act
自分以外にも、この部屋に来られる者・・・。
それすなわち、自分と同じ能力を持つ者。
「今回だけ、特別にヒントを与えましょう。力を持つ者同士、いつか協力すべき時が来るかもしれません」
とは言われても、世界は広い。
いくらヒントがあったとて、知っている人の可能性の方がはるかに低い。
「そうですね・・・。まず、一人は貴方のすぐそばに。もう一人は貴方より上に。最後の一人は、音の中です」
自分の、すぐそば・・・?
ということは、身近にいる、知っている誰か。
あとは、自分より上。
物理的な上、というわけではないだろう。
ならば、他の意味での上?
なら、地位的に、と考える方がいいのかもしれない。
あとは、一番正体がつかめない”音の中”。
比喩でも、意味がつかめない。
それに、今言われた通りだとすると、少なくとも3人はいることになる。
しかも、身近にだ。
「貴方は」
突然、アリスが言った。
「貴方は何か、転機が訪れたと感じることはありませんでしたか?」
転機、といえば、アクターズへの入隊が叶いそうなことだろう。
「その転機に関する人物が、貴方と同じ”力を持つ者”です」
そう言うと、視界がおぼろげになっていった。
ー???
やがて目が覚め、見覚えのある天井が視界にうつる。
こちらへ戻ってきたのなら、やることは一つ。
”同じ力を持つ者”を探すことだ。
(そういえば、アリスは『転機に関する人物が』とか言ってたな……)
転機はアクターズへの入隊が叶いそうであること。
それに関わる人物なら、凪やミライだろう。
そこで、見落としたことに気付く。
同じ能力者を見分ける方法が、一つもないことだ。
説明しても簡単に信じてはもらえなさそうな内容であり、理解できる人に一度で会うことなんてできるはずがない。
だが、なんとなくでも人物を特定することはできるだろう。
あるいは、目星をつけておくだけでもいいかもしれない。
そのためにできることは。
「失礼します」
不意に、病室のドアが開けられる。
入ってきたのは看護師と年配の医者だ。
「天月空さんですね」
医者が言う。
年配独特のゆっくりとした、落ち着きのある喋り方だった。
「はい」
「体調はどうですか。[漢字]倦怠感[/漢字][ふりがな]けんたいかん[/ふりがな]、少しはマシになりました?」
「はい、おかげさまで」
言われてみて気付いたが、今にも倒れそうなほど感じていた倦怠感が今はもう全くない。
「そうですか、それはよかった。もうそろそろ、次の種目を始めるそうですが、参加できそうですか?とは言っても、まあ無理して参加しなくてもいいと思いますけどねぇ」
そうか、今は体力テスト中だ。
シャトルランで見るも無残な結果を残してしまったために、このあとから挽回しなければならない。
「あぁ、ちなみに、次の種目は50メートル走だそうですよ」
50メートル走、か。
体力にあまり自信はなかったが、瞬発力には自信がある。
「ぜひ、やらせてください」
空は、自信を持って言い切った。
それすなわち、自分と同じ能力を持つ者。
「今回だけ、特別にヒントを与えましょう。力を持つ者同士、いつか協力すべき時が来るかもしれません」
とは言われても、世界は広い。
いくらヒントがあったとて、知っている人の可能性の方がはるかに低い。
「そうですね・・・。まず、一人は貴方のすぐそばに。もう一人は貴方より上に。最後の一人は、音の中です」
自分の、すぐそば・・・?
ということは、身近にいる、知っている誰か。
あとは、自分より上。
物理的な上、というわけではないだろう。
ならば、他の意味での上?
なら、地位的に、と考える方がいいのかもしれない。
あとは、一番正体がつかめない”音の中”。
比喩でも、意味がつかめない。
それに、今言われた通りだとすると、少なくとも3人はいることになる。
しかも、身近にだ。
「貴方は」
突然、アリスが言った。
「貴方は何か、転機が訪れたと感じることはありませんでしたか?」
転機、といえば、アクターズへの入隊が叶いそうなことだろう。
「その転機に関する人物が、貴方と同じ”力を持つ者”です」
そう言うと、視界がおぼろげになっていった。
ー???
やがて目が覚め、見覚えのある天井が視界にうつる。
こちらへ戻ってきたのなら、やることは一つ。
”同じ力を持つ者”を探すことだ。
(そういえば、アリスは『転機に関する人物が』とか言ってたな……)
転機はアクターズへの入隊が叶いそうであること。
それに関わる人物なら、凪やミライだろう。
そこで、見落としたことに気付く。
同じ能力者を見分ける方法が、一つもないことだ。
説明しても簡単に信じてはもらえなさそうな内容であり、理解できる人に一度で会うことなんてできるはずがない。
だが、なんとなくでも人物を特定することはできるだろう。
あるいは、目星をつけておくだけでもいいかもしれない。
そのためにできることは。
「失礼します」
不意に、病室のドアが開けられる。
入ってきたのは看護師と年配の医者だ。
「天月空さんですね」
医者が言う。
年配独特のゆっくりとした、落ち着きのある喋り方だった。
「はい」
「体調はどうですか。[漢字]倦怠感[/漢字][ふりがな]けんたいかん[/ふりがな]、少しはマシになりました?」
「はい、おかげさまで」
言われてみて気付いたが、今にも倒れそうなほど感じていた倦怠感が今はもう全くない。
「そうですか、それはよかった。もうそろそろ、次の種目を始めるそうですが、参加できそうですか?とは言っても、まあ無理して参加しなくてもいいと思いますけどねぇ」
そうか、今は体力テスト中だ。
シャトルランで見るも無残な結果を残してしまったために、このあとから挽回しなければならない。
「あぁ、ちなみに、次の種目は50メートル走だそうですよ」
50メートル走、か。
体力にあまり自信はなかったが、瞬発力には自信がある。
「ぜひ、やらせてください」
空は、自信を持って言い切った。