地獄の底へ行ったとしても
#1
__昔から、失敗をしてばかりだった。
間違えて、しくじって、謝ってばかりで。
そんな自分が…、大嫌いだった。
[水平線]
「……」
絵を描きながら、そういえばと思い出す。
そうだ、今日は僕の誕生日だ。
「…まぁ、祝ってくれる人なんて居ないし……はぁ、こんなクソの誕生日なんて」
誰も、僕の誕生日なんて、喜んではくれないだろう。それどころか、どうして生まれたのなんて言われる気すらある。自分自身ですらそう思ってるし。
__だけど。
「大瀬くん、ちょっとドアを開けてくれないかな?」
突然、ドアをノックされた。声は、理解さんのものだった。
「え……なんだろ」
昔は、ドアを開けることを怖がってたけど、今ではそんなことなくて。みんな、変なだけで怖くないんだと分かってからは、恐怖はなくなった。
「はい……」
「大瀬くん、ちょっとこっちまで」
「え…」
[水平線]
「い、いきなりどうしたんですか…。こんなクソ吉を呼ぶ理由なんて…、とうとう処刑とかですか?公開処刑?」
「そんな事しないから。ほら、こっちこっち」
理解さんはそういって、僕をリビングまで連れて行った。
「うぅ……」
どんな事があるんだろう、ついに僕の人生も終わってくれるのか、なんて想像する。
だけど、実際は真反対だった。本当に、真反対だった。
「えっ…」
「ほら、今日は大瀬くんの誕生日だろう?みんなでお祝いするんだ」
リビングは、きらびやかで楽しそうな雰囲気の飾り付けがされてあった。テーブルにも、ケーキや美味しそうな食べ物が並んでいる。
「えっ、と……。最後の晩餐?」
「違いますよ!今日はお誕生日会です!」
いおくんがそう言う。いおくんは笑顔で__いや違う、みんな笑ってた。嘲笑いとかからかいじゃない、喜んでるような、幸せな人特有の笑みを浮かべていた。
「大瀬くん、おめでとうございます」
「おめでとー、オバケくん!」
「俺はゼッテー祝わねー」
「…猿川くん。大瀬くんのお誕生日を祝っちゃ絶対にだめだよ?」
「誕生日おめでと、この野郎」
みんな、バラバラながらも誕生日を祝ってくれた。ああ、こんなやつの誕生日なんて、祝わなくてもいいのにな…?
[水平線]
__僕の誕生日を、みんなは全力で祝ってくれた。
こんなに祝われちゃって、いいのかなとも思いはした。だけど、祝われて悪い気はしなかった。
部屋に戻った瞬間、涙がこぼれる。
「……」
でも、その涙は悲しくて出たわけじゃない。嬉し涙ってやつだった。
泣きながら、顔は笑っていて。
「…………」
心の底から笑えた。ああ、いつぶりなんだろう。こんな気持ちは。僕なんかが、こんな気持ちになっちゃっていいんだろうか。
「ああ…」
今、心の底から、笑えてる。
間違えて、しくじって、謝ってばかりで。
そんな自分が…、大嫌いだった。
[水平線]
「……」
絵を描きながら、そういえばと思い出す。
そうだ、今日は僕の誕生日だ。
「…まぁ、祝ってくれる人なんて居ないし……はぁ、こんなクソの誕生日なんて」
誰も、僕の誕生日なんて、喜んではくれないだろう。それどころか、どうして生まれたのなんて言われる気すらある。自分自身ですらそう思ってるし。
__だけど。
「大瀬くん、ちょっとドアを開けてくれないかな?」
突然、ドアをノックされた。声は、理解さんのものだった。
「え……なんだろ」
昔は、ドアを開けることを怖がってたけど、今ではそんなことなくて。みんな、変なだけで怖くないんだと分かってからは、恐怖はなくなった。
「はい……」
「大瀬くん、ちょっとこっちまで」
「え…」
[水平線]
「い、いきなりどうしたんですか…。こんなクソ吉を呼ぶ理由なんて…、とうとう処刑とかですか?公開処刑?」
「そんな事しないから。ほら、こっちこっち」
理解さんはそういって、僕をリビングまで連れて行った。
「うぅ……」
どんな事があるんだろう、ついに僕の人生も終わってくれるのか、なんて想像する。
だけど、実際は真反対だった。本当に、真反対だった。
「えっ…」
「ほら、今日は大瀬くんの誕生日だろう?みんなでお祝いするんだ」
リビングは、きらびやかで楽しそうな雰囲気の飾り付けがされてあった。テーブルにも、ケーキや美味しそうな食べ物が並んでいる。
「えっ、と……。最後の晩餐?」
「違いますよ!今日はお誕生日会です!」
いおくんがそう言う。いおくんは笑顔で__いや違う、みんな笑ってた。嘲笑いとかからかいじゃない、喜んでるような、幸せな人特有の笑みを浮かべていた。
「大瀬くん、おめでとうございます」
「おめでとー、オバケくん!」
「俺はゼッテー祝わねー」
「…猿川くん。大瀬くんのお誕生日を祝っちゃ絶対にだめだよ?」
「誕生日おめでと、この野郎」
みんな、バラバラながらも誕生日を祝ってくれた。ああ、こんなやつの誕生日なんて、祝わなくてもいいのにな…?
[水平線]
__僕の誕生日を、みんなは全力で祝ってくれた。
こんなに祝われちゃって、いいのかなとも思いはした。だけど、祝われて悪い気はしなかった。
部屋に戻った瞬間、涙がこぼれる。
「……」
でも、その涙は悲しくて出たわけじゃない。嬉し涙ってやつだった。
泣きながら、顔は笑っていて。
「…………」
心の底から笑えた。ああ、いつぶりなんだろう。こんな気持ちは。僕なんかが、こんな気持ちになっちゃっていいんだろうか。
「ああ…」
今、心の底から、笑えてる。
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