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カミサマ気取りと神の使者

#3

ACT.2

翌日。アルベドは謎な怒りの業火を燃やし、街を歩いていた。
「アルベド様、今日はどこに行きますか?」
彼には手下がいて、手下が彼の怒りを刺激しないよう、ゆったりと声をかける。
「今日は決まってる」
「はい、どこでしょうか…?」
「あの『クリミナ』とかいう女のところだ!」
自信たっぷりにアルベドがそう言うと、手下は一気に顔色を悪くし、歩く彼を必死に引き止めた。
「えっ!ちょっとアルベド様、それは__!」
「俺を止めんじゃねぇ!俺はもう決めたんだ…。絶対!アイツに勝ってやる!」
息を巻きそう言う彼のことを、手下はもう止められなかった。
「はぁ…。もう良いです。僕ついていけないので帰っていいですか?」

[水平線]
「ここだな?クリミナはいるか!」
クリミナがいる街は、比較的目立たぬところだった。「アルペジー」といった所だ。
いわゆる田舎と呼ばれる場所で、のどかな自然ばかりの街、それがアルペジーだった。
「クリミナ!居るなら来ーい!」
アルペジーの入口で、アルベドは叫んだ。
木に止まっていた鳥が飛び、クリミナの代わりというべきか、孤独に猫が鳴いた。
「クリミナー!!」
もう一回アルベドが、そう叫ぶ。
声こそ聞こえなかったものの、アルベドが叫んだ数秒後、歩く音が聞こえてきた。ヒールを履いているのだろうが、湿った土だったせいで、ヒール特有のコツコツとした音は聞こえない。
「…………なによ」
「お?お前クリミナだな?」
「ええ。貴方は誰なの」
アルベドの大声など響いていなかったかのように、クリミナは冷静に、そして淡々と話をする。
「俺はアルベド!お前に勝負を挑みに来た!」
「…はぁ」
「お?なんだその態度!俺と勝負だ!クリミナ!」
「…そう、勝負」
彼の声は大きく、アルペジーの中は、結構な反響をしていた。だがしかし、クリミナは彼に対し、淡々と対応をするのみだった。いきなりの勝負の申し出など、誰でも驚くというのに。
「失礼。神に相談するわ」
「神?」
「ええ。決闘をしてはいけない、という事が決められていないか、確認するわ。少し待ってて頂戴」
神の使者は、基本神の裁量で、やっていい事、いけない事が決められる。
クリミナの神は「月の女神」。名をセレーネといった。
もしセレーネが争いを嫌う神であった場合は、決闘が禁止になるのだ。決闘をしてしまえば、クリミナの魂は、地獄にも天国にも、そして現世にも行かないことだろう。
そんな事態を避けるため、クリミナはセレーネに対し確認を取った。
確認する方法は簡単、神と話す。はたから見れば、空気と話している不審者のような状態になるが、致し方ないのだ。
「ええ、ええ……。そうなのね。分かったわ」
結果が出たようで、クリミナはアルベドに向かい言う。
「ダメみたい。勝負事は好まないみたいね」
「はぁ?なんだよそれー!」
「落ち着いて。争いが禁止なだけで、もっと他にやれることは…」
「俺は!お前と勝負がしたくてきたんだよ!能力で戦って!だから用はもうねぇ!俺は帰る!」
「…待って、アルベド。あなたに話したいことがあるの」
「んだよ!」
「あなた、あの『アルカナ・クロワ』の人でしょう?」
「ああ、そうだな!俺は会長だ!」
「そう、なら話が早いわ。
…貴方に、人探しをしてほしいの」

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作者メッセージ

用語の意味とか↓

「アルペジー」
クリミナの生まれ故郷。自然がたくさんある、のどかで全く目立たない街。

「アルカナ・クロワ」
アルベドが会長を務める組織。基本は喧嘩をしたり、やることはマフィアみたいなものと変わらない。法律に反する行いももちろんしているが、人助けもしているため、そこまで問題にはならない。頭脳派もいれば肉体派もいる。


この小説は、この作者コメントを見ることが重要になってきます。わからない用語があれば、基本ここに全部、意味など書いてます。ここを見れば大体分かるということですし、裏を返せば、ここ見なければ全く分からないってことです。それぐらい、この小説は用語てんこ盛りです。
更新がかなり遅れましたが、この小説への熱量自体はあります。これから更新頻度を、少し増やそうと思います。お楽しみにー。

2024/06/05 00:43

水野志恩 ID:≫7tLEh4qnMjetA
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