嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
もうこの日常も慣れた。
できるならこのまま日常に溶け込みたい。
思い出さなくていい。
思い出したってつらいだけから。
朱肉「.........」
でも、何でだろう。
図書室前に呼ばれるってだけなのに、[太字]なぜか胸騒ぎがする。[/太字]
[小文字]朱肉「........行くしかないんだよね、これ」[/小文字]
だって、呼ばれた人の宿命は破り捨てられない、呪いみたいな契りなんだから。
[水平線]
「......あ、朱肉くん!?」
朱肉「あ、え!?」
すぐそば、僕はいろはさんに遭遇してしまった。
学校とは言ってもそんなすぐに遭遇するとは思わないじゃん.........
朱肉「............」
いろは「............」
朱肉「.........えっと......」
いろは「........このまま図書室ってのもなんだし、ちょっと人少ないとこ......行ってもいいかな?」
朱肉「......あ、うん.........」
気を遣えるあの子は謙虚そうな笑顔でこちらに微笑むが、どうしてもその顔は強張っている。
隠し事か、強がってるだけか、僕の前で威張ってるだけの愚か者か。
............何がしたいの。
何が言いたいの。
[太字]それとも何もしないの?[/太字]
広がるのは被害妄想ばかりで、片頭痛かも分からず身体は頭の痛みを訴えてくる。
生憎頭痛薬は今持ち合わせていないんだよ、僕の頭。
______そうやって着いたのは1階の美術室だった。
そう言えばいろはさん、美術部所属だったっけ。
朱肉「.........え、っと......?」
いろは「え、あ、」
いろは「.......ごめん、ね。私事でこんなとこ連れ出しちゃって」
朱肉「あ、いや、それは別にいいんだけど.........」
朱肉「伝えられてた要件、さっきから何も聞いてないなって」
いろは「っ............」
僕の率直な気持ちを伝えたけど、目の前の彼女は黙りこくってしまった。
いろは「............そう、だよね。そう思うよね。」
いろは「.........私も、朱肉くんに思ってる事を伝えなきゃ、だよね」
いろは「[太字]朱肉くんは私に思ってた事を言ってくれたから[/太字]」
朱肉「、? え、えっと.......うん、.....?」
妙な突っかかりを覚えたが、よく分からない。
言ってる意味が分からないって言うか............
いろは「.........朱肉くん」
いろは「 [太字]______私、朱肉くんの事が好きなんです[/太字] 」
朱肉「[太字]..............え[/太字]」
[太字]よくわからない脱力感と共に、なぜか視界が歪む。
______頭を抑えても、いつまでも頭の悲痛は鳴り止まなかった。[/太字]