嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
鳴り止まない雷鳴。
戦場のド真ん中だとしても、傀儡は観客となってこちらを取り囲んで見るばかり。
何も、する事はない。傍観しているだけ。
その中心にはぶわりと燃え盛るような殺意と魔法の力だけが広がっていた。
それをまるで一つのサーカスショーのように、笑われる見世物という存在を当たり前に嗤うように。
『[太字]【[漢字]輪廻[/漢字][ふりがな]りんね[/ふりがな]の[漢字]雷[/漢字][ふりがな]いかづち[/ふりがな]】[/太字]!!』
朱肉「.........っ」
能力で生み出した植物は無類の物理的強度を誇るが、熱だけに関しては話は別になってしまう。
植物が植物である以上、それに打ち勝つのは難しい話なのだ。
朱肉「どうすれば........」
..........なんでこんなもののために能力者は戦わなきゃいけないんだろう。
確かに無能力者を守るための努力義務ではある。
確かに死んでいい人なんて、周りを見てみても、そこに裁かれなきゃいけない人でもいない限り本当はいないんだから。
[太字]..........でも自己を捨ててまで、民衆のためにあるのが本当に正しいの?[/太字]
本当に?
[太字]______小さかった私のなりたかった魔法少女は、こんな姿だった?[/太字]
『[太字]【[漢字]電光石火[/漢字][ふりがな]ライトニング[/ふりがな]・[漢字]50%[/漢字][ふりがな]ハーフスペック[/ふりがな]】[/太字]』
夕凪「あぶねっ........速い........」
『もう一回、!【[漢字]50%[/漢字][ふりがな]ハーフスペック[/ふりがな]】っ.......!!』
捨て飯「うわっ!?」
雷による移動箇所の制限に加えて猛スピードで突進してきた........厄介だな.........
でも【50%】って言ってるなら、まだその上があるはずなのに........
[太字]..........じゃあまさか、さっきから手加減してるって言うの........?[/太字]
朝露「[太字]..........違う[/太字]」
朱肉「え、?」
朝露「[太字]使えないんだ.........あれ以上が..........[/太字]」
[水平線]
朱肉「........どういう事?」
朝露「.........あの技は、簡単に言えば自分に電気を通す事によって自分の身体を無理やり動かせるようにしてるんだ」
朝露「事変を起こして魔力の暴走が起こってるとは言っても.........[太字]問題があるのは『その器の方』なんだよ[/太字]」
朝露「別にあれが光の速度で動けるわけじゃない」
朝露「[太字]______所詮は、肉体が耐えられる範囲での強化でしかないんだよ[/太字]」
朝露「自分の身体を過度に動かすような事をするから、あれ以上は自分が壊れかねないって、[太字]自分がそれを一番よく分かってるんだ[/太字]」
朱肉「........そっか、事変が起こっても強くなるのは能力だけだから.......」
朝露「そう。だから今、それを..........」
朝露「[太字]それを分かった上で、あの人は誘発してるんだ[/太字]」
朱肉「え?」
[太字][大文字]______「【メルクリウス】!!」[/大文字][/太字]
朱肉「!?」
瞬き一つ、躑躅色の閃光が目の前を過ぎ去ってゆく。
描かれたのは星の軌道のようであり、
[太字]それは一直線に雷鳴の元へと駆けていった。[/太字]
掲げた木刀が肌を打ちつける音、身体が風を切る音、雷鳴の音が混ざる。
彗星同士が瞬く間にあちらこちらへと飛び回り、次第には目で追えなくなっていく。
砂漠の風のような砂ぼこりが辺りを覆い尽くしていく。
レモン「.........夏祭さん.......!」
ハッとしたように、彼女が肉切り包丁を振り回した時。
真っ二つに切れた空気の先に見えたのは、
[太字]______一つの雷哮だった。[/太字]