嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
朱肉「.........」
今日も雨だ。いつもより強い雨で外が騒々しく、
窓はそれに悲鳴を上げているよう、内側で作られた結露の涙を流している。
一番窓側の席の僕を邪魔するには、あまりにも十分すぎた。
左で雨の打ち付けられる音が響いていて、
教室の中はクラスメイトがめっちゃ騒いでてもはや居場所じゃない。
んで右手の方、今日も響く黄色い悲鳴に廊下は包まれている。
逃げ場がない.........
........とか思って湿っぽい左側に逃げるように廊下に顔を出すと、
「 キャァァァ翼く〜んこっち見て〜!! 」
「 ちょっと〜?翼くんは私のなんですけど〜 」
「 いや私のものよ! 」
「 キィヤァァァァァァァァァ 」
...........。
朱肉「......何か断末魔に近い悲鳴聞こえなかった???(((」
ま、まぁいいか........いや良くないんだけどさ
どう考えても何か変なのいた.........
瑠偉「お、今日も翼のやつは囲まれてんなー」
朱肉「あ、瑠偉」
瑠偉「本当、翼ってモテるんだよなー.......仲良くなれたのが奇跡かもしれない」
ここでの『モテる』って言うのは異性は当然、同性も含まれてる。
顔はもちろん整ってるし、僕とは大違いなくらい背は高いし。(179cm)
文武両道で弓道部入ってて、おまけにセンス良いんだよ。
そんな翼くん、改め.........[太字]"[漢字]白瀬[/漢字][ふりがな]しらせ[/ふりがな] [漢字]翼[/漢字][ふりがな]つばさ[/ふりがな]"[/太字] くんは、[太字]そういう人なんだ。[/太字]
そんな翼くんと仲良くなれたって言う瑠偉くんも瑠偉くんだし。
まぁそりゃ周りに女子集まるよね。そりゃ当然だよね。
というかこれで学校内一番じゃないって、この学校の顔面偏差値どうなってんのかな.........
朱肉「.........てかこれ、同じクラスじゃなくて良かったのかもね」
瑠偉「そう......だね.....w あんな女子の群衆に巻き込まれたらひとたまりもないだろうし」
朱肉「ぺしゃんこにされそう」
???「おー二人とも何してんのー?」
朱肉「ッわ、ビックリした......[太字][漢字]雅人[/漢字][ふりがな]まさと[/ふりがな][/太字]か......」
[太字]雅人[/太字]「あー翼かー。今日も囲まれてんなー。」
目の前の彼、[太字]"[漢字]稲塚[/漢字][ふりがな]いなづか[/ふりがな] [漢字]雅人[/漢字][ふりがな]まさと[/ふりがな]"[/太字] は呑気そうに、女子に押し押されを繰り返される翼を眺めている。
朱肉「...........呑気だね」
雅人「友達がチヤホヤされてたら誰だって鼻が高くなるもんだろよ〜」
瑠偉と翼くん、そして雅人くんの三人は、よく行動を共にしてる仲良し三人組だ。
僕は途中から混ぜてもらった立場だから、今は四人組だけど。
瑠偉「.........てか雅人、クラスメイトと話してなかった?わざわざ中断してこっち来たの?」
雅人「あ、そうそう。そう言えば俺朱肉宛ての伝言預かってたから話しに来たんだった」
朱肉「え、僕宛ての伝言?[小文字]てか記憶力大丈夫なのそれ[/小文字]」
雅人「そうそう。確か2組の、甘夏さんから」
朱肉「甘夏さん.........あぁ、あの人か。」
陽の光でオレンジ色にも見える、そんな明るい茶髪が目に浮かぶ。
"[漢字]木佐貫[/漢字][ふりがな]きさぬき[/ふりがな] [漢字]甘夏[/漢字][ふりがな]あまなつ[/ふりがな]" 、それが彼女の名前だった。
ちょっと関係ないが、最初[漢字]木佐貫[/漢字][ふりがな]きさぬき[/ふりがな]って苗字としては珍しい気がする。
朱肉「で........その甘夏さんがどうかしたの?」
雅人「甘夏さんに『"明日の昼休みに図書室前で会えないか"って[太字]いろは[/太字]から伝言を預かってるんだけど』って言われてさ」
朱肉「うん.........えっと......うん???」
え、雅人の伝言が『明日の昼休み図書室前で会いたい』って言う話で?
でそれは甘夏さんが預かった[太字]いろはさん......[漢字]字見[/漢字][ふりがな]あざみ[/ふりがな] いろはさん[/太字]の伝言で?
朱肉「.........なるほど理解した」
雅人「よし(?)」
いろはさんか.........委員会一緒だし、やっぱそっち関連の話なのかな。