嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
[太字]『 もう役目を果たした君なんだから、死んでもいいんじゃない? 』
『 もうやるべき事成すべき事全部やった、そんな自分に存在価値はあるって思えるの? 』[/太字]
「............。」
確かにそうだ。
[太字]俺にはもう、やる事がない。[/太字]
[水平線]
朝露「..........。」
夕凪が鏡に引きずり込まれてから。
[太字]俺は、結んだ長い長い三つ編みの髪留めを解いた。[/太字]
鏡代わりに光る赤紫のタイル床に、もう腰の辺りまで伸びた自分の髪が映る。
そろそろ腰の辺りまで伸びそうだなと法螺吹いてたのがいつだっけ。
[太字]まぁ、いいや。[/太字]
朝露「........で、話って?」
朝露『 .........単刀直入に言うよ。 』
朝露『 [太字]君、もうこの世界において存在価値ないよね?[/太字] 』
朝露『 [太字]君自身、それは思ってるよね?[/太字] 』
朝露「.........。」
........流石自分、と言うべきか。
朝露『 [太字]もう役目を果たした君なんだから、死んでもいいんじゃない?[/太字] 』
朝露『 [太字]もうやるべき事成すべき事全部やった、そんな自分に存在価値はあるって思えるの?[/太字] 』
「............。」
確かにそうだ。
[太字]俺にはもう、やる事がない。[/太字]
........[漢字]演[/漢字][ふりがな]や[/ふりがな]る事やった俺にもう、生きてる意味はないかもしれない。
争いすべてを終えた兵士は、黙って戦場を去るのが仕事かもしれない。
[太字]俺は、死ぬべきなのかもしれない。[/太字]
なのに。
[小文字]朝露「俺はまだ........生きていたい」[/小文字]
朝露『 .......は? 』
朝露「[太字]俺はまだ........生きていたい[/太字]」
なんでこんな時だけ、天邪鬼になるんだろう。
俺はまだ、死にたくないのかな........?
別にもう、生きたいわけでもないのに?
朝露『 ッ.......それが君の答えなの? 』
朝露『 ファイナルアンサー? 』
朝露「........うん。」
朝露「俺は生きたくないかもしれないけど。」
朝露「[太字]俺はそれ以上に死ぬのが怖いだけの、臆病者だからさ。[/太字]」
[水平線]
夕凪「.........っ」
夕凪『 お前は目の前にいて何もできないで見殺しにしてきたんだよ。 』
夕凪『 [太字]分かるだろ?[/太字] 』
夕凪「.........」
[水平線]
[太字]「出して!ここから出して!!扉開けてよお母さん!!」[/太字]
[水平線]
[太字]「何で僕を殺さなかったんですか!!」[/太字]
[水平線]
[太字]「あは、あはは、あはははははははははははははははははははは!!!!」[/太字]
[水平線]
夕凪『 こんなんで [太字]"この先未来を背負っていく、大事な奴ら"[/太字] とか........w 』
夕凪『 親父の事も弟の事も見捨てて、未来背負ってく大事なやつらの気持ちも考えられないで。 』
夕凪『 [太字]随分と笑える話してくれるもんだなぁ?[/太字] 』
夕凪「........」
.........分かっていた。
[水平線]
[太字]「もう、救われたいなんて甘ったれた事考えたくないの!!」[/太字]
[水平線]
そうだよ。
[太字]俺は、見捨ててきた。
救おうと足掻いて、諦めて、見捨てた。[/太字]
それでもこの勝手気ままな正義を貫き続けてきたのは。
[太字]確かに一回だけ自分の正義で救えた事があったから。[/太字]
あの日あの行動を取って良かったのかは分からないけど、後悔自体はなかった。
拒絶されたら。それが一番怖かったのに、あの日あの一歩を踏み出していたのは。
[太字]全部、あのヒーローのおかげだった。[/太字]
願わくば、もう一度だけ来てくれませんか。
今泣くことのできない俺の元に、来てくれませんか。
俺のヒーロー。
[太字]______ "クラージュヒーロー" 。[/太字]