act
(隊長室…?)
空は、凪やミライと入った部屋の様子を思い出す。
「確かに、違和感はあった。でも、それが何か分からない」
「やっぱり?コンでも分かんないかぁ。んー、取れないなぁ、このモヤモヤ」
恐らく、隊長室に一度でも入ったことがある人でないと全く気付くことができないような内容だ。
だからといって、自分が気付かないのは仕方ないとは思えなかった。
それは、思ってしまえばただの言い訳になる。
「とりあえず、今日はお開きにしよ。これ以上考えても分かんないよ」
ミライの一言で、今日は解散となった。
ミライとコンはどこか遠くへ離れていった。
それを見て、空は凪に問う。
「ねぇ、凪くん。気付いてるんだよね。違和感」
「あぁ。あいつらは気付いてねぇようだけどな」
凪は、フンと鼻をならした。
「言えない理由があったんだよね、凪くんなりの」
「まぁな。今、こんな人数がいるここで言えば、伝わってほしくねぇヤツに伝わって終わりだ」
凪が珍しくアクターズをかばうような言い方をした。
「何だよ、もの珍しそうな顔しやがって。まさか、俺がここをかばってるとか思ってねぇだろうな?」
図星ではある。
が、表情によく出ていたのは自覚していたので、特に驚きもしなかった。
「まぁ、うん。珍しいなって。でも、そんなつもりはないんでしょ?凪くんのことだし」
「とんだ誤解だな。お前くらいの“オタク”なら知ってんだろ?俺がこの組織を嫌う理由ぐらい」
凪が空へ問う。
「アクターズの隊長が今の隊長になると同時に行われた、『構成改革』。それで、前とずいぶん方針が変わった。その時、凪くんと同じく、“構成改革前”の方針に戻してほしいと思った旧副隊長の“天(あま)瀬(せ)紡(つむぐ)”が抗議。新隊長はそれを拒否して、アクターズで禁忌を犯した者のみが連れて行かれる地下へと投げ込んだ。そのことを表では“失踪”としか言わなかった。この一連の流れが原因だよね」
「ああ。やっぱオタクは詳しいな」
空は凪にオタク認定されたことを、喜べばいいのか抗議すればいいのかよくわからずにいた。
「でも、ちょっと抜けてるトコがある」
「抜けてるトコ?」
今度は空が凪に問う。
「俺の“実の兄貴”が、今の隊長やってんだ」
「あ、え!?そうだったの!?」
凪からの衝撃の告白に、空は大きく驚く。
「あ、だからあの時、敬語変だったのか」
「ん?あの時?」
空の言葉に、凪が問う。
「そう!僕がずっと思ってた隊長室での違和感!」
「何が言いたい」
凪に少し困惑の色が見られる。
「えっと、まず凪くんが思った隊長室で感じた違和感っていうか大きな違いは、“新隊長が偽物だ”ってとこでしょ?でも、僕はそこじゃない。だって、隊長の姿は一般人は全く見られないんだから。僕が感じた違和感は、凪くんの“偽隊長”に対する敬語だよ。ほら、凪くん『弱みは握っているようなので』って言ってたでしょ?でも、凪くんくらい頭良いなら『握っている』じゃなくて『握られている』って言うはずって思った。で、何で『握っている』って言う、ちょっと間違った言い方をしたんだろうって。そしたら、凪くんの実のお兄さんは新隊長なんだから、相手が嘘をついているって分かって当然なんだ!だから、わざわざ言い方を変えたんだ!弱みを握ってるのは相手じゃなくて“自分”だから!相手がその真意に気付くか気付かないかのギリギリのラインで、なおかつ、僕に伝わるように!」
「お、おう・・・そこまで分かってんなら、俺からの説明は必要ねぇ・・・な」
空が早口で凪に説明する。
凪はその早口に少し圧倒された。
一応、声は潜めていたため、周囲には聞こえていないようだった。
「あとは、誰が“グル”か、だね」
「ああ。あのムカつくミライってやつが言ってた違和感も、ブラフかもしんねぇかんな。お前は明らかグルじゃねぇ。つか、グルに向いてねぇ。バカだし」
「バッ・・・」
やはり抗議をしようか、と思った。
「とりあえず、明日だ明日。今日はもう寝た方がいい。無駄に怪しまれるとめんどいかんな」
そう言って、空と凪は別れた。
