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STAR

#3

第弐歌

__高校の教室。休み時間。私はただゆったりしながら、次の授業の準備をしていた。
「ねぇねぇ、このグループ知ってるー?」
突然、友達の[漢字]海奈[/漢字][ふりがな]かな[/ふりがな]が話を始める。
海奈の片手には、スマートフォンがあった。グループということは、歌い手グループの話だろう。この子はいつもそんな子で、趣味は「新人歌い手グループ探し」だったりする。
「ん、どれよ」
「ほら見てー!これヤバくない?」
そう言って海奈が見せてきたのは__私が所属している歌い手グループ、STARの公式チャンネルだった。
「えっ!」
「ん?どうしたの?あ、まさか[漢字]琴美[/漢字][ふりがな]ことみ[/ふりがな]も、このグループを推してるのかー?」
良かった、この子が鈍感で。私はとっさに「そうなんだー」と嘘をついた。大丈夫、嘘は得意だ。
「えー偶然!いや、そんなに偶然でもないかしら。STAR最近人気だからね!」
「う、うん。人気だよねー!すごいよねー!」
「ねー!あってかヤベ、授業始まる」
授業はいつもめんどくさいが、今この時ばかりは、始業時間に感謝しようと思う。これ以上嘘ついたら、流石にボロが出そうだったから。

[水平線]
私は、ネットでは「ノル」の名前で活動している。自分で言うのも何だけど、結構人気な方だと思う。
そして、私の所属しているグループ「STAR」も、珍しい活動スタイルだが、まぁまぁ成功している。
理由はよく知らないが、ネットの意見を見る限りでは、単純に実力を評価されている、といったところだろうか。そこは素直に、とても嬉しい。
だけど、たまにSTARは隠し過ぎじゃないか、と思うこともある。
STARのメンバーには、立ち絵がない。メンバーカラーが存在しない。生配信をしなければ、オリジナルの曲もない。
この時代に、そんな歌い手グループがあるというのは、メンバーの自分でもびっくりである。
だけど__自分的には、それが心地良い。
キャラクターに惑わされず、自分の思うままに歌う。私は、それがいい。

もう、あの時みたいに、キャラクターにとらわれる活動者には__なりたくないものだ。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

これからは、ノルもとい琴美ちゃん視点で、話が進んでいきます。よろしくお願いします。

2024/06/10 20:42

水野志恩 ID:≫7tLEh4qnMjetA
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