二次創作
世界でいちばんやさしい嫌われ者
「やん……ま?」
僕の一番最初の仲間であると言っても過言ではない彼。
でも、僕を見つめる彼の目は、嫌悪に満ちていた。
「よーやく会えたな。ギラ。」
しくじった。ンコソパ製の監視カメラの視界に入ればすぐにバレてしまうのに。
空腹のあまり城の近くへ行ってしまった。
リタさんが留守ってことはわかってた。パピントの声が聞こえなかったから。
けれど、監視カメラのことはすっかり頭から抜け落ちていた。
「逃げるのは上手ぇんだな。」
「なに、を。
……ナーッハッハッハ!!俺様は、那由他の罪を犯した邪悪の王!!
逃げてなどない!!貴様らを潰す機会を狙っていたのだ!!」
一度はやらなくてもいいと言われたその演技。
彼の眼の前で、二人きりのときにやるのはいつぶりだろう。
一番最初は見抜かれた。それも出会って最初に。
けれど今、彼は僕を本当の邪悪の王だと信じてやまない。
だって僕は、世界中から邪悪として嫌われているから。
「……そうかよ。じゃぁ、遠慮なくいかせてもらうぜ?」
Tone boy!!という音。
王様たち、いや。ヤンマなら話せばわかってくれるかもと心のどこかで思っていた。
仲間と呼ぶことを、初めて許してくれた彼なら。
けれど、そうじゃなかった。
王様たちは今、洗脳されているのか。
ヒルビルの能力によって。でも___。
【ゴーマに作ってもらった特殊なスイッチなんだ!】
ゴーマの能力ということは、確かに洗脳に近くても、彼らは実際に僕を嫌っている。
僕のことを体の芯から拒絶している。
それがとても辛かった。
ダンッという音とともに、腕に激痛が走る。
ヤンマが、銃弾を放ったのだった。
ヤンマに容赦というものはなく、間を開けずに二発目、三発目を僕は食らってしまう。
ツンとした血の匂い。けれどそれは、時間を置かずに消えていく。
「へえ。おもしれぇ。でも、いつまで耐えられるかな!?」
触発されたのか、銃弾を放つ勢いはどんどんと早くなっていく。
何度も舞い上がる赤い血しぶき。
下の雪は血の色に染まり、僕の身体も血だらけだ。
けれどもどんなに傷が深かろうと、数十秒すれば傷口は塞がる。
なんで。そう思った。
昔からだった。僕の身体は、怪我をしてもすぐ治ってしまっていた。
どんなにひどい怪我でも。
「なんで……。」
ヤンマの信じられないという顔。
僕は隙ありと近づいて、ヤンマの手から銃を弾き飛ばす。
「クワゴン!!!」
そしてクワゴンを呼び寄せると、僕は走って逃げる。
ヤンマを傷つけられるほど僕の精神は強くない。
食料は手に入らなかったけどもういいや。
逃げよう。逃げよう。どこまでも。
もう、王様たちの見えない場所へ。
……いや。
【そのかわり、楽しませてくれないと承知しないよ?】
ダグデドが今来ないのは、僕のこの状況を見て楽しんでいるんだろう。
きっとすぐに飽きが来る。
だったらもう、シュゴッダムにでも行って、嫌われたほうがいいのかな。
僕の身体は大丈夫。
僕の心もまだ大丈夫。
どっちもまだ、きっと正常。
やれる。ダグデドのためじゃない。みんなのため。
もうこれ以上、このチキューで侵略を犯させないため。
―ギラ、大丈夫?―
気がつけばそばには、クワゴンがいた。
僕はなんとか笑顔を作るとクワゴンに乗り込み、そっと座り込んだ。
―ギラ。―
「行こうか、クワゴン。」
半ば言葉を遮るようにして促す。
もうちょっと前の僕だったら、『大丈夫。』って言えただろう。
ヤンマに会う前だったら、笑顔を繕うこともなかっただろう。
君はわかってるんだよね?そのことを。
君は僕で僕は君だもの。
でも僕は、揺らがないよ。自分で決めた道だから。
「シュゴッダムへ。」
僕の一番最初の仲間であると言っても過言ではない彼。
でも、僕を見つめる彼の目は、嫌悪に満ちていた。
「よーやく会えたな。ギラ。」
しくじった。ンコソパ製の監視カメラの視界に入ればすぐにバレてしまうのに。
空腹のあまり城の近くへ行ってしまった。
リタさんが留守ってことはわかってた。パピントの声が聞こえなかったから。
けれど、監視カメラのことはすっかり頭から抜け落ちていた。
「逃げるのは上手ぇんだな。」
「なに、を。
……ナーッハッハッハ!!俺様は、那由他の罪を犯した邪悪の王!!
