放浪の水魔法使い
俺はズキズキと側頭部を痛みに蝕まれながら目を覚ました。いつの間にか室内へと運ばれていたようだ。しかし知らない天井を見ようにも明るさが足りず、ゴーレムを倒してから大分時間が経ったのだということが分かる。バサっと布団を押し退け体を起こすが、あれ、と首を傾げる。
「傷、治ってるのか...?」
頭の痛みなんて屁でもないほどの怪我であった筈なのだが、何の痛みも感じない。服を捲って自らの腹を覗き込む。しかし肌の色が見える事はなく、何か文字の書かれた包帯が腹部を覆っていた。何らかの力によって治ったのだろう。一つ疑問は消えるが謎の包帯が新たな疑問となる。知らないことが多いな...。起き上がった俺の重みでベットがギシギシと音を立てる。
「あれ...カイ様、起きた?」
気を失った俺を見ていたのだろうか、ウスハが眠そうな目を擦りながら俺を心配する。いや、見てたのか?と、椅子の中心にペタンと座り込んでいたウスハが電気を付けに羽を動かす。この世界、電気はどうしてるんだ?とこれまた疑問に思い、暗がりで目を凝らしながらウスハの向かう方を見つめる。
小さく縦長の長方形に窪んだ壁の中に、更にそれを等しく二つに分ける板。上部にはテニスボールほどの水晶玉が置かれており、ウスハが板を抜き取る。すると落ちた水晶玉が発光し、それと呼応するように部屋の明かりが点いた。へえ、分からん。分からないことはいつまで考えても分からない。俺は早々に諦めると部屋を見渡す。
基本この家は木で造られているようで、ぼんやりと淡く橙に部屋を照らす明かりが大人しめな雰囲気を作る。怪我が再生した今、鬱陶しくなりつつある包帯を手に巻きつけると、ふかふかベッドの心地よさを惜しみながら降りる。さて、ここがどこかも分からんし、誰かの世話になってるかもしれない。挨拶でもしなければ。
扉を開けて部屋を出ると、そこは廊下だった。ズラッと同じような扉が並んでいるところを見るに、宿が何かだろうか。思いながら階段を降りていくと
「あ、水城さん。目を覚ましたんですね」
「...ああ。で、何してんの?」
酔っ払いの男数人が喧しく騒いでいるテーブルに、笑顔で酒を運ぶサーシャに俺は尋ねた。
「ああ、それはですね──」
[中央寄せ]◆ ◆ ◆[/中央寄せ]
突然路上で倒れた水城さんを、私は取り敢えず邪魔にならぬよう、店と店の間に運んだ。沢山の店が立ち並ぶこの町は治安自体は良さそうで、ひとまず安堵の息を漏らす。
「どうしましょう...」
「どうしようねぇ...」
お金もない、伝手もない、ここがどこかも分からない。無い無い尽くしの状態で、ウスハと共に途方に暮れる。私たちの右隣にあるのは果物店は賑わいを見せる。店を出る女性のバスケットから顔を覗かせる桃がピンクに艶めく。左隣にあるのは肉屋。暫く何も食べていなかったからか、目が吸い寄せられるようにそちらを向く。正面にはアクセサリーを扱っている店が。私と同じくらいの女の子たちだろうか、キャーキャー言いながらお互いに装飾品をあてがう。ファッション自体に興味がない訳ではないが、今は心底どうでもいい。砂漠で過ごした時間は、私の感覚を鈍らせていた。ああ、どうしましょう。私たち、やっと砂漠を抜けたというのに町で野垂れ死ぬのでしょうか...。
あわあわと忙しなく首を動かしていると、前を通りかかった女性が足を止めた。私はゆっくりと座ったまま顔を上げると、女性は心配そうな顔で私たちを見下ろしていた。ふくよかな体つきに、後ろに小さく結んだ茶髪が跳ねる。気の強そうな人だ。彼女は私と同じ目線くらいになるまでしゃがむと言った。
「大丈夫かい?ウチに来る?」
私たちを助けてくれた女性はハンナさんというらしい。水城さんを軽々と背負うハンナさんに少し申し訳なさを感じながらついていくと、居酒屋 兼 宿屋の大きな建物で止まった。
