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「『[漢字]天月空[/漢字][ふりがな]あまつきそら[/ふりがな]・・・か」
「『やっぱりな』って、どういう・・・」
空の質問を遮るように、リツが言った。
「俺らは”新隊長”としか呼んでなかったから、気付かないのも無理はねぇ」
「せやな。俺も気付かん自信あるわ」
「僕もです!」
空は、その場の会話に何一つついて行けてない状態だった。
「まあ、簡単に[漢字]言[/漢字][ふりがな]ゆ[/ふりがな]うとな・・・」
『”天月空”は処刑された』
2人の声が揃っていた。
「しかも、かなり前だ」
「30年くらいやったか?」
揃っているということは、このことは、揺るぎない事実なのだろうか。
頭の中が、空っぽになる。
「・・・まあ、理解しがたいことやろうな。アンタにとっては」
「俺からしたら、昨日まで何事もなかった新隊長が、こうも狂ってることの方が理解しがたいがな」
まだ、頭の処理が追いつかない。
なぜ、自分自身、”天月空”が処刑されたことになっているのか。
「とりま、面会の時間無いから帰るわ。今度、行きしなに何か[漢字]買[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]うてくから待っとき~」
しかも、30年も前の話だという。
だとしたら、なぜ[漢字]あの人たち[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]がいたのだろう。
そもそも、自分の名前が”天月空”でないのなら、自分はいったい誰なのだろう。
そうこう考えているうちに、辺りはすっかり暗くなってしまった。
どうやら、もう消灯時間らしい。
考えるのは後にして、眠りにつくことにした。
―???
「・・・・・・い」
?
「・・・・・さい」
何か聞こえる。
「・・・ください」
声が、段々と鮮明になってくる。
「起きてください」
うっすらと目を開ける。
まだ視界がぼやけている。
「ようやく目を覚ましましたね」
景色がはっきりしてきた。
全体的に少し暗い、紺色で統一された部屋のようだ。
色こそ暗いものの、どこか明るさを感じる。
自身の座っている椅子のまっすぐ前に、見知らぬ人が2人。
片方は男性の老人、もう片方は女性。
老人は椅子に座り、机に手を置いていた。
女性の方は、ただ何かを持って立っていた。
その2人は、”見知らぬ”というより、”仮面を被っていたのでわからない”のだった。
「ここは・・・?」
まだ眠気で意識がはっきりしないまま言う。
「お教えできません」
老人の隣に居る女性だった。
とても淑やかである一方で、どこか幼さを感じる声だった。
「あなたはまだ、”力”に目覚めたばかりです。この場所を悪用しかねません」
先程から理解しがたいことばかりであったのに、さらに情報が追加されていく。
「ここからは、[漢字]主[/漢字][ふりがな]あるじ[/ふりがな]がお話しになります。決して聞き漏らさないように」
そう言うと、女性は一歩後ろへ下がった。
代わりに、足を組んで椅子に座っている老人が話し始めた。
「まずは、[漢字]貴方[/漢字][ふりがな]アナタ[/ふりがな]がこの”力”に目覚めたことを祝福いたしましょう」
「”力”?」
「そうです。貴方が手にした”力”とは、貴方自身の、”運命”を変えるものでございます」
どうにも胡散臭い話で信じられなかった。
「ところで、アナタ達は一体・・・」
「これはこれは・・・大変申し遅れました。[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]は”シクザール”」
「”アリス”です。以後、お見知りおきください」
「さて、今回貴方が目覚めたこの”力”・・・。使い方を間違えれば、そこに待つのは”死”です」
「死・・・?」
「左様でございます。ですが、私共は貴方に死が訪れないように導く存在。貴方が道を踏み外さない限り、貴方は守られているのです」
難しい話が続き、細部までは理解しきれなかった。