逃げてなどない!!貴様らを潰す機会を狙っていたのだ!!」
一度はやらなくてもいいと言われたその演技。
彼の眼の前で、二人きりのときにやるのはいつぶりだろう。
一番最初は見抜かれた。それも出会って最初に。
けれど今、彼は僕を本当の邪悪の王だと信じてやまない。
だって僕は、世界中から邪悪として嫌われているから。
「……そうかよ。じゃぁ、遠慮なくいかせてもらうぜ?」
Tone boy!!という音。
王様たち、いや。ヤンマなら話せばわかってくれるかもと心のどこかで思っていた。
仲間と呼ぶことを、初めて許してくれた彼なら。
けれど、そうじゃなかった。
王様たちは今、洗脳されているのか。
ヒルビルの能力によって。でも___。
【ゴーマに作ってもらった特殊なスイッチなんだ!】
ゴーマの能力ということは、確かに洗脳に近くても、彼らは実際に僕を嫌っている。
僕のことを体の芯から拒絶している。
それがとても辛かった。
ダンッという音とともに、腕に激痛が走る。
ヤンマが、銃弾を放ったのだった。
ヤンマに容赦というものはなく、間を開けずに二発目、三発目を僕は食らってしまう。
ツンとした血の匂い。けれどそれは、時間を置かずに消えていく。
「へえ。おもしれぇ。でも、いつまで耐えられるかな!?」
触発されたのか、銃弾を放つ勢いはどんどんと早くなっていく。
何度も舞い上がる赤い血しぶき。
下の雪は血の色に染まり、僕の身体も血だらけだ。
けれどもどんなに傷が深かろうと、数十秒すれば傷口は塞がる。
なんで。そう思った。
昔からだった。僕の身体は、怪我をしてもすぐ治ってしまっていた。
どんなにひどい怪我でも。
「なんで……。」
ヤンマの信じられないという顔。
僕は隙ありと近づいて、ヤンマの手から銃を弾き飛ばす。
「クワゴン!!!」
そしてクワゴンを呼び寄せると、僕は走って逃げる。
ヤンマを傷つけられるほど僕の精神は強くない。
食料は手に入らなかったけどもういいや。
逃げよう。逃げよう。どこまでも。
もう、王様たちの見えない場所へ。
……いや。
【そのかわり、楽しませてくれないと承知しないよ?】
ダグデドが今来ないのは、僕のこの状況を見て楽しんでいるんだろう。
きっとすぐに飽きが来る。
だったらもう、シュゴッダムにでも行って、嫌われたほうがいいのかな。
僕の身体は大丈夫。
僕の心もまだ大丈夫。
どっちもまだ、きっと正常。
やれる。ダグデドのためじゃない。みんなのため。
もうこれ以上、このチキューで侵略を犯させないため。
―ギラ、大丈夫?―
気がつけばそばには、クワゴンがいた。
僕はなんとか笑顔を作るとクワゴンに乗り込み、そっと座り込んだ。
―ギラ。―
「行こうか、クワゴン。」
半ば言葉を遮るようにして促す。
もうちょっと前の僕だったら、『大丈夫。』って言えただろう。
ヤンマに会う前だったら、笑顔を繕うこともなかっただろう。
君はわかってるんだよね?そのことを。
君は僕で僕は君だもの。
でも僕は、揺らがないよ。自分で決めた道だから。
「シュゴッダムへ。」
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