act
まずは、情報の収集から。
あの時感じた違和感の真相と、その理由を確かめる。
感じた違和感のひとつは、あの部屋での説明だと『過去を視る』らしい。
だが、過去にしてはおかしい。
話通りなら、医務室で目が覚めたときには未来にいたはずだ。
なのに、凪やミライがアクターズ養成学校にいるのはおかしい。
時系列が違いすぎる。
凪は確かに学校に行く年齢だった。
でも、天月空が処刑されたのは30年前。
なのに出会ったときと同じ年齢で、しかも学校に行っているのは、違和感を感じずにはいられない。
そして、ミライは本来なら学校には行かずにアクターズに入隊した。
なのにあの時はアクターズに入っておらず、学校に通っていることになっていた。
しかも、凪の先輩だという。
そして何より、一番の違和感。
それは、自分は天月空ではなく、アクターズの隊長であったこと。
過去を視る力なら、未来に戻る方法はあるはず。
ミライに戻るなら、またあのアクターズの新隊長になるのだろうか。
なるかもしれない。
いや、確実になるだろう。
でも、本来ならあの人物は誰なのだろうか。
自分が何者なのか掴めなければ何も始まらないが、未来に戻る方法が分からない。
集めなければいけない情報が山積みだ。
整理してもしきれない。
「では各自[漢字]定位置[/漢字][ふりがな]ポジション[/ふりがな]につけ。任務を開始しろ」
知らぬ間に、隊長室での会議が終わろうとしていた。
もちろん、考え事に必死で何も聞いていなかった。
「新人2人は残れ。伝えることがある」
四天王が一礼すると、続々と部屋を出て行った。
全員が出て行ったところで、凪が切り込む。
「で、伝えることって何ですか?」
「まず、新人として試したいことがいくつかある。ひとつは、現時点での戦闘能力の高さだ。実戦でどのくらいの実力を示せるか。それがアクターズの基本だからな」
言い終えたところで、凪が手を挙げる。
「質問。戦闘能力を測るのに、いきなり実践に放り込むのはどうかと。俺はともかく、こっちは死ぬことも十分あり得る」
そう言って、空の方へと視線を向ける。
「別に構わない。いきなり放り込まれた実戦で死ぬのなら、実力が足りなかったということだ」
「しかし、それでは隊員たちが足りなくなってしまうのでは?いくら応募が多いとはいえ、ほとんど未経験まま実戦に出されれば大きな被害が目に見えているでしょう」
凪は、少しずつ声色に熱を帯びてきている。
新人に対するあまりにも雑な対応に、怒りがふつふつとわいているのだろう。
「凪。よく見ろ。優秀な四天王もいれば、年々隊員数も増えている。それは、[漢字]アクターズ[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]でいきなり実戦に出されても問題ないという証だ。自分の考えの範疇にとどまるな。視野を広げろ」
「しかし・・・!」
凪が反撃しようとしたところに、一本の通信が入る。
「準備完了。いつでも行けます」
「了解。巨大化のアクトだ。慣れてはいるだろうが、気を付けて任務にあたれ。開始」
通信を切り、短く息をはく。
「この話はまた後でするとしよう。さて、本題に戻ろう。試したいことは他にもあるんだ。例えば、射撃能力の高さ、アクトを使用しない戦闘能力の高さ、アクト自体の具体的な使用方法。最初のもの以外はこの施設で測ることになっている。だが、測るのはミライが帰って来てからだ」
すると、何かの機械を操作し始める。
「なぜ?」
凪が聞くと同時に、隊長室の最奥にあるモニターが光る。
「ミライは、新人教育係だ。新人のことはあいつにすべて任せている」
モニターで映像が流れている。
今、隊員が戦っている様子だろうか。
四天王全員が、巨大化した[漢字]反逆者[/漢字][ふりがな]リベリオン[/ふりがな]と戦っていた。
(なぜ巨大化したリベリオン一人に、四天王が全員出撃するんだ?いつもなら、動いても小隊規模の隊員たちなのに・・・)
映像からの違和感。
これも、何か関係があるのだろうか。
「質問。ところで、副隊長は今どこに?」
唐突に凪が質問し、少し反応が遅れる。
「副隊長か?”特別な事情”があって、しばらくは戻れない。そんなに会いたかったか?」
少しからかうように聞く。
「えぇ、まぁ」
そのからかいに応えるように言った。
挑発には乗らないタイプなのだろう。
「そうか」
一言だけ言って、また机に戻り、資料を眺める。
空はモニターを眺めながら、映像の違和感を探った。
凪はただひたすら、資料を眺める様子を鋭く見つめていた。