「ここだよ。入って」
「あ、ありがとうございますっ」
カランカランと鳴るベルの音と共に建物内に入ると、カウンターで1人、人の良さそうな男性が食器を拭いていた。
「あ、おかえり母さん。...と、そこの人たちは?」
「ただいま。何か困ってそうだったから拾って来ちゃった」
「全く......ってそこの少年は大丈夫なのか!?」
「あっ全然大丈夫じゃありませんでした!!」
「急に叫ばないでよ2人とも...。えーっと、男の子はお母さんが2階の端の部屋に運ぶからレオは包帯を取ってきて」
「分かった」
[中央寄せ]✕ ✕ ✕[/中央寄せ]
ここは王都スタレフを囲うように発達する七つの城下町の一つ、ビビエスだ。その名を聞いた時、学園でこの城下町について習ったことを思い出した。楕円型をしたこの町は王都から離れるほど少し廃れ、近づくほど活気が増していて、真っ直ぐ町を歩くとそのグラデーションが見られるそうだ。城下町とは言っても王都からはかなり離れており、馬車で数日掛かるとか。私たちが砂漠から脱した際にいたのはこの町の東部で王都側だ。そういえば、私のいない学園はどうなっているのだろう。...いや、何も変わらないか。
自嘲気味にふっと息を漏らすと、包帯を巻いてベッドに横たわる水城さんを見つめる。包帯にびっしりと描かれた魔術に、ウスハが自らの魔力を流し込む。こうして治癒魔術が発動してゆっくりと傷を治すのだ。目を覚まさない彼が心配だが、今は人に迷惑を掛けているのだ。ここはウスハに任せるとしよう。
私は緩やかな螺旋状の階段を降りながら、ハンナさんが見えてきたところで口を開く。
「あの...本当によろしいのですか?」
そんな私が何かおかしいのか、笑いながら答える。
「何を遠慮するのさ、好きなだけ泊まっていいから!それでも居づらいならここで働くか仕事を見つけるかしたらいいよ」
「はい、働きます!」
[中央寄せ]◇ ◇ ◇[/中央寄せ]
「と、言うわけです」
「なるほど...。あ、ハンナさん、レオさん、本当にありがとうございます!」
「いやいや。それよりサーシャちゃんみたいな可愛い娘が来てこっちが嬉しいくらいだよ。ねえレオ?」
「あ、いや俺婚約者いるしちょっと」
割と本気で困っているレオさんに、にししっと歯を見せて笑うハンナさん。親子仲が良さそうで何よりだ。俺は何から目線なのか分からないがそんなことを思った。
もうすぐ時計がてっぺんになるからだろうか。ハンナさんは腰に手をやると客達を見て言う。
「はい、泊まってない人たちはもう帰りな!明日も仕事だろう?」
「うぃ〜っ明日も来るぜいっ」
外まで千鳥足の客を見送っていくハンナさんを目で追いかける。開いたドアから吹き込んでくる風は冷たく、少し寒く感じるくらいだ。足元をまとわりつくような冷気にひいひい言いながらも、足先に温かみを感じた。落ち着いて自分の服装を見返すと、ゾンビに背を破かれたTシャツは平民の着る茶色い長袖シャツになっており、ズボンはカーキ色をしている。やはりずっと裸足だったからだろうか、靴下と靴を履いた足の変化が一番顕著に感じられる。しかし砂漠にいたから寒いのは久しぶり、という訳ではない。夜とか超寒いことを知ってほしい。
客のいなくなった屋内はやけに広く感じる。アルコールの匂いが充満していて、空気を体内へ取り込むだけで酔ってしまいそうになる。酔った人々の温もりだけが残ったテーブルを拭きながら今後どうしようかと思いを馳せる。大口を叩いたものの、何のプランもない訳である。か、格好悪い...。眉をハの字に下げながらサーシャの方をちらと見る。するとサーシャの服装もローブ姿から変わっていた。
