嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
朱肉「はぁッ、 ッ......はぁッッ」
本当は知ってるよ。
片頭痛なんかじゃないって。
[太字]拒絶反応だってこと、とっくに知ってるよ。
僕のなかにあった僕の世界が崩れたんだよね、知ってるよ。
僕の事だもん。[/太字]
朱肉「.............」
ただただグロテスクな物質に涙の塩味だけが積もる。
目の前の光景は『異常』であり、それ以上でもそれ以下でもなかった。
[太字]______あぁ、これが『僕』なんだな。[/太字]
足音が近づく。
きっとさっき遠ざかった足音と同じものだろう。
でも、何でさっきよりたくさん足音が多く聞こえるんだろう。
[太字]幻聴か何かなのかな。[/太字]
頭がぐわんぐわんしてるから反響してそう聞こえてるのかもしれない。
[小文字][小文字]『 ____、男子トイレで...... 』
『 ___? 大丈夫かな 』
『 ___の先生って今いた? 』
『 ____。呼んでくるね 』[/小文字][/小文字]
「 ............ 」
正直思考するような気力など僕にはもう残っているわけもなく、
このまま目が覚めなければいいなど、そんな戯言を思って静かに骸のふりをした。
[水平線]
[小文字][小文字]『 ______きろー 』[/小文字][/小文字]
...............。
[小文字]『 .............お寝ぼけ野郎だなホント 』[/小文字]
...............?
『 [太字]............起きろ、いつまで寝てて何になるんだ[/太字] 』
「 っ、!? 」
[水平線]
[斜体][太字]ガバッ[/太字][/斜体]
「あ、起きた」
朱肉「!?」
「......そんなビックリする事か?()」
声のする方を向くと、いたのは[太字]夕凪先生。[/太字]
優しい声と心配そうな顔でこちらと向かい合うように椅子を向けて座っていた。
朱肉「.........ここ、保健室ですか」
夕凪「......そうだな。何か朱肉が卒倒したみたいなの言われて急いで行ったよ」
夕凪「.........今のところ体調は大丈夫か?」
朱肉「[小文字]いまn[/小文字]んんっ.........まぁ、今のところはぼちぼち......」
夕凪「まぁ、その感じだと喉は多少やられてるか......」
夕凪「どうする? まだそんなに顔色は良くないし、俺は早退する方がいいと思うんだが」
朱肉「............」
どうしよう。まだ、答えてられてないんだよな
夕凪「まぁどっち選ぶかは全部朱肉だけど、無理はしない方が自分のためだと思うぞ」
朱肉「.........じゃあ、早退しときます........」
夕凪「分かった。荷物とか用意しとくからちょっと待ってろな」
朱肉「はい.........」
[斜体]ガラガラ.....
[太字]ピシャン。[/太字][/斜体]
朱肉「............」
何でだろう。
前まではできたのにな。
[小文字]朱肉「[太字]........他人に打ち明けるのって、こんなに怖かったっけ[/太字]」[/小文字]
自然と布団の裾を掴む力が強くなる。
窓の外は相変わらずと言ったところで、願っても変わりはしない。
「 好きです 」
突然すぎる言葉が正直受け入れ難くて言葉を再三繰り返す。
[太字]「 好きです 」
これだけで僕には苦しく見える、一本の文字列がこの世にあろう事か。[/太字]
朱肉「............」
こんなんで悩んでるくらいなら、本当にいっそ目覚めない方が良かったなー。