act
「そうか」
ここからでは椅子に座っていると思われる後ろ姿しか見えなかったが、それでも十分な空気を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]っていた。
それから、カサッと小さな音がした。
恐らく、資料でも手に取ったのだろう。
そう思えるほどに、この部屋全体が静寂に包まれていた。
「単刀直入に言おう。[漢字]薄氷凪[/漢字][ふりがな]うすらひなぎ[/ふりがな]、[漢字]アクターズ[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]へ入れ」
空も凪も、そこまで驚くことはなかった。
凪は、以前からそういった声掛けが多かったから。
空は、ミライが探していたのだから、大方そんなところだろうと踏んでいたから。
「加入しなければならない理由を、お聞かせください」
迷いもなく言った。
ここまで怖けずに、そして敬語で話していることに、空は感心するしかなかった。
「理由を聞いたところで、入る気になるなど有り得んことだ」
「流石、よくわかっていらっしゃる。ならきっと、俺が入りたがらない理由もご存じでしょう?」
凪はいつもより強気だった。
「お前の両親は犯罪に手を染め、”[漢字]反逆者[/漢字][ふりがな]リベリオン[/ふりがな]”となった。よりによって、手を出した犯罪が”殺人”。つまり、最優先事項に当たるものだ。そうして全国に指名手配される一歩手前で、お前の両親は[漢字]アクターズ[/漢字][ふりがな]俺たち[/ふりがな]に捕まった。だが[漢字]運悪く[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]、捕まった時に死んでしまったそうだな。そうして、幼いながらに両親を失ったお前は、失った原因であるアクターズ全体を恨むようになった。結果、アクトがどれだけ優れていようがアクターズには入らない。そうだろう?」
凪の過去を、初めて知った。
有名だった凪ならば、過去について少しはテレビなどでも取り上げられていそうだが。
「そうですか。一応、弱みは握っているようなので・・・いいでしょう、入ります」
どんな状況でも冷静でいられる凪のことを、少し見習いたいと思った。
「さて、薄氷凪の加入は確定したが、コイツはどうしたものか・・・」
深刻そうな雰囲気に包まれる。
空は凪とは違い、アクトに優れているわけではない。
むしろ、アクターズが最も必要としている”攻撃系”ではなく”補助系”だからだ。
素早さ、防御力、威力、身体能力を上げたり、逆に下げたり、傷や体力の回復など。
空1人で戦うには、アクトを必要としない戦闘能力が高くなければいけなかった。
「お前は確か、補助系のアクトだろう?実戦に出すのも良いが、単純に戦闘能力が低い。だが、今から鍛えれば・・・」
そこで、少し間があく。
「よし、お前には通常訓練に加え、特殊な訓練を行ってもらう。それにより戦闘能力の向上が見られた場合、実戦に出そう」
空は、少しずつ脈が高まっていくのを感じた。
「天月空。お前も、アクターズに入れ」
「喜んで」
迷いはなかった。
いや、迷っている暇などない。
あの真相を確かめるまでは。
ここからでは椅子に座っていると思われる後ろ姿しか見えなかったが、それでも十分な空気を[漢字]纏[/漢字][ふりがな]まと[/ふりがな]っていた。
それから、カサッと小さな音がした。
恐らく、資料でも手に取ったのだろう。
そう思えるほどに、この部屋全体が静寂に包まれていた。
「単刀直入に言おう。[漢字]薄氷凪[/漢字][ふりがな]うすらひなぎ[/ふりがな]、[漢字]アクターズ[/漢字][ふりがな]ここ[/ふりがな]へ入れ」
空も凪も、そこまで驚くことはなかった。
凪は、以前からそういった声掛けが多かったから。
空は、ミライが探していたのだから、大方そんなところだろうと踏んでいたから。
「加入しなければならない理由を、お聞かせください」
迷いもなく言った。
ここまで怖けずに、そして敬語で話していることに、空は感心するしかなかった。
「理由を聞いたところで、入る気になるなど有り得んことだ」
「流石、よくわかっていらっしゃる。ならきっと、俺が入りたがらない理由もご存じでしょう?」
凪はいつもより強気だった。
「お前の両親は犯罪に手を染め、”[漢字]反逆者[/漢字][ふりがな]リベリオン[/ふりがな]”となった。よりによって、手を出した犯罪が”殺人”。つまり、最優先事項に当たるものだ。そうして全国に指名手配される一歩手前で、お前の両親は[漢字]アクターズ[/漢字][ふりがな]俺たち[/ふりがな]に捕まった。だが[漢字]運悪く[/漢字][ふりがな]・・・[/ふりがな]、捕まった時に死んでしまったそうだな。そうして、幼いながらに両親を失ったお前は、失った原因であるアクターズ全体を恨むようになった。結果、アクトがどれだけ優れていようがアクターズには入らない。そうだろう?」
凪の過去を、初めて知った。
有名だった凪ならば、過去について少しはテレビなどでも取り上げられていそうだが。
「そうですか。一応、弱みは握っているようなので・・・いいでしょう、入ります」
どんな状況でも冷静でいられる凪のことを、少し見習いたいと思った。
「さて、薄氷凪の加入は確定したが、コイツはどうしたものか・・・」
深刻そうな雰囲気に包まれる。
空は凪とは違い、アクトに優れているわけではない。
むしろ、アクターズが最も必要としている”攻撃系”ではなく”補助系”だからだ。
素早さ、防御力、威力、身体能力を上げたり、逆に下げたり、傷や体力の回復など。
空1人で戦うには、アクトを必要としない戦闘能力が高くなければいけなかった。
「お前は確か、補助系のアクトだろう?実戦に出すのも良いが、単純に戦闘能力が低い。だが、今から鍛えれば・・・」
そこで、少し間があく。
「よし、お前には通常訓練に加え、特殊な訓練を行ってもらう。それにより戦闘能力の向上が見られた場合、実戦に出そう」
空は、少しずつ脈が高まっていくのを感じた。
「天月空。お前も、アクターズに入れ」
「喜んで」
迷いはなかった。
いや、迷っている暇などない。
あの真相を確かめるまでは。