大きく露出した肩は胸元の白い生地に負けないほど色が白く、鎖骨が首の下に窪みを作っている。妙に気恥ずかしくて目を逸らそうにも、今度はすらっと下りる足が主張する。桜色にほんのり染まった太ももに形の良いふくらはぎ──
「さっきからどうしてこちらを凝視してるんですか?」
「へっ!?いや、あの似合ってたから?似合ってると言っても俺にファッションをどうこう言える知識は無いな。まあだから、その可愛い、と思う...ぞ」
って何言ってんだ俺。ガン見してたの、バレバレだったのか。焦って変なことを口走ってしまった。俺に褒められたサーシャは頬を赤くする、訳でもなく淡々と
「はあ、そうですか。ありがとうございます」
とだけ言った。いや、別に狙ってるわけではないけど、あまりにも脈が無さすぎない?脈が無さすぎてこないだのゾンビが感染したかと思ったぞ。すると追い討ちを掛けるようにサーシャはハンナさんに言う。
「......あの、今日は水城さんと違う部屋にしてくれますか?」
「え?まあ、お客さんもいないし、いいけど」
「そうですか、ではお願いします」
まさか嫌われたのか...?俺は顔を引き攣らせながらひっそりと傷つく。何だこの痛み、俺はこれを知らないぞ。物理的な痛みに変換すれば、さしずめタンスに足の小指をぶつけたくらいだ。痛い。
まあ何をしようにもお金は必要だ。遠慮なくここでお世話になりつつ仕事を探そう。それで恩を返したらもう少し大きい街へ発つとしよう。それまでは暫く、この照明のように淡く明るい生活に身を置くとしよう。
...で、ウスハはまだ部屋で寝てんの?
[中央寄せ]ー続ー[/中央寄せ]
[水平線]
〈世界観memo〉
「学園」
地球でいう高校からしかなく、全員が行けるわけでもない。普通裕福な者、何かしらの能力が他より秀でた者が行く。基本大きな都市にしか存在しない為、学園に行かず家の手伝いをする者の方が多い。学園では主に歴史・地理・魔法学を習う。魔法について更に本格的に学ぶのは大学からである。
「傷、治ってるのか...?」
頭の痛みなんて屁でもないほどの怪我であった筈なのだが、何の痛みも感じない。服を捲って自らの腹を覗き込む。しかし肌の色が見える事はなく、何か文字の書かれた包帯が腹部を覆っていた。何らかの力によって治ったのだろう。一つ疑問は消えるが謎の包帯が新たな疑問となる。知らないことが多いな...。起き上がった俺の重みでベットがギシギシと音を立てる。
「あれ...カイ様、起きた?」
気を失った俺を見ていたのだろうか、ウスハが眠そうな目を擦りながら俺を心配する。いや、見てたのか?と、椅子の中心にペタンと座り込んでいたウスハが電気を付けに羽を動かす。この世界、電気はどうしてるんだ?とこれまた疑問に思い、暗がりで目を凝らしながらウスハの向かう方を見つめる。
小さく縦長の長方形に窪んだ壁の中に、更にそれを等しく二つに分ける板。上部にはテニスボールほどの水晶玉が置かれており、ウスハが板を抜き取る。すると落ちた水晶玉が発光し、それと呼応するように部屋の明かりが点いた。へえ、分からん。分からないことはいつまで考えても分からない。俺は早々に諦めると部屋を見渡す。
基本この家は木で造られているようで、ぼんやりと淡く橙に部屋を照らす明かりが大人しめな雰囲気を作る。怪我が再生した今、鬱陶しくなりつつある包帯を手に巻きつけると、ふかふかベッドの心地よさを惜しみながら降りる。さて、ここがどこかも分からんし、誰かの世話になってるかもしれない。挨拶でもしなければ。
扉を開けて部屋を出ると、そこは廊下だった。ズラッと同じような扉が並んでいるところを見るに、宿が何かだろうか。思いながら階段を降りていくと
「あ、水城さん。目を覚ましたんですね」
「...ああ。で、何してんの?」