空は、凪やミライと入った部屋の様子を思い出す。
「確かに、違和感はあった。でも、それが何か分からない」
「やっぱり?コンでも分かんないかぁ。んー、取れないなぁ、このモヤモヤ」
恐らく、隊長室に一度でも入ったことがある人でないと全く気付くことができないような内容だ。
だからといって、自分が気付かないのは仕方ないとは思えなかった。
それは、思ってしまえばただの言い訳になる。
「とりあえず、今日はお開きにしよ。これ以上考えても分かんないよ」
ミライの一言で、今日は解散となった。
ミライとコンはどこか遠くへ離れていった。
それを見て、空は凪に問う。
「ねぇ、凪くん。気付いてるんだよね。違和感」
「あぁ。あいつらは気付いてねぇようだけどな」
凪は、フンと鼻をならした。
「言えない理由があったんだよね、凪くんなりの」
「まぁな。今、こんな人数がいるここで言えば、伝わってほしくねぇヤツに伝わって終わりだ」
凪が珍しくアクターズをかばうような言い方をした。
「何だよ、もの珍しそうな顔しやがって。まさか、俺がここをかばってるとか思ってねぇだろうな?」
図星ではある。
が、表情によく出ていたのは自覚していたので、特に驚きもしなかった。
「まぁ、うん。珍しいなって。でも、そんなつもりはないんでしょ?凪くんのことだし」
「とんだ誤解だな。お前くらいの“オタク”なら知ってんだろ?俺がこの組織を嫌う理由ぐらい」
凪が空へ問う。
「アクターズの隊長が今の隊長になると同時に行われた、『構成改革』。それで、前とずいぶん方針が変わった。その時、凪くんと同じく、“構成改革前”の方針に戻してほしいと思った旧副隊長の“天(あま)瀬(せ)紡(つむぐ)”が抗議。新隊長はそれを拒否して、アクターズで禁忌を犯した者のみが連れて行かれる地下へと投げ込んだ。そのことを表では“失踪”としか言わなかった。この一連の流れが原因だよね」
「ああ。やっぱオタクは詳しいな」
空は凪にオタク認定されたことを、喜べばいいのか抗議すればいいのかよくわからずにいた。
「でも、ちょっと抜けてるトコがある」
「抜けてるトコ?」
今度は空が凪に問う。
「俺の“実の兄貴”が、今の隊長やってんだ」
「あ、え!?そうだったの!?」
凪からの衝撃の告白に、空は大きく驚く。
「あ、だからあの時、敬語変だったのか」
「ん?あの時?」
空の言葉に、凪が問う。
「そう!僕がずっと思ってた隊長室での違和感!」
「何が言いたい」
凪に少し困惑の色が見られる。
「えっと、まず凪くんが思った隊長室で感じた違和感っていうか大きな違いは、“新隊長が偽物だ”ってとこでしょ?でも、僕はそこじゃない。だって、隊長の姿は一般人は全く見られないんだから。僕が感じた違和感は、凪くんの“偽隊長”に対する敬語だよ。ほら、凪くん『弱みは握っているようなので』って言ってたでしょ?でも、凪くんくらい頭良いなら『握っている』じゃなくて『握られている』って言うはずって思った。で、何で『握っている』って言う、ちょっと間違った言い方をしたんだろうって。そしたら、凪くんの実のお兄さんは新隊長なんだから、相手が嘘をついているって分かって当然なんだ!だから、わざわざ言い方を変えたんだ!弱みを握ってるのは相手じゃなくて“自分”だから!相手がその真意に気付くか気付かないかのギリギリのラインで、なおかつ、僕に伝わるように!」
「お、おう・・・そこまで分かってんなら、俺からの説明は必要ねぇ・・・な」
空が早口で凪に説明する。
凪はその早口に少し圧倒された。
一応、声は潜めていたため、周囲には聞こえていないようだった。
「あとは、誰が“グル”か、だね」
「ああ。あのムカつくミライってやつが言ってた違和感も、ブラフかもしんねぇかんな。お前は明らかグルじゃねぇ。つか、グルに向いてねぇ。バカだし」
「バッ・・・」
やはり抗議をしようか、と思った。
「とりあえず、明日だ明日。今日はもう寝た方がいい。無駄に怪しまれるとめんどいかんな」
そう言って、空と凪は別れた。