だが、自分に与えられた力によって、死が訪れるかもしれないことは、一番深く印象に残っている。
「では、これから、貴方の”力”——”過去を視る力”について説明いたします」
「『やっぱりな』って、どういう・・・」
空の質問を遮るように、リツが言った。
「俺らは”新隊長”としか呼んでなかったから、気付かないのも無理はねぇ」
「せやな。俺も気付かん自信あるわ」
「僕もです!」
空は、その場の会話に何一つついて行けてない状態だった。
「まあ、簡単に[漢字]言[/漢字][ふりがな]ゆ[/ふりがな]うとな・・・」
『”天月空”は処刑された』
2人の声が揃っていた。
「しかも、かなり前だ」
「30年くらいやったか?」
揃っているということは、このことは、揺るぎない事実なのだろうか。
頭の中が、空っぽになる。
「・・・まあ、理解しがたいことやろうな。アンタにとっては」
「俺からしたら、昨日まで何事もなかった新隊長が、こうも狂ってることの方が理解しがたいがな」
まだ、頭の処理が追いつかない。
なぜ、自分自身、”天月空”が処刑されたことになっているのか。
「とりま、面会の時間無いから帰るわ。今度、行きしなに何か[漢字]買[/漢字][ふりがな]こ[/ふりがな]うてくから待っとき~」
しかも、30年も前の話だという。
だとしたら、なぜ[漢字]あの人たち[/漢字][ふりがな]・・・・・[/ふりがな]がいたのだろう。
そもそも、自分の名前が”天月空”でないのなら、自分はいったい誰なのだろう。
そうこう考えているうちに、辺りはすっかり暗くなってしまった。
どうやら、もう消灯時間らしい。
考えるのは後にして、眠りにつくことにした。
―???
「・・・・・・い」
?
「・・・・・さい」
何か聞こえる。
「・・・ください」
声が、段々と鮮明になってくる。
「起きてください」
うっすらと目を開ける。
まだ視界がぼやけている。
「ようやく目を覚ましましたね」
景色がはっきりしてきた。
全体的に少し暗い、紺色で統一された部屋のようだ。
色こそ暗いものの、どこか明るさを感じる。
自身の座っている椅子のまっすぐ前に、見知らぬ人が2人。
片方は男性の老人、もう片方は女性。
老人は椅子に座り、机に手を置いていた。
女性の方は、ただ何かを持って立っていた。
その2人は、”見知らぬ”というより、”仮面を被っていたのでわからない”のだった。
「ここは・・・?」
まだ眠気で意識がはっきりしないまま言う。
「お教えできません」
老人の隣に居る女性だった。
とても淑やかである一方で、どこか幼さを感じる声だった。
「あなたはまだ、”力”に目覚めたばかりです。この場所を悪用しかねません」
先程から理解しがたいことばかりであったのに、さらに情報が追加されていく。
「ここからは、[漢字]主[/漢字][ふりがな]あるじ[/ふりがな]がお話しになります。決して聞き漏らさないように」
そう言うと、女性は一歩後ろへ下がった。
代わりに、足を組んで椅子に座っている老人が話し始めた。
「まずは、[漢字]貴方[/漢字][ふりがな]アナタ[/ふりがな]がこの”力”に目覚めたことを祝福いたしましょう」
「”力”?」
「そうです。貴方が手にした”力”とは、貴方自身の、”運命”を変えるものでございます」
どうにも胡散臭い話で信じられなかった。
「ところで、アナタ達は一体・・・」
「これはこれは・・・大変申し遅れました。[漢字]私[/漢字][ふりがな]わたくし[/ふりがな]は”シクザール”」
「”アリス”です。以後、お見知りおきください」
「さて、今回貴方が目覚めたこの”力”・・・。使い方を間違えれば、そこに待つのは”死”です」
「死・・・?」
「左様でございます。ですが、私共は貴方に死が訪れないように導く存在。貴方が道を踏み外さない限り、貴方は守られているのです」
難しい話が続き、細部までは理解しきれなかった。
だが、自分に与えられた力によって、死が訪れるかもしれないことは、一番深く印象に残っている。
「では、これから、貴方の”力”——”過去を視る力”について説明いたします」