＿＿此の時期、彼女らは気が滅入りながらも、或る「準備」をする。
準備とは、一言で言えば、彼女らのライバル兼仲間である「猟犬」との、分隊間交流に関するものだ。
「はぁ…。戦いたくないですねぇ」
「…そうだな」
猟犬と蓋世は、二ヶ月に一度程の頻度で、分隊間交流と称し、ちょっとした格闘を行う。
蓋世は、何時も相手の猟犬に負けてばかり。最初は、隊員一同気合が入っていたが、次第にその士気は下がっていった。
「まぁ、鍛錬あるのみだな…」
「ですねー…。頑張りますか。[漢字]霧立[/漢字][ふりがな]きりたち[/ふりがな]さんは、この後どうするのですか？」
「嗚呼、小生は木刀を振ってくる。蘭世は？」
「私はちょっと体力の方を…」
霧立が用意した鍛錬場にて、二人は話をしていた。次の分隊間交流に向けて、鍛錬をしているのだ。
「士気は下がっている」と言ったが、彼女らに一切のやる気が無いわけではない。少しぐらいは、彼らに下剋上を果たしたい、という気持ちもあるのだ。
「よし、じゃあ行ってきますね」
「嗚呼。小生は此処に居るから、何かあったら言ってくれ」
「はい」
蘭世はそう言うと、少し場所を移動した。霧立は、豪快に水を飲んでから、立ち上がり木刀を振り始めた＿＿。