act
―
「な、凪くん・・・!」
ピーッ
何かの機械音が鳴る。
だが、携帯電話やスマートフォン、その他通信機等は持ち込み禁止なため、心当たりがない。
「バイタル異常ヲ確認。処置ヲ開始シマス。周囲ノ人ハ離レテクダサイ」
明らかに人間ではない声。
(処置を開始って・・・何する気なんだろう・・・)
「ソコノ人、モット離レテクダサイ。部屋ノスミマデ行ッテクダサイ。ソレカラ、後ロヲ向イテ耳ヲ閉ジ、目ヲ塞イデクダサイ」
(部屋の隅って結構な・・・それに、『耳を閉じて目を塞ぐ』って逆なんじゃ・・・?)
そんな疑問を浮かべながら、渋々部屋の隅まで行き、”目を閉じて耳を塞いだ”。
それから、大きな爆発音がしたところまで覚えている。
―
「おい、おーい!はよ起きんか!この”ねぼすけ”が!」
「・・・?」
まだ視界がぼやけている。
「寝ぼけとんちゃうぞボケ!シャキッとせい!シャキッと!」
「ここは・・・どこ・・・?」
よく見ると、全く見覚えのない場所だった。
「あなたは一体・・・?」
「よくある”記憶喪失系漫画の主人公”やっとらへんで、少しは自覚せんかい!全く・・・。今自分の置かれてる状況、もっぺんよく考えてみ」
「『今自分の置かれてる状況』・・・」
「何でここにおるんか。自分で来たのか、連れてこられたのか。自分で来たなら、そこまでに何があったか。連れてこられたんなら、何で連れてこられたんか。色々あるやろ」
「んー・・・」
空はしばらく考え込んだ。
だが、思い出せるのは断片的なものばかり。
それに、いつも何か大事な部分が抜け落ちている。
「何か思い出したか?[漢字]言[/漢字][ふりがな]ゆ[/ふりがな]うても、関係あらへんこととか、断片的なものとか、そうゆうんやろ?」
「え?あ、うん。よく分かったね」
自分の考えが見透かされた気がして、少し驚いた。
「まあな。実際、俺もそうやし、[漢字]他のヤツらも[/漢字][ふりがな]・・・・・・[/ふりがな]そうやったからな」
少し目線をずらし、どこかを見ていた。
「え、待って、今、『他のヤツらも』って言った?」
ここにはこの人しかいないのに、この人はまるで他の人がいるかのように言った。
「ん?せやで。それがどうかしたん?」
疑問と恐怖と不安が混ざり合ってぐちゃぐちゃだ。
当たり前のようにように答えるこの人が、心底怖い。
どの感情にも支配されることはなく、ただ、混ざった。
混ざった挙句、勝ったのは恐怖。
「なぁ、自分、ホンマにどしたん?顔色悪いで。まさか、[漢字]思い出されへん[/漢字][ふりがな]・・・・・・・[/ふりがな]のか?」
「な、凪くん・・・!」
ピーッ
何かの機械音が鳴る。
だが、携帯電話やスマートフォン、その他通信機等は持ち込み禁止なため、心当たりがない。
「バイタル異常ヲ確認。処置ヲ開始シマス。周囲ノ人ハ離レテクダサイ」
明らかに人間ではない声。
(処置を開始って・・・何する気なんだろう・・・)
「ソコノ人、モット離レテクダサイ。部屋ノスミマデ行ッテクダサイ。ソレカラ、後ロヲ向イテ耳ヲ閉ジ、目ヲ塞イデクダサイ」
(部屋の隅って結構な・・・それに、『耳を閉じて目を塞ぐ』って逆なんじゃ・・・?)
そんな疑問を浮かべながら、渋々部屋の隅まで行き、”目を閉じて耳を塞いだ”。
それから、大きな爆発音がしたところまで覚えている。
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「おい、おーい!はよ起きんか!この”ねぼすけ”が!」
「・・・?」
まだ視界がぼやけている。
「寝ぼけとんちゃうぞボケ!シャキッとせい!シャキッと!」
「ここは・・・どこ・・・?」
よく見ると、全く見覚えのない場所だった。
「あなたは一体・・・?」
「よくある”記憶喪失系漫画の主人公”やっとらへんで、少しは自覚せんかい!全く・・・。今自分の置かれてる状況、もっぺんよく考えてみ」
「『今自分の置かれてる状況』・・・」
「何でここにおるんか。自分で来たのか、連れてこられたのか。自分で来たなら、そこまでに何があったか。連れてこられたんなら、何で連れてこられたんか。色々あるやろ」
「んー・・・」
空はしばらく考え込んだ。
だが、思い出せるのは断片的なものばかり。
それに、いつも何か大事な部分が抜け落ちている。
「何か思い出したか?[漢字]言[/漢字][ふりがな]ゆ[/ふりがな]うても、関係あらへんこととか、断片的なものとか、そうゆうんやろ?」
「え?あ、うん。よく分かったね」
自分の考えが見透かされた気がして、少し驚いた。
「まあな。実際、俺もそうやし、[漢字]他のヤツらも[/漢字][ふりがな]・・・・・・[/ふりがな]そうやったからな」
少し目線をずらし、どこかを見ていた。
「え、待って、今、『他のヤツらも』って言った?」
ここにはこの人しかいないのに、この人はまるで他の人がいるかのように言った。
「ん?せやで。それがどうかしたん?」
疑問と恐怖と不安が混ざり合ってぐちゃぐちゃだ。
当たり前のようにように答えるこの人が、心底怖い。
どの感情にも支配されることはなく、ただ、混ざった。
混ざった挙句、勝ったのは恐怖。
「なぁ、自分、ホンマにどしたん?顔色悪いで。まさか、[漢字]思い出されへん[/漢字][ふりがな]・・・・・・・[/ふりがな]のか?」
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