あの時感じた違和感の真相と、その理由を確かめる。
感じた違和感のひとつは、あの部屋での説明だと『過去を視る』らしい。
だが、過去にしてはおかしい。
話通りなら、医務室で目が覚めたときには未来にいたはずだ。
なのに、凪やミライがアクターズ養成学校にいるのはおかしい。
時系列が違いすぎる。
凪は確かに学校に行く年齢だった。
でも、天月空が処刑されたのは30年前。
なのに出会ったときと同じ年齢で、しかも学校に行っているのは、違和感を感じずにはいられない。
そして、ミライは本来なら学校には行かずにアクターズに入隊した。
なのにあの時はアクターズに入っておらず、学校に通っていることになっていた。
しかも、凪の先輩だという。
そして何より、一番の違和感。
それは、自分は天月空ではなく、アクターズの隊長であったこと。
過去を視る力なら、未来に戻る方法はあるはず。
ミライに戻るなら、またあのアクターズの新隊長になるのだろうか。
なるかもしれない。
いや、確実になるだろう。
でも、本来ならあの人物は誰なのだろうか。
自分が何者なのか掴めなければ何も始まらないが、未来に戻る方法が分からない。
集めなければいけない情報が山積みだ。
整理してもしきれない。
「では各自[漢字]定位置[/漢字][ふりがな]ポジション[/ふりがな]につけ。任務を開始しろ」
知らぬ間に、隊長室での会議が終わろうとしていた。
もちろん、考え事に必死で何も聞いていなかった。
「新人2人は残れ。伝えることがある」
四天王が一礼すると、続々と部屋を出て行った。
全員が出て行ったところで、凪が切り込む。
「で、伝えることって何ですか?」
「まず、新人として試したいことがいくつかある。ひとつは、現時点での戦闘能力の高さだ。実戦でどのくらいの実力を示せるか。それがアクターズの基本だからな」
言い終えたところで、凪が手を挙げる。
「質問。戦闘能力を測るのに、いきなり実践に放り込むのはどうかと。俺はともかく、こっちは死ぬことも十分あり得る」
そう言って、空の方へと視線を向ける。
「別に構わない。いきなり放り込まれた実戦で死ぬのなら、実力が足りなかったということだ」
「しかし、それでは隊員たちが足りなくなってしまうのでは?いくら応募が多いとはいえ、ほとんど未経験まま実戦に出されれば大きな被害が目に見えているでしょう」
凪は、少しずつ声色に熱を帯びてきている。
新人に対するあまりにも雑な対応に、怒りがふつふつとわいているのだろう。
「凪。よく見ろ。優秀な四天王もいれば、年々隊員数も増えている。それは、[漢字]アクターズ[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]でいきなり実戦に出されても問題ないという証だ。自分の考えの範疇にとどまるな。視野を広げろ」
「しかし・・・!」
凪が反撃しようとしたところに、一本の通信が入る。
「準備完了。いつでも行けます」
「了解。巨大化のアクトだ。慣れてはいるだろうが、気を付けて任務にあたれ。開始」
通信を切り、短く息をはく。
「この話はまた後でするとしよう。さて、本題に戻ろう。試したいことは他にもあるんだ。例えば、射撃能力の高さ、アクトを使用しない戦闘能力の高さ、アクト自体の具体的な使用方法。最初のもの以外はこの施設で測ることになっている。だが、測るのはミライが帰って来てからだ」
すると、何かの機械を操作し始める。
「なぜ?」
凪が聞くと同時に、隊長室の最奥にあるモニターが光る。
「ミライは、新人教育係だ。新人のことはあいつにすべて任せている」
モニターで映像が流れている。
今、隊員が戦っている様子だろうか。
四天王全員が、巨大化した[漢字]反逆者[/漢字][ふりがな]リベリオン[/ふりがな]と戦っていた。
(なぜ巨大化したリベリオン一人に、四天王が全員出撃するんだ?いつもなら、動いても小隊規模の隊員たちなのに・・・)
映像からの違和感。
これも、何か関係があるのだろうか。
「質問。ところで、副隊長は今どこに?」
唐突に凪が質問し、少し反応が遅れる。
「副隊長か?”特別な事情”があって、しばらくは戻れない。そんなに会いたかったか?」
少しからかうように聞く。
「えぇ、まぁ」
そのからかいに応えるように言った。
挑発には乗らないタイプなのだろう。
「そうか」
一言だけ言って、また机に戻り、資料を眺める。
空はモニターを眺めながら、映像の違和感を探った。
凪はただひたすら、資料を眺める様子を鋭く見つめていた。