嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
「 ..........っ、ゲホッ、ゲホッ........ 」
破片が地を踊り転がる。
木刀の破片。急速な熱によって消し炭になり、パラパラと宙へ飛び立っていく。
[太字]いつしか、傀儡は本当に見ているだけになった。[/太字]
「..........やっと僕を見てくれた」
「[太字]やっと、やっとなんだ、あは、あはは、あははははは!![/太字]」
渦巻いた絶望の世界で一人、狂ったように踊る[漢字]道化師[/漢字][ふりがな]ピエロ[/ふりがな]は笑っていた。
[太字]孤独の舞台で加熱された空気と視線の雨は留まることを知らない。[/太字]
夏祭「.........ははっ」
あまりにも支離滅裂で、乾いた笑いしかそこから出てこない。
現実と[漢字]遊戯[/漢字][ふりがな]ゲーム[/ふりがな]の区別もつかなくなった大きいお友達でもこんな事は言わなかったはずだ。
夏祭「うちの大切な木刀消し炭にしといて、素手で殴り合いせんとはええ趣味してはるなぁ........?」
「...........うるさい」
「君はもういいよ。[漢字]否定する[/漢字][ふりがな]アンチテーゼ[/ふりがな]ならもう消えて」
夏祭「あぁ嫌いや、大っ嫌いや。そうやって何回も自分をコロコロ変えようとする奴は嫌いや」
夏祭「[太字]消えるなんてそんなん、こっちから願い下げや!! あんたの望むようには逝かれてやらんわ!![/太字]」
「[太字]『[漢字]貫く紫電の槍[/漢字][ふりがな]ラティオランス[/ふりがな]』!![/太字]」
青白く光る大きな槍が迫る。
素手で殴り合い言うたのに、話聞いてなかったんか。
それは反則やってハッキリ言っとかなあかんかったんか。
本当ならもっと言ってやりたかったけど、そしたら自分が自分じゃなくなるのが分かっていたからこそ、言葉にするのはやめにした。
いっそ死を受け入れて、身体中から力を抜いていく。
ふわりと宙に浮いたような感覚がした。
[太字]飛び降り自殺でもしたら、きっとこんな感じやろか。[/太字]
[太字]もっと風が自分を凪ぐやろか。[/太字]
夏祭「 ______。 」
あぁ、ごめんな皆。
今ここで自分が能力使っても、きっと皆が痛い目に遭ってしまうから。
[太字]それくらいなら、こんな頭おかしい奴一人が死んでく方がマシやろ?[/太字]
[太字]だから______[/太字]
[小文字]___.........で
[太字]_____ない.......で.......[/太字][/小文字]
夏祭「..........?」
「 [太字]______諦めないで!![/太字] 」
[太字]ふと、左手に何かが触れた。[/太字]
握りしめれば、数分前まで自分にあった感触が肌を伝う。
[太字]しかし、誰かの温もりでもないのにそれは暖かい。[/太字]
目を開けば、そこにはなかったはずの木刀______
[太字]赤く脈動するような木刀が握られていた。[/太字]
[太字]..............どこからそんなもん持ってこれた?[/太字]
夏祭「[太字]っ、!![/太字]」
眼前すぐそこまで槍が迫ったのを木刀で受け止める。
[太字]木刀は不思議にも紫電に焼き切れず、すべてを包むよう受け止め続けている。[/太字]
虚ろに大きく見開かれた狂気の眼差しがこちらを見つめてくるが、視線は合わせずそのまま逸らす。
今もなお脈動し続けるそれは丸ごとが心臓であるように、生命を持っているようで多少気味が悪い。
槍を受け流し生じた隙の一瞬で後ろを振り返った。
夏祭「っ、誰や、うちにこんなもん渡した........」
夏祭「[太字]ん、は........[/太字]」
[太字]映ったのは、陽炎のようにゆらめく[漢字]朱[/漢字][ふりがな]あか[/ふりがな]い光。[/太字]
一目瞭然、果ては、安易に結びつけただけか。
[太字]生階 朱肉がこちらと目が合った時。[/太字]
[太字]君が希望の眼差しをこちらに送った気がしたのは、気の所為で済ませて良いものだっただろうか。[/太字]