顔に驚き、私も少し、身構えて待つと
「○○、好きだよ」
《"好きな人"だーっ!!!》
鼓動の高鳴りを感じた
(心も奪われた)
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