酔っ払いの男数人が喧しく騒いでいるテーブルに、笑顔で酒を運ぶサーシャに俺は尋ねた。
「ああ、それはですね──」
[中央寄せ]◆ ◆ ◆[/中央寄せ]
突然路上で倒れた水城さんを、私は取り敢えず邪魔にならぬよう、店と店の間に運んだ。沢山の店が立ち並ぶこの町は治安自体は良さそうで、ひとまず安堵の息を漏らす。
「どうしましょう...」
「どうしようねぇ...」
お金もない、伝手もない、ここがどこかも分からない。無い無い尽くしの状態で、ウスハと共に途方に暮れる。私たちの右隣にあるのは果物店は賑わいを見せる。店を出る女性のバスケットから顔を覗かせる桃がピンクに艶めく。左隣にあるのは肉屋。暫く何も食べていなかったからか、目が吸い寄せられるようにそちらを向く。正面にはアクセサリーを扱っている店が。私と同じくらいの女の子たちだろうか、キャーキャー言いながらお互いに装飾品をあてがう。ファッション自体に興味がない訳ではないが、今は心底どうでもいい。砂漠で過ごした時間は、私の感覚を鈍らせていた。ああ、どうしましょう。私たち、やっと砂漠を抜けたというのに町で野垂れ死ぬのでしょうか...。
あわあわと忙しなく首を動かしていると、前を通りかかった女性が足を止めた。私はゆっくりと座ったまま顔を上げると、女性は心配そうな顔で私たちを見下ろしていた。ふくよかな体つきに、後ろに小さく結んだ茶髪が跳ねる。気の強そうな人だ。彼女は私と同じ目線くらいになるまでしゃがむと言った。
「大丈夫かい?ウチに来る?」
私たちを助けてくれた女性はハンナさんというらしい。水城さんを軽々と背負うハンナさんに少し申し訳なさを感じながらついていくと、居酒屋 兼 宿屋の大きな建物で止まった。
「ここだよ。入って」
「あ、ありがとうございますっ」
カランカランと鳴るベルの音と共に建物内に入ると、カウンターで1人、人の良さそうな男性が食器を拭いていた。
「あ、おかえり母さん。...と、そこの人たちは?」
「ただいま。何か困ってそうだったから拾って来ちゃった」
「全く......ってそこの少年は大丈夫なのか!?」
「あっ全然大丈夫じゃありませんでした!!」
「急に叫ばないでよ2人とも...。えーっと、男の子はお母さんが2階の端の部屋に運ぶからレオは包帯を取ってきて」
「分かった」
[中央寄せ]✕ ✕ ✕[/中央寄せ]
ここは王都スタレフを囲うように発達する七つの城下町の一つ、ビビエスだ。その名を聞いた時、学園でこの城下町について習ったことを思い出した。楕円型をしたこの町は王都から離れるほど少し廃れ、近づくほど活気が増していて、真っ直ぐ町を歩くとそのグラデーションが見られるそうだ。城下町とは言っても王都からはかなり離れており、馬車で数日掛かるとか。私たちが砂漠から脱した際にいたのはこの町の東部で王都側だ。そういえば、私のいない学園はどうなっているのだろう。...いや、何も変わらないか。
自嘲気味にふっと息を漏らすと、包帯を巻いてベッドに横たわる水城さんを見つめる。包帯にびっしりと描かれた魔術に、ウスハが自らの魔力を流し込む。こうして治癒魔術が発動してゆっくりと傷を治すのだ。目を覚まさない彼が心配だが、今は人に迷惑を掛けているのだ。ここはウスハに任せるとしよう。
私は緩やかな螺旋状の階段を降りながら、ハンナさんが見えてきたところで口を開く。
「あの...本当によろしいのですか?」
そんな私が何かおかしいのか、笑いながら答える。
「何を遠慮するのさ、好きなだけ泊まっていいから!それでも居づらいならここで働くか仕事を見つけるかしたらいいよ」
「はい、働きます!」
[中央寄せ]◇ ◇ ◇[/中央寄せ]
「と、言うわけです」
「なるほど...。あ、ハンナさん、レオさん、本当にありがとうございます!」
