世界でいちばんやさしい嫌われ者
「や、ヤンマ!!ヤンマ!!どこにいるの!!」
ンコソパ、ペタ城。城の中でギラがヤンマのことを呼び続けている。
ギラが目覚めてから一週間。ダグデドは未だ、侵攻してきていない。
ただ、ギラに謝ろうとする人々は途絶えることはなかった。
3日間、業務が謝罪を受けることのみになってしまったくらいだった。
「ぎ、ギラくん。」
「シオカラくん!!ヤンマ、どこにいるかわかる!?」
駆け寄ってきたシオカラに食いつくようにヤンマの居場所を問う。
しかし、シオカラは涙を流しながら首をふる。
「ごめんなさい、ギラくん。ヤンマくん、まだ部屋から出てきてなくて。」
「あぁぁ、シオカラくんが謝ることじゃないって!ほら、涙拭いて。」
ハンカチを出し、シオカラの涙を拭ってやると、ギラは誰も座っていない玉座代わりのゲーミングチェアを見つめた。
「ヤンマがここに座ってないって、変な感じ。
ヤンマがンコソパのテッペンにいないって違和感しかないや。」
独り言のようにそうつぶやくと、ギラは笑った。
「シオカラくん、また来るね。ヤンマによろしく伝えといて。」
ギラだって、ヤンマに会いたくないわけではない。
むしろ会いたい気持ちが強い。
けれど、ヤンマにそれを強要するつもりはない。ヤンマだって、心の整理をつけたいだろう。
「ギラくん。ごめんなさい。」
「もう!!いいよ、そんなの。
みんな謝ってくるけど、そんなのどうでもいいの。
僕は大丈夫だからさ。ね?」
シオカラの頭をぽんっと叩くと、ギラはクワゴンの方へ走っていく。
[水平線]
「本当に、よかったんすか。ヤンマくん。」
「いいんだよ。」
弱々しい声が、ヤンマの部屋から聞こえてくる。
何日もまともに食べていないからか、いくらか弱ったように見えてしまう。
「ギラくんは、ヤンマくんのこと、待ってるんすよ?」
「んなわけあるか。」
なにか理由をつけて、頑なにギラに会おうとしないヤンマに、シオカラは怒りが溜まっていく。
「俺は、赦される存在じゃねぇよ。
死ぬまで、この罪は背負ってくつもりだ。」
「いつまでそんなこと言ってんだよ!!!!」
しおれた花のように勢いを失ったヤンマに、扉の向こうからシオカラの怒号がとぶ。
「あんたは!!ンコソパのテッペンだろーが!!!!
赦されるとかそれ以前に国守るために何度も罪犯してくれただろーが!!
あんたが死ぬまでその罪背負ってくんなら、オイラも同じだ!!」
側近として、友として、ヤンマにずっと寄り添ってきたからこその、怒りの声。
弱々しいヤンマを、見捨ててはおけなかった。
「ギラくんは!!確かに、オイラたちのせいで傷ついた。
まだ、怖いって思ってるかもしれねぇよ?けどな!!
ギラくんはそれすら抑えてる理由、あんたわかってんだろうな!?」
ヤンマは言い返したいのを必死に堪え、唇を噛む。
シオカラはそのまま大声で怒りを爆発させる。
「あんたのために決まってんだろーがぁっ!!!!!!」
「……?」
「あんたが、苦しんでること、ギラくんは知ってる。
ギラくんはそれさえ背負おうとしてんだよ。
あんたの苦しみも、悲しみも、全部な。」
シオカラはドンっと扉を殴る。
何度も殴られた扉には割れそうなほどのヒビが入ってきた。
「いつまで変なプライドたててんだよ!?
