文字サイズ変更

空腹―生地獄―

#2

 

「…今日も残飯無しかあ。」
狭い路地裏にあるゴミ箱を漁り、僕――白月步磨は、残念な気持ちになった。ここ数日、生ゴミと紙・ほこりなどしか入っていない。そのため、空腹な日々が続いている。
「明日確認して、無かったら誰かの盗もうっと。」
そう呟きつつ、家の壁にもたれ掛かっていると、
「…ん?」
ほんの一瞬、空に、黒い大きな穴が開いた。かと思うと、瞬きをする間に消えていた。
「変なの…。」
きっと、疲れが出ているんだろうな。そう思い、僕は早めの就寝をとった。



「んにゃ…ふわぁ…。」
あくる日。固いコンクリートの地面から身を起こして、ゴミ箱のある所まで移動しようとした。が、足元に、何故か見知らぬリンゴが置いてあった。
「あれ…?昨日はこんなの無かったよな?」
きっと、通りすがりの人が、置いてくれたんだろう。心のなかでその人に感謝して、リンゴを一口かじる。
シャリッ
「っ…!美味しい!」
今までに味わったことが無いほど、そのリンゴは美味しかった。美味しさに感動していると、突然、頭に痛みが走った。
「うっ……!?」
その痛みと同時に、何か、知らない記憶が、頭の中に流れてくる。ぼんやりとしていてはっきりとは分からないが、男の人がどこかのお店で働いている。かと思うと、場面が切り替わり、夜の暗い道をその人が歩いている。次に切り替わった記憶は、男の人が真っ赤な血を大量に流して倒れている。そんな知らない記憶達が、僕の頭の中で渦を巻く。
「やめろ……やめろお!」
激しい頭の痛みと大量の記憶に、僕は気を失いそうだった。


しばらくして、痛みと記憶が無くなった。ほっと息をついて、僕はコンクリートに座り込む。今のは一体何だったんだろう。もしかしたら、孤児になる前の記憶が、蘇ったのかもしれない。そう自分に言い聞かせて、無理矢理落ち着かせると、僕はどっと倒れ込んで、深い眠りについた。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

自分で言うのもあれだけど、自信作です!

2024/08/01 12:50

海琉 ID:≫.p7jViiPBq/l.
続きを執筆
小説を編集
/ 3

コメント
[0]

小説通報フォーム

お名前
(任意)
Mailアドレス
(任意)

※入力した場合は確認メールが自動返信されます
違反の種類 ※必須 ※ご自分の小説の削除依頼はできません。
違反内容、削除を依頼したい理由など※必須

盗作されたと思われる作品のタイトル

※できるだけ具体的に記入してください。
特に盗作投稿については、どういった部分が元作品と類似しているかを具体的にお伝え下さい。

《記入例》
・3ページ目の『~~』という箇所に、禁止されているグロ描写が含まれていました
・「〇〇」という作品の盗作と思われます。登場人物の名前を変えているだけで●●というストーリーや××という設定が同じ
…等

備考欄
※伝言などありましたらこちらへ記入
メールフォーム規約」に同意して送信しますか?※必須
小説のタイトル
小説のURL