act
しばらく沈黙が辺りを包んだ。
空にはそれが、とても長く感じられた。
「こちらミライ。対象の確保を完了。至急、本部へ戻ります」
「了解」
すると、見つめていた資料から目をそらし、再びこちらを向く。
「ミライが帰ってくるまで、お前らはここで待機だ。その後はさっきも言ったことを試す」
『了解』
二人は声を揃えて言う。
そこから5分ほど経っただろうか。
隊長室の扉がノックされた。
「来たな」
凪が珍しく独り言を呟いた。
「失礼します」
「入れ」
静かに扉を開けて入ってきたのは、やはりミライだった。
「では教育係、頼んだぞ」
「承知しました。二人とも、行こ」
そうしてみらいに連れられ、またよくわからない部屋へと入る。
天井が高く、部屋全体の形状はおそらく立方体だろう。
そして部屋全体が白く、だが眩しくない。
不思議な部屋だった。
「ここが、今回君たちの計測をする場所!まあ、俺らがいない間色々聞いたと思うけど、体力テストとかそういうのやるから、準備運動だけしといて!」
そう言ったミライは、またどこかへ走って行った。
「あ、あと、そこ置いてる服に着替えといて!」
一瞬だけ戻ってきて、これだけ言ってまたどこかへ行った。
再び沈黙が訪れ、辺りは二人が着替える音だけで包まれる。
「お二人さーん、着替え、終わった?じゃあ、これから体力テストを始めまーす!」
白い床に黒の直線が二本走る。
「その直線の幅は、ぴったり20メートル。もしかしたら想像ついてるかも知んないけど、これからやるのは体力テストのド定番!20メートルシャトルラン!アクトの使用は自由!このシャトルランは上限を撤廃して実施するから、自分の本当の限界目指してね!」
(シャトルラン、か…アクトの使用が自由なら、あるいは…)
そう考えているうちに、音声が流れた。
<ルール説明。これから、シャトルランのルールを説明します。惹かれている直線の幅約20メートルを、ピアノの音に間に合うように走ってください。ピアノは、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、の8音が流れ、最後に低い音が鳴ります。その低音までに、反対側の直線を踏む、または越えてください。音より早く間に合った場合でも、低音が鳴るまではその場で待機してください。直線を踏む、越えることに二回続けて失敗した場合、音に間に合った回数までを記録とします。それでは、この競技を始めます。直線につま先を合わせてください。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1〉
聞き覚えのある音楽とともに、ピアノの音が流れる。
回復系のアクトなら半永久的に続けることができるが、そうなるとあとは気力の問題になる。
さて、どこまで続けるか。
凪の入隊はほぼ確実。
なら凪がこの測定を受ける意味は無いに等しい。
なら、回復系であるアクトを使用して凪の成績を上回るしか道はない。
情報集め以前に、ここに入隊するのが最優先だ。
なら、この体力テストの記録で凪を上回らないといけない。
上回ればきっと、基礎訓練付きで戦闘部隊へ入隊できるだろう。
そのための第一歩が、この体力テストだ。
空にはそれが、とても長く感じられた。
「こちらミライ。対象の確保を完了。至急、本部へ戻ります」
「了解」
すると、見つめていた資料から目をそらし、再びこちらを向く。
「ミライが帰ってくるまで、お前らはここで待機だ。その後はさっきも言ったことを試す」
『了解』
二人は声を揃えて言う。
そこから5分ほど経っただろうか。
隊長室の扉がノックされた。
「来たな」
凪が珍しく独り言を呟いた。
「失礼します」
「入れ」
静かに扉を開けて入ってきたのは、やはりミライだった。
「では教育係、頼んだぞ」
「承知しました。二人とも、行こ」
そうしてみらいに連れられ、またよくわからない部屋へと入る。
天井が高く、部屋全体の形状はおそらく立方体だろう。
そして部屋全体が白く、だが眩しくない。
不思議な部屋だった。
「ここが、今回君たちの計測をする場所!まあ、俺らがいない間色々聞いたと思うけど、体力テストとかそういうのやるから、準備運動だけしといて!」
そう言ったミライは、またどこかへ走って行った。
「あ、あと、そこ置いてる服に着替えといて!」
一瞬だけ戻ってきて、これだけ言ってまたどこかへ行った。
再び沈黙が訪れ、辺りは二人が着替える音だけで包まれる。
「お二人さーん、着替え、終わった?じゃあ、これから体力テストを始めまーす!」
白い床に黒の直線が二本走る。
「その直線の幅は、ぴったり20メートル。もしかしたら想像ついてるかも知んないけど、これからやるのは体力テストのド定番!20メートルシャトルラン!アクトの使用は自由!このシャトルランは上限を撤廃して実施するから、自分の本当の限界目指してね!」
(シャトルラン、か…アクトの使用が自由なら、あるいは…)
そう考えているうちに、音声が流れた。
<ルール説明。これから、シャトルランのルールを説明します。惹かれている直線の幅約20メートルを、ピアノの音に間に合うように走ってください。ピアノは、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、の8音が流れ、最後に低い音が鳴ります。その低音までに、反対側の直線を踏む、または越えてください。音より早く間に合った場合でも、低音が鳴るまではその場で待機してください。直線を踏む、越えることに二回続けて失敗した場合、音に間に合った回数までを記録とします。それでは、この競技を始めます。直線につま先を合わせてください。10、9、8、7、6、5、4、3、2、1〉
聞き覚えのある音楽とともに、ピアノの音が流れる。
回復系のアクトなら半永久的に続けることができるが、そうなるとあとは気力の問題になる。
さて、どこまで続けるか。
凪の入隊はほぼ確実。
なら凪がこの測定を受ける意味は無いに等しい。
なら、回復系であるアクトを使用して凪の成績を上回るしか道はない。
情報集め以前に、ここに入隊するのが最優先だ。
なら、この体力テストの記録で凪を上回らないといけない。
上回ればきっと、基礎訓練付きで戦闘部隊へ入隊できるだろう。
そのための第一歩が、この体力テストだ。