嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
朱肉「........え」
朝露「..........」
レモン「は......?」
捨て飯「そんなの.........嘘、じゃ........」
『 ........... 』
姿カタチ、物体、物質。
その全てを、万物を模倣する能力、[太字]【[漢字]無作為な模倣者[/漢字][ふりがな]ミスター・マスクドコピー[/ふりがな]】[/太字]
[太字]それが彼の能力だったと。[/太字]
俺が察するには、十分すぎた。
夕凪「..........[漢字]他人様[/漢字][ふりがな]ヒトサマ[/ふりがな]に成りすましといて、何がしたかったんだ」
『 .........やっぱり、何も分かってない 』
『 僕が何でここまで堕ちたと思ってるんだよ 』
『 [太字]_______僕は罪に手を染めてまで堕ちたのに[/太字] 』
笹淵「........まさか、変身できたのも、」
『 [漢字]Ⅺ[/漢字][ふりがな]11[/ふりがな]の席、『[漢字]嫉妬[/漢字][ふりがな]エンヴィ[/ふりがな]』の器.........それが僕 』
笹淵「!!」
『 .........皆みたいになりたいってこと、さっさと分かってよ!!!! 』
『 [太字]【エントロピーマスク】[/太字]........ 』
『______『[漢字]八咫烏[/漢字][ふりがな]やたがらす[/ふりがな]・[漢字]火[/漢字][ふりがな]ひ[/ふりがな]ノ[漢字]環[/漢字][ふりがな]わ[/ふりがな]』!!』
緑炎が彼の体に纏わったと認知した次の瞬間。
[太字]その緑が風を焼き尽くす轟音を立てて一瞬の内に輪となり広がる。[/太字]
その矛先、
朝露「おいレモン!!」
レモン「っ、やばっ」
朝露「掴まッ........クソッ遅れた、あっつい!!」
レモン「あ、っ........あ.......!!」
[太字]二人が、分断される。[/太字]
レモン「...........っ、はぁ、はぁ........!!」
レモン「[太字]........違う、やめて、[/太字]」
レモン「[太字]やめてよ!!熱いのはもう嫌だって!!!![/太字]」
朱肉「レモンさん!?」
声に振り向くと、緑炎に囲われている彼女の姿がある。
ただ周りですら、熱波で皮膚が爛れそうなほどに熱い。
[太字]これが、彼の怒りの感情の全てなのかと。[/太字]
近づこうとすれば感応してこちらを睨み、
近づかせないと言うように彼は炎を強めて、一言。
『 人間の構成元素は〜、炭素と、酸素と、水素でできてま〜す。 』
『 つまりさぁ、? 』
『 [太字]______よく燃えるんだよね。[/太字] 』
無慈悲にも、後ろの両手はその脳天を貫くように緑炎を放った。
ブフォアッ!!!!
レモン「っ、[太字]あ゛あ゛あぁぁあぅああっっ!!!![/太字]」
『 うわ〜........やっぱ断末魔ってうるさいねぇ〜....... 』
『 まぁ辛いだろうけど.......[太字]10秒もしたら脳も蒸発する[/太字]と思うから、それまで我慢して? 』
レモン「[太字]う゛う゛うううぅっっ、あぁっ、あ゛ぁああ......!![/太字]」
カラカラン......
レモン「.........っ、死ぬ........[太字]嫌だ、嫌だ嫌だいやだ!![/太字]」
レモン「[太字]まだ........全然終わってない、幸せになってない.......!![/太字]」
レモン「[太字]しあ、わせ........に.......!![/太字]」
彼女は、藁にも縋る想いから、さいごまで包丁に手を伸ばしていた。
[太字]...........その全ては、『幸せ』を掴むために。[/太字]
朝露「........っ、おい、上手いこと火は消せないのか!?」
夕凪「できない、そもそも、消せるかどうかすら......!!」
朱肉「........はぁっ、はぁっ、はっ........」
結界の中が騒がしい。
轟々と音を燃えて燃え上がる緑炎、彼女の断末魔、それを見て阿鼻叫喚する人々。
その中で、
[太字]グシャリ[/太字]
[太字]そんな肉体の裂ける音がしたのを聞いた者は、もちろん誰もいない。[/太字]
笹淵「っ、ここは一発俺に.......!!」
その[漢字]最中[/漢字][ふりがな]さなか[/ふりがな]混沌に怯まず、一歩前に出た彼は弓を構えて、
笹淵「...........。」
それを放つ。
笹淵「______見えた」
笹淵「[漢字]付与[/漢字][ふりがな]エンチャント[/ふりがな]:[漢字]旋風[/漢字][ふりがな]テンペスト[/ふりがな]、」
笹淵「[太字]______『[漢字]鳶氷雨[/漢字][ふりがな]トビヒサメ[/ふりがな]』![/太字]」
三つの矢が放たれ、風圧で炎が消し飛ぶ。
夕凪「っ、消された........か.......」
夕凪「[太字]______!![/太字]」
[太字]しかし、もう手遅れであった。[/太字]
レモン「.............」
『 .........まぁ、[太字]自殺したくもなるよね。[/太字]御愁傷様。 』
[太字]腹部に、一直線に、赤く、赤く、それは突き刺さる。[/太字]
[太字]血が、広がる。
血が、肌をなぞる。
血が、滴る。[/太字]