世界でいちばんやさしい嫌われ者
「……ダグデド。」
傷に走る痛みと疲労のせいで、ギラは力なく倒れ込む。
しかしその声には、普段通り闘志がみなぎっていた。
「あははっ!!最高の顔してるねぇ……ギラ?」
そんなギラを見下し笑うのは、宇蟲王、ダグデド・ドゥジャルダン。
王たちを吹き飛ばし、街を破壊し、民に絶望を見せたのがよほど楽しかったのか、先程から笑いが止まっていない。
「貴様……どれほど民を傷つければ気が済む!?」
「え〜。楽しいじゃん。そ・れ・に!!
お前らは俺様に遊ばれるために生まれたおもちゃなんだよ。
おツブのくせにエラそうに言うなぁ。」
お前が言うかとギラが返そうとするが、体が限界を訴え、無茶をしようとするギラにストップをかける。
「うっ……。」
「おーおー。可哀想に。
俺様のコピーなのになあ。
弱くてぇ、貧弱でぇ、何も守れない!!
だから何もかも失うんだよ。」
「なん……だと……!?」
怒りに顔を染めるギラに、ダグデドは一つのボタンを取り出す。
まるで本からでてきたかのような赤く丸いボタン。
それを持ったダグデドは、またニヤリと笑った。
「これはねぇ、ゴーマに作ってもらった特殊なスイッチなんだ!」
「特殊?ろくなものではないだろうよ!!」
「そうそう。お前らにとってはろくでもないものだよ〜。」
平然とそう答えるダグデドに、ギラは少し引く。
何か、恐ろしいことが始まりそうな予感がした。
「『嫌われスイッチ』。
押した奴が押したときに考えていた奴らが、押した奴を嫌いになるんだ!」
「……やはり、ろくなものではないな!!
俺様に押せというのか!?断固拒否するわ!!」
ギラがそう啖呵を切った直後、ダグデドはそっとギラの耳元でささやいた。
「お前が押せば、他のおツブ共を見逃してやるよ。」
「……は?」
「俺様のチキューお片付けをやめてやるってこと!!」
その言葉に、普段のギラだったら乗らなかっただろう。
何が隠させているかわからないダグデドの口車に、乗るわけもない。
けれど、今のギラは違った。
全身傷だらけで、王たちや子どもたちの安否はわからず、精神的にも追い詰められていた。
「[小文字]わか……った[/小文字]。」
「お、聞き分けがいいねぇ。そのかわり、楽しませてくれないと承知しないよ?」
そしてダグデドはギラの眼の前にその嫌われスイッチを出した。
「さぁ、お前が助けたい奴を思い浮かべて押せよ?」
いたずらっぽいその笑みに、何が隠されているかギラにはわからない。
ただ、皆を助けることだけを考え、ボタンを押す。
子どもたち、側近たち、王様たち、民、各国で出会ったすべての人……[打消し]一人の男を除く[/打消し]……を思い出して。
そしてこの日、シュゴッダム国王、ギラ・ハスティーは紛れもないチキュー1の嫌われ者となってしまった。
傷に走る痛みと疲労のせいで、ギラは力なく倒れ込む。
しかしその声には、普段通り闘志がみなぎっていた。
「あははっ!!最高の顔してるねぇ……ギラ?」
そんなギラを見下し笑うのは、宇蟲王、ダグデド・ドゥジャルダン。
王たちを吹き飛ばし、街を破壊し、民に絶望を見せたのがよほど楽しかったのか、先程から笑いが止まっていない。
「貴様……どれほど民を傷つければ気が済む!?」
「え〜。楽しいじゃん。そ・れ・に!!
お前らは俺様に遊ばれるために生まれたおもちゃなんだよ。
おツブのくせにエラそうに言うなぁ。」
お前が言うかとギラが返そうとするが、体が限界を訴え、無茶をしようとするギラにストップをかける。
「うっ……。」
「おーおー。可哀想に。
俺様のコピーなのになあ。
弱くてぇ、貧弱でぇ、何も守れない!!
だから何もかも失うんだよ。」
「なん……だと……!?」
怒りに顔を染めるギラに、ダグデドは一つのボタンを取り出す。
まるで本からでてきたかのような赤く丸いボタン。
それを持ったダグデドは、またニヤリと笑った。
「これはねぇ、ゴーマに作ってもらった特殊なスイッチなんだ!」
「特殊?ろくなものではないだろうよ!!」
「そうそう。お前らにとってはろくでもないものだよ〜。」
平然とそう答えるダグデドに、ギラは少し引く。
何か、恐ろしいことが始まりそうな予感がした。
「『嫌われスイッチ』。
押した奴が押したときに考えていた奴らが、押した奴を嫌いになるんだ!」
「……やはり、ろくなものではないな!!
俺様に押せというのか!?断固拒否するわ!!」
ギラがそう啖呵を切った直後、ダグデドはそっとギラの耳元でささやいた。
「お前が押せば、他のおツブ共を見逃してやるよ。」
「……は?」
「俺様のチキューお片付けをやめてやるってこと!!」
その言葉に、普段のギラだったら乗らなかっただろう。
何が隠させているかわからないダグデドの口車に、乗るわけもない。
けれど、今のギラは違った。
全身傷だらけで、王たちや子どもたちの安否はわからず、精神的にも追い詰められていた。
「[小文字]わか……った[/小文字]。」
「お、聞き分けがいいねぇ。そのかわり、楽しませてくれないと承知しないよ?」
そしてダグデドはギラの眼の前にその嫌われスイッチを出した。
「さぁ、お前が助けたい奴を思い浮かべて押せよ?」
いたずらっぽいその笑みに、何が隠されているかギラにはわからない。
ただ、皆を助けることだけを考え、ボタンを押す。
子どもたち、側近たち、王様たち、民、各国で出会ったすべての人……[打消し]一人の男を除く[/打消し]……を思い出して。
そしてこの日、シュゴッダム国王、ギラ・ハスティーは紛れもないチキュー1の嫌われ者となってしまった。
このボタンは廃止予定です