嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
レモン「ぶっ放しますよ_____[太字]『[漢字]凶暴なる一撃[/漢字][ふりがな]クレセント・アクト[/ふりがな]』[/太字]!!」
『 っ、さっきから危なっかしい........!! 』
そう言って、彼はシュルシュルと音を立てて、また次の姿に変わっていく。
[太字]明るいくるくるとした茶髪とタンザナイトのループタイを揺らめかせて、手をかざす。[/太字]
『 [太字]『[漢字]人魚の監獄[/漢字][ふりがな]アクアリウム[/ふりがな]』[/太字].........! 』
放たれるのは水の球体。
朱肉「______何があるか知らないけどさせないっ、[太字]『[漢字]囲[/漢字][ふりがな]かご[/ふりがな]め[漢字]篭目[/漢字][ふりがな]かごめ[/ふりがな]』[/太字]!!」
樹皮の複雑に絡み合って作られる手毬に、水の球体は水風船のよう弾ける。
[小文字]夕凪「[太字]............ちょっと出すしかない、な[/太字]」[/小文字]
夕凪「______[太字]『[漢字]可逆転移[/漢字][ふりがな]リバースワールド[/ふりがな]』[/太字]!!」
続けざま、蜃気楼のように現れるのは一人の男。
黒いサングラス、規則正しく身にまとわれたスーツ、
右手には拳銃、ベレッタ92。随分とレトロ趣味なご様子で、
[太字]拳銃は火を吹いた。[/太字]
[太字]正確に、耳の先を裂く。[/太字]
『 っ、ぁ゛.........!! 』
夕凪「よそ見すんじゃねーよ........!」
レモン「っ、捨て飯さん、今なら..........」
捨て飯「[太字]..............。[/太字]」
レモン「[太字]..........捨て飯さん?[/太字]」
[水平線]
レモン「[太字]..........捨て飯さん?[/太字]」
ほんの少しだけ、感傷に浸っていたところ、声をかけられた。
捨て飯「っあ、すいません........」
捨て飯「[太字]______少しだけ、昔の事を思い出してたんです[/太字]」
捨て飯「[太字]そう言えばこの能力のキッカケになったのは、柊翔がよく転ぶからだったなって[/太字]」
声がするまではすっかり忘れていた。
[太字]この前まで、ただの恨みの種でしかなかったから。[/太字]
レモン「............」
捨て飯「[太字]..........急に、声がして。それで思い出したんです。[/太字]」
レモン「[太字]...........声?[/太字]」
捨て飯「...........そう、声。その声、不思議な感覚がするんです」
捨て飯「[太字]根拠もないのにあの子の事、今は助けられる気がする。[/太字]」
[太字]〝 ______計りを知れず慈愛よ、救けを求めゆ者を解かせん 〟[/太字]
[太字]ってね。[/太字]
捨て飯「[太字]______だから、踏み出そうと思う[/太字]」
捨て飯「............。」
知らない何かを知る感覚。
それは決して、いいものではない。
頭にチューブを刺されて、無理やりに存在しない記憶を押し込まれているような感じ。
その思いの丈を吐き出すように、私は。
捨て飯「 [太字][明朝体]______再生と燐光 音劇の回想
鏡奏でる忘却の旋律
痛みは劇薬となり苦しみは毒薬となり
万能薬の慈愛 牙を向け[/明朝体][/太字] 」
[太字]もちろん私は、こんな言葉の羅列を知らない。[/太字]
ただ知らない間に知っていて、口がそれを覚えていて、
口を動かしていく度、するすると出ていく。
[太字]まるで、本当に、呪文みたいに。[/太字]
捨て飯「..........レモンさん。」
レモン「.........」
捨て飯「[太字]______背中。押してくれて、ありがとうございました。[/太字]」
レモン「、!」
レモン「..........何なのそれ、全部終わってからにしてよね」
彼女は驚いて、それでも、乾いた笑いを私に向けた。
捨て飯「..........よく分からないけど、私、行ってきますね。」
レモン「...........それなら、後悔、しないでよね。[太字].........全部、ぶつけてきてあげてよ。[/太字]」
レモン「[太字]______分かったんなら、..........いってらだよ。[/太字]」
誘われる絶望の波は、深くて暗くて、それこそ、無光層。
それでも、深い闇の底で、何かが灯る。
...........小さな光。
[太字]でもそれは、確かに『自分』だった。[/太字]
疑いも、恐れも、怒りも、優しさも、何もかも、全部を抱きしめて、静かに胸の内は燃えている。
これまで押し殺した感情の数々の合間で『それ』は、[太字]深く奥底で眠り姫となって佇んでいた。[/太字]
胸の奥が熱くなる。
心臓ではない、もっと深い場所が脈打つ。
[太字]呼吸が苦しくなるほど、身体中が光に満ちていく。[/太字]
[太字]自分の弱さも、今までの過ちも、目を逸らした過去も。[/太字]
[太字]すべてを抱えて、受け入れる。[/太字]
これが、私のすべて。
[太字]これが、私の______[/太字]
捨て飯「[太字]______『 [漢字]魂想開鎖[/漢字][ふりがな]こんそうかいさ[/ふりがな] 』!![/太字]」
[太字]ふわりと、若草色に色付き、辺りは暖かい空気に包まれた。[/太字]