ギラくんを本当に思うなら、ちゃんと謝ってこいやスカポン総長!!!」
[太字]ドガン[/太字]。
扉はシオカラの蹴りで破壊され、驚いたようにこちらを見つめるヤンマが隙間から見えた。
「しお、から……?」
「行くのか行かねーのか、はっきりしやがれ!」
それは、出会った最初の頃と全く変わっていない口調。
シオカラそのものの、言葉だった。
「ずいぶん、生意気な口、利くようになったじゃねぇか。」
「あんたに似たんだよ。」
変わってないな。側近の心は、きちんと王に届いたようである。
ンコソパ、ペタ城。城の中でギラがヤンマのことを呼び続けている。
ギラが目覚めてから一週間。ダグデドは未だ、侵攻してきていない。
ただ、ギラに謝ろうとする人々は途絶えることはなかった。
3日間、業務が謝罪を受けることのみになってしまったくらいだった。
「ぎ、ギラくん。」
「シオカラくん!!ヤンマ、どこにいるかわかる!?」
駆け寄ってきたシオカラに食いつくようにヤンマの居場所を問う。
しかし、シオカラは涙を流しながら首をふる。
「ごめんなさい、ギラくん。ヤンマくん、まだ部屋から出てきてなくて。」
「あぁぁ、シオカラくんが謝ることじゃないって!ほら、涙拭いて。」
ハンカチを出し、シオカラの涙を拭ってやると、ギラは誰も座っていない玉座代わりのゲーミングチェアを見つめた。
「ヤンマがここに座ってないって、変な感じ。
ヤンマがンコソパのテッペンにいないって違和感しかないや。」
独り言のようにそうつぶやくと、ギラは笑った。
「シオカラくん、また来るね。ヤンマによろしく伝えといて。」
ギラだって、ヤンマに会いたくないわけではない。
むしろ会いたい気持ちが強い。
けれど、ヤンマにそれを強要するつもりはない。ヤンマだって、心の整理をつけたいだろう。
「ギラくん。ごめんなさい。」
「もう!!いいよ、そんなの。
みんな謝ってくるけど、そんなのどうでもいいの。
僕は大丈夫だからさ。ね?」
シオカラの頭をぽんっと叩くと、ギラはクワゴンの方へ走っていく。
[水平線]
「本当に、よかったんすか。ヤンマくん。」
「いいんだよ。」
弱々しい声が、ヤンマの部屋から聞こえてくる。
何日もまともに食べていないからか、いくらか弱ったように見えてしまう。
「ギラくんは、ヤンマくんのこと、待ってるんすよ?」
「んなわけあるか。」
なにか理由をつけて、頑なにギラに会おうとしないヤンマに、シオカラは怒りが溜まっていく。
「俺は、赦される存在じゃねぇよ。
死ぬまで、この罪は背負ってくつもりだ。」
「いつまでそんなこと言ってんだよ!!!!」
しおれた花のように勢いを失ったヤンマに、扉の向こうからシオカラの怒号がとぶ。
「あんたは!!ンコソパのテッペンだろーが!!!!
赦されるとかそれ以前に国守るために何度も罪犯してくれただろーが!!
あんたが死ぬまでその罪背負ってくんなら、オイラも同じだ!!」
側近として、友として、ヤンマにずっと寄り添ってきたからこその、怒りの声。
弱々しいヤンマを、見捨ててはおけなかった。
「ギラくんは!!確かに、オイラたちのせいで傷ついた。
まだ、怖いって思ってるかもしれねぇよ?けどな!!
ギラくんはそれすら抑えてる理由、あんたわかってんだろうな!?」
ヤンマは言い返したいのを必死に堪え、唇を噛む。
シオカラはそのまま大声で怒りを爆発させる。
「あんたのために決まってんだろーがぁっ!!!!!!」
「……?」
「あんたが、苦しんでること、ギラくんは知ってる。
ギラくんはそれさえ背負おうとしてんだよ。
あんたの苦しみも、悲しみも、全部な。」
シオカラはドンっと扉を殴る。
何度も殴られた扉には割れそうなほどのヒビが入ってきた。
「いつまで変なプライドたててんだよ!?
ギラくんを本当に思うなら、ちゃんと謝ってこいやスカポン総長!!!」
[太字]ドガン[/太字]。
扉はシオカラの蹴りで破壊され、驚いたようにこちらを見つめるヤンマが隙間から見えた。
「しお、から……?」
「行くのか行かねーのか、はっきりしやがれ!」
それは、出会った最初の頃と全く変わっていない口調。
シオカラそのものの、言葉だった。
「ずいぶん、生意気な口、利くようになったじゃねぇか。」
「あんたに似たんだよ。」
変わってないな。側近の心は、きちんと王に届いたようである。
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