嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
朱肉「レモンさ、なにして、」
夕凪「..........レモン、?」
朝露「............」
捨て飯「っ.........!!」
映るレモンさんの身体は、赤い。
[太字]赤く、赤く、どこまでも。[/太字]
[太字]閃光のようになぜか身体が眩く赤く灯り、炎がぶつかり合いぱちぱちと鳴る幻聴が未だ聞こえる。[/太字]
レモン「______[太字]【[漢字]謝肉祭[/漢字][ふりがな]しゃにくさい[/ふりがな]】[/太字]........」
[太字]______なぜか、彼女の声まで聞こえる。[/太字]
随分と、派手な幻覚を私は見ていて、
[太字]突如鮮血のような赤い光が、結界内に充満する。[/太字]
捨て飯「.........!?」
笹淵「な、何が起こって......!!」
その光の中心で、赤い星屑が集まり、人の形を成す。
それは足元から、ゆっくりと。
星屑が顔の辺りを形成し始めた時、それは喋り出す。
[太字]口元をにたりと、少し歪に広げながら。[/太字]
「______そうじゃん、やっと分かった」
「...........最初っから、ずっと」
レモン「[太字]______『私自身の肉』を使えば良かったんだ[/太字]」
それは確かに、レモンさんの声で喋っている。
[太字]ただ、酷く違和感を感じるほど、その姿は幼い。[/太字]
確かに服装や瞳の色は彼女そのもの。
しかし今と変わり、
[太字]蜜柑を薄めたような橙の髪色、
薄らと映る額に爛れた赤色の皮膚の痕、
ただ細くしなびた手足に、痛々しく咲き乱れるいくつもの[漢字]青紫の花[/漢字][ふりがな]アザ[/ふりがな]。[/太字]
[太字]それは彼女が隠した、残酷で凄惨な過去の、現実の投影。[/太字]
捨て飯「っ、何が起こって.........」
朝露「お前、さっき死んだはずじゃ、」
『 まだ死んでない.........[太字]再生しやがった[/太字].........!? 』
『 どういう事だよ.........!! 』
レモン「...........私の能力【謝肉祭】の全てを出すためには[太字]『新鮮な肉』が必要になる[/太字]のは、知ってるでしょ。」
レモン「[太字]だけど、それ以上でもそれ以下でもないの。能力に設けられてる制限は『それだけ』。[/太字]」
レモン「[太字]______だったら『自分自身の肉』は使えないなんて確証、どこにもないでしょ?[/太字]」
レモン「..........せっかく死ぬってくらいなら、自分から[漢字]命賭け[/漢字][ふりがな]ベット[/ふりがな]してヒリつく[漢字]一発勝負[/漢字][ふりがな]オール・イン[/ふりがな]くらいさせてくださいよね」
小さな、少し虚ろな瞳から向けられた不敵な笑みは、挑発的だった。
夕凪「...........っ」
捨て飯「........なに無茶してるんですか、本当に」
レモン「...........すぐそばで困ってたら、それを全力で助けるのが[太字]『大切なオトモダチ』[/太字]って関係でしょーが」
レモン「.........それとも、私たちが『オトモダチ』っていうのは間違ってる?」
捨て飯「..........!」
レモン「私はその責務を放って自分勝手に死ぬとか、そういうのができないだけなんすよ。」
レモン「[太字]向けられた期待に、できる事なら、全部応えたいから。[/太字]」
レモン「[太字]...........だからそれは、捨て飯さんも一緒っすよ。[/太字]」
捨て飯「.........え?」
元々私からすればかなり低い背丈から、さらに幼くなった背丈の彼女が私を見ている。
レモン「あの子を[漢字]救[/漢字][ふりがな]たす[/ふりがな]けてあげられるのは、きっと捨て飯さんだけなんすよ。」
レモン「[太字]私たちの誰にもできない、捨て飯さんだけができる一番の仕事っす。[/太字]」
捨て飯「...........」
レモン「[太字]だから捨て飯さん、どうか自分を信じて。[/太字]」
捨て飯「...........自分を、」
レモン「[太字]『助けられない』[/太字]とかじゃなくて[太字]『絶対助ける』[/太字]って、心の底から自分で願って。」
捨て飯「...........」
レモン「捨て飯さんならできるよ、絶対に。」
それは私に向けられた期待。
あの頃のように重い鉛のような期待ではない。
[太字]真綿で包み込むような、どこか向けられても心地のいいような期待。[/太字]
捨て飯「...........本当ですか、それ?」
『期待される事』に嬉しさを感じたのは、[太字]なぜか初めてだった。[/太字]
あれ、おかしいな。
[太字]こんな、嬉しいものだったっけ。[/太字]
レモン「私がこういう時に嘘つくようなバカ野郎だとでも?」
..........あぁ、かっこいいな。
私は、こんな感じの人になりたかったのかな。
捨て飯「............」
レモン「..........まぁそんじゃ、私は私で」
レモン「[太字]______食べ物の恨みと同じくらい、誰かを傷つけた時の恨みが怖いって、教えてあげますよ[/太字]」
レモン「..........[漢字]あんた[/漢字][ふりがな]弟くん[/ふりがな]にね!!」
............やっぱり前言撤回しようかな