嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
夕凪「...........」
言っちゃえば何段階目かの僕による僕というキャラの変わった後だけど、その僕は自分の意思で存在してるものじゃないことが多い。
[太字]中身が見えないんだ。[/太字]
その中身はカミングアウトしない限り、自分しか知らない。
なぜなら『 "人の" 中身』ってものは、自分の感情の核心だから。
[太字]______今の僕は、中身が見えない。中身がない。[/太字]
まるで人間じゃないみたいな、人間以外みたいな、まるで未確認生命体みたいな.........
[太字]例えるんだったら、不気味な『生物』みたいな。[/太字]
[水平線]
夕凪side
夕凪「........別にそれは悪いことじゃねーよ、罪でもなんでもない」
夕凪「"罪"とか、本当は誰かが決めることじゃないのは分かってるけどな」
夕凪「ただ、これは知っといてほしいかな。」
夕凪「[太字]_____全部の想いが一方通行とは限らないってこと。[/太字]」
.........お前が知らないってだけ。
夕凪「多分皆も、何なら俺も、誰かに頼ってる部分はある。」
夕凪「だからこそそれだけじゃない、お前だってそうだ。」
もふもふのぬいぐるみに対して笑顔で、時にはムカつくくらいのドヤ顔で指図してきたり、
時には凹んだりしているのを見て、俺らは『ついて行こう』と初めて思える。
信じようって、初めて思える。
夕凪「朱肉が"自分らしくいたい"って思うのは、願うのは、別に罪でもなんでもない。」
仮面の下の弱気な部分だってきっと、アイツラなら愛してくれるよ。
聖人君子なんてこの世にはいない。
全く完璧でなくたっていい。
[太字]ありのままの姿の朱肉が俺らの隣で、退屈なくらいに何気なくいてくれるだけで、それでいい。[/太字]
けど、一つだけお願い事をするとすれば。
夕凪「[太字].........朱肉は、誰かの "希望" になれるようでいてほしい[/太字]」
どんなに朱肉が迷っても、どんなに自分を疑っても、朱肉はいつでも一筋の光を差し込ます存在でいてほしいと。
[太字]きっと朱肉じゃないとできない事だと、ただ強く思っている。[/太字]
確かにあの時、[太字]"もう戻れない"[/太字] と自覚はした。
それまで何をするにも手当たり次第で、ずっと淡い靄の中でいるみたいな気分だったから。
確かにその日から何もかも変わり果ててじゃしまったけど、"成長"は絶え間なく僕らを襲っているけれど、
[太字]朱肉も俺も皆も、何も変わってない。[/太字]
夕凪「.......そこんとこ、忘れんなよ」
まぁ、忘れたら思い出させるまでだけど。
[水平線]
朱肉side
先生の目が真っ直ぐにこちらを見つめる。
その視線が、通り抜けていくように透明で澄んでいて。
朱肉「.........先生、ありがとう」
深く、息を吸った。
僕は生きている。心臓が動いている。
いつしか、落ち着いていた。
保健室の扉を閉じる直前に振り返ると、
「 もしも忘れたんなら 」
「 ............その時は説教な 」
そう控えめに呟く、優しい笑顔の先生がいました。
[太字]先生は、どこか苦しそうでした。[/太字]
朱肉「............」