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STAR

#1

第壱歌

「ねぇねぇ、知っとる?あれよあれ、最近の歌い手グループ」
「えー知らん、どちら様や?」
「知らんの?もう…『STAR』ってやつ!歌い手グループやけん」
「そうなん?うち興味ないわ。どないなやつ?」
「いやいや、あんた興味ない言うとるけどな、絶対好きなやつやねん!ハマるから!」
「えー、でも歌い手グループ多すぎんねん、分からん…」
「大丈夫、STARはマジですごすぎるから!」
__ある学校、教室の一角。
よく居るような若者の、彼女ら二人は、ある歌い手グループの話をしていた。
「どんなやつや?」
「あんな、STARはな。歌ってみたしか上げんねん!配信も、企画もないけん」
「え、マジなん?それ」
「マジやで、大マジや!一回YouTubeで聞いてみい。むっちゃええから!歌めっさうまいねん、あの人ら!」
「えーそうかぁ…。分かった。あんたがそこまで言うなら、とりあえず見るわ!」
「おう!マジで好きやと思うから、見てみてーな!」
彼女らが話題にしている歌い手グループ、STAR。
もちろん、話題にしているのは彼女たちだけではない。現実でも、[漢字]虚像[/漢字][ふりがな]ネット[/ふりがな]でも、彼彼女らは今、噂話で一番、聞く機会が多い人達となっているのだ。

[水平線]
『収録終わりました。音源も送ったので、MIXお願いします』
『はい、了解しました。大体3日ほどで仕上げますので、お待ちください』
『ミラージュさん、二人で歌う曲があるんですが、コラボお願いできないですか』
『分かりました。いつまでに提出すればいいでしょうか』
『決めていませんが、来週木曜日までに、できれば頼みたいです』
『分かりました。一応、曲のインストお願いします』
『こちらです』
『ありがとうございます』
__これは、STARの連絡チャット欄である。
彼らはSNSアプリを使い、すべての業務連絡などを終わらせている。そのチャット欄は、非常に簡素なものとなっていて、はたから見れば会社の正社員たちの会話か、とも思う。
だが彼らは、趣味でお金を得ているだけの、なんでもない一般人だ。歌い手は専業ではない。
『皆さん、少し良いですか』
『どうしました、ノルさん』
『聞きたいことがあったのですが、配信などを行う予定はあるんでしょうか』
『いいえ、ありません』
『そうですか、了解しました。そういえば、新しい歌ってみたなのですが、歌のMVの権利問題が…』
『分かりました、ではイラストレーターの方と動画担当の方を…』
チャット欄は、またたく間に更新されてゆく。
彼らは、今日も淡々と歌い続ける。
彼らには__それしかない。

このボタンは廃止予定です

作者メッセージ

「第壱歌」は、第一話みたいな感覚です。

2024/06/04 21:34

水野志恩 ID:≫7tLEh4qnMjetA
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