「いやいや。それよりサーシャちゃんみたいな可愛い娘が来てこっちが嬉しいくらいだよ。ねえレオ?」
「あ、いや俺婚約者いるしちょっと」
割と本気で困っているレオさんに、にししっと歯を見せて笑うハンナさん。親子仲が良さそうで何よりだ。俺は何から目線なのか分からないがそんなことを思った。
もうすぐ時計がてっぺんになるからだろうか。ハンナさんは腰に手をやると客達を見て言う。
「はい、泊まってない人たちはもう帰りな!明日も仕事だろう?」
「うぃ〜っ明日も来るぜいっ」
外まで千鳥足の客を見送っていくハンナさんを目で追いかける。開いたドアから吹き込んでくる風は冷たく、少し寒く感じるくらいだ。足元をまとわりつくような冷気にひいひい言いながらも、足先に温かみを感じた。落ち着いて自分の服装を見返すと、ゾンビに背を破かれたTシャツは平民の着る茶色い長袖シャツになっており、ズボンはカーキ色をしている。やはりずっと裸足だったからだろうか、靴下と靴を履いた足の変化が一番顕著に感じられる。しかし砂漠にいたから寒いのは久しぶり、という訳ではない。夜とか超寒いことを知ってほしい。
客のいなくなった屋内はやけに広く感じる。アルコールの匂いが充満していて、空気を体内へ取り込むだけで酔ってしまいそうになる。酔った人々の温もりだけが残ったテーブルを拭きながら今後どうしようかと思いを馳せる。大口を叩いたものの、何のプランもない訳である。か、格好悪い...。眉をハの字に下げながらサーシャの方をちらと見る。するとサーシャの服装もローブ姿から変わっていた。
大きく露出した肩は胸元の白い生地に負けないほど色が白く、鎖骨が首の下に窪みを作っている。妙に気恥ずかしくて目を逸らそうにも、今度はすらっと下りる足が主張する。桜色にほんのり染まった太ももに形の良いふくらはぎ──
「さっきからどうしてこちらを凝視してるんですか?」
「へっ!?いや、あの似合ってたから?似合ってると言っても俺にファッションをどうこう言える知識は無いな。まあだから、その可愛い、と思う...ぞ」
って何言ってんだ俺。ガン見してたの、バレバレだったのか。焦って変なことを口走ってしまった。俺に褒められたサーシャは頬を赤くする、訳でもなく淡々と
「はあ、そうですか。ありがとうございます」
とだけ言った。いや、別に狙ってるわけではないけど、あまりにも脈が無さすぎない?脈が無さすぎてこないだのゾンビが感染したかと思ったぞ。すると追い討ちを掛けるようにサーシャはハンナさんに言う。
「......あの、今日は水城さんと違う部屋にしてくれますか?」
「え?まあ、お客さんもいないし、いいけど」
「そうですか、ではお願いします」
まさか嫌われたのか...?俺は顔を引き攣らせながらひっそりと傷つく。何だこの痛み、俺はこれを知らないぞ。物理的な痛みに変換すれば、さしずめタンスに足の小指をぶつけたくらいだ。痛い。
まあ何をしようにもお金は必要だ。遠慮なくここでお世話になりつつ仕事を探そう。それで恩を返したらもう少し大きい街へ発つとしよう。それまでは暫く、この照明のように淡く明るい生活に身を置くとしよう。
...で、ウスハはまだ部屋で寝てんの?
[中央寄せ]ー続ー[/中央寄せ]
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〈世界観memo〉
「学園」
地球でいう高校からしかなく、全員が行けるわけでもない。普通裕福な者、何かしらの能力が他より秀でた者が行く。基本大きな都市にしか存在しない為、学園に行かず家の手伝いをする者の方が多い。学園では主に歴史・地理・魔法学を習う。魔法について更に本格的に学ぶのは大学からである。