世界でいちばんやさしい嫌われ者
フラピュタル城、隠し部屋。そこでヤンマはヒメノに説教を食らっていた。
「なんでこんなことになるまで無理したの?」
女王、ヒメノ・ランの圧に、ヤンマは小さくなることしかできない。
隣にはこれまた怖い顔をしたシオカラがいるので、顔を上げることすらできない。
「いい?栄養は全ての資本なんだから、ちゃんと取りなさい。
三食栄養価偏ってるでしょ。このままだと栄養指導する羽目になるけど。」
ヒメノがやってくれるんならまんざらでもないというつぶやきを飲み込んで、ヤンマは隣のベッドに座るギラを見る。
「??どーしたの、ヤンマ。」
「いや、迷惑、かけたな。」
言いたいことはたくさんあった。
大丈夫か、とか。まだ起きないほうがいいんじゃねぇの、とか。
けれど、今のギラについて、ヤンマは何もわからない。
わからないやつに変に気遣いかけても地雷を踏むだけだとヤンマは知っている。
でも。
「ううん、僕は何も。」
目の光は日をまたぐにつれ薄れていっている。
カメラ越しに見る彼の顔はどんどんやつれ、自らよりも細くなっていく。
「本当に何も、ないのかよ。」
弟みたいなものだった。
初めて出会ったときから、ずっと。
何も知らなかったギラに、いろいろなことを教えた。
一緒に美味しいものを食べたりもした。
あいつが初めてハンバーガーを食べた時の、あの顔は忘れられない。
ラクレスが兄だとわかっても、
国王になっても、変わらない。
甘っちょろいけど、優しくて、強い。
自分にはないものをもった弟分なのだ。
「な、、なに……?」
不安がる姿に少しだけ、彼の本音が見えた気がした。
きっと想像できないほど苦しかったろう。
自分はこんなことを言える立場じゃないんだろう。
きっと………ラクレスがこの場にいたならば、ギラを傷つけずに慰めてやれるんだろう。
でも、自己満足だとわかっていても。自分にはこれぐらいしかしてやれない。
ヤンマはベッドから降りると、ギラを抱きしめた。
「やん……ま……?」
「泣いていいって、言ってんだよ。」
目覚めた時、自分のことを拒絶してほしかった。
受け入れられたのが、とてもぐちゃぐちゃとした感じたことのない感情を湧き上がらせた。
けれど、人を拒絶できるような力を持っているのなら彼は、人のために自ら嫌われようなんて思わないだろう。
彼の優しさは、この世界でも稀有。
だから…………。ちょっとでも感情が表に出てくれれば、いいなと思った。
いつの間にかヒメノはその場にはいなかった。
二人だけのその空間。やっぱり少しだけ、ギラは細くなっている。
「ごめ、、ぅ……ぁ……うぁぁぁ!!」
何度傷つけてしまったのだろう。ギラの体は傷だらけだった。
何発弾を当ててしまったのだろう。
正気じゃなかったとしても、自分が信じられなかった。
「ほんとに、ごめんな。」
助けられなかった。救えなかった。
何で自分は大切なときにばかり洗脳されてるんだろう。
何でギラを守り抜けないんだろう。
「ぁぁぁぁぁ……。」
ごめんな、ごめんな。
こんなに謝罪の言葉を連呼したのは初めてだ。
今の自分は、総長じゃない。仲間でもない。
兄としての、【ヤンマ・ガスト】。
「ごめんな、ギラ。」
「なんでこんなことになるまで無理したの?」
女王、ヒメノ・ランの圧に、ヤンマは小さくなることしかできない。
隣にはこれまた怖い顔をしたシオカラがいるので、顔を上げることすらできない。
「いい?栄養は全ての資本なんだから、ちゃんと取りなさい。
三食栄養価偏ってるでしょ。このままだと栄養指導する羽目になるけど。」
ヒメノがやってくれるんならまんざらでもないというつぶやきを飲み込んで、ヤンマは隣のベッドに座るギラを見る。
「??どーしたの、ヤンマ。」
「いや、迷惑、かけたな。」
言いたいことはたくさんあった。
大丈夫か、とか。まだ起きないほうがいいんじゃねぇの、とか。
けれど、今のギラについて、ヤンマは何もわからない。
わからないやつに変に気遣いかけても地雷を踏むだけだとヤンマは知っている。
でも。
「ううん、僕は何も。」
目の光は日をまたぐにつれ薄れていっている。
カメラ越しに見る彼の顔はどんどんやつれ、自らよりも細くなっていく。
「本当に何も、ないのかよ。」
弟みたいなものだった。
初めて出会ったときから、ずっと。
何も知らなかったギラに、いろいろなことを教えた。
一緒に美味しいものを食べたりもした。
あいつが初めてハンバーガーを食べた時の、あの顔は忘れられない。
ラクレスが兄だとわかっても、
国王になっても、変わらない。
甘っちょろいけど、優しくて、強い。
自分にはないものをもった弟分なのだ。
「な、、なに……?」
不安がる姿に少しだけ、彼の本音が見えた気がした。
きっと想像できないほど苦しかったろう。
自分はこんなことを言える立場じゃないんだろう。
きっと………ラクレスがこの場にいたならば、ギラを傷つけずに慰めてやれるんだろう。
でも、自己満足だとわかっていても。自分にはこれぐらいしかしてやれない。
ヤンマはベッドから降りると、ギラを抱きしめた。
「やん……ま……?」
「泣いていいって、言ってんだよ。」
目覚めた時、自分のことを拒絶してほしかった。
受け入れられたのが、とてもぐちゃぐちゃとした感じたことのない感情を湧き上がらせた。
けれど、人を拒絶できるような力を持っているのなら彼は、人のために自ら嫌われようなんて思わないだろう。
彼の優しさは、この世界でも稀有。
だから…………。ちょっとでも感情が表に出てくれれば、いいなと思った。
いつの間にかヒメノはその場にはいなかった。
二人だけのその空間。やっぱり少しだけ、ギラは細くなっている。
「ごめ、、ぅ……ぁ……うぁぁぁ!!」
何度傷つけてしまったのだろう。ギラの体は傷だらけだった。
何発弾を当ててしまったのだろう。
正気じゃなかったとしても、自分が信じられなかった。
「ほんとに、ごめんな。」
助けられなかった。救えなかった。
何で自分は大切なときにばかり洗脳されてるんだろう。
何でギラを守り抜けないんだろう。
「ぁぁぁぁぁ……。」
ごめんな、ごめんな。
こんなに謝罪の言葉を連呼したのは初めてだ。
今の自分は、総長じゃない。仲間でもない。
兄としての、【ヤンマ・ガスト】。
「ごめんな、ギラ。」
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