嘘つきたちの輪舞曲【Lier's world】
私は汚れた存在。
望まれてなどいない。
.........でも、それを知ってるのは私を作った人だけ。
私を愛してくれている人たちは、何も知らない。
[太字]何も知らないで、私を愛している。[/太字]
それが確かに生きるたった一つの理由だったけど、同時にそれは私の首の枷ともなっていた。
[太字]______私とアナタじゃ、血の繋がりなんてないんだから。[/太字]
もう、放っておいてよ。
限界になって飛び出して。
その先出会った少女は今、私の目の前にいる。
今じゃ虚しい記憶を埋めてくれるように『 お兄ちゃん 』と彼は言ってくれる。
伽藍堂「.........お兄ちゃん?」
ほら、こうやって呼んでくれる。
[太字].........そう、出会ったのは少女じゃない、少年だった。[/太字]
[太字]『 能力最適移植化実験 』[/太字]
どこぞの製薬会社が裏でやっていたと言う、一歩踏み外せば世界が終わりを迎えるようなもの、
[太字]彼はその[漢字]実験台[/漢字][ふりがな]モルモット[/ふりがな]の一人だった。[/太字]
つけられていたのを壊したであろう首輪、ところどころについたアザ、伸び切った髪の毛、
[太字]それら全てが実態を物語っていた。[/太字]
物心ついた頃から実験台だった彼は、まともに『常識』なんてものを知らない。
『お兄ちゃん』と呼んでは[漢字]毎回[/漢字][ふりがな]いつも[/ふりがな]私に聞いてくる。
懐いているのが、リーダーと私くらいしかいないから。
[太字]でも、質問には何度言われたって答えられない。[/太字]
「.........どうしたんですか?」
伽藍堂「お兄ちゃん、[太字]......"感情"、何[/太字]」
「............。」
「.........ごめんね、[太字]お兄ちゃんは分からないんだ[/太字]」
「何回探してもわからないんだよ」
伽藍堂「.........図書室、ないの?」
「本の情報に頼ってみても、分からなかったんですよ」
「.........また今度、分かったら教えてあげますから」
伽藍堂「.........うん、分かった。」
伽藍堂「ありがと、[太字]チャックのお兄ちゃん[/太字]」
[太字]チャック[/太字]「............寄り添えなくてごめんなさい」
私も、分からないんです。感情ってものが。
[太字]泣き方も、笑い方も、もう忘れたんですから。[/太字]
______何もかもが悲しいし、笑われ始めてから全部忘れたんです。
[太字]...........怒り方、以外はね。[/太字]
ロケットペンダントにしまわれた家族との写真を眺めて思いに浸る。
[太字]______私はルタール・チャック。[/太字]
私は汚れた存在。
望まれてなどいない。
[太字]だから全てどうでもいいのだ。
最期くらい、神様なんて運命を殺すなんて馬鹿になって死んでやる。[/太字]
[太字]______もう[漢字]感情を忘れた私[/漢字][ふりがな]バーサーカー[/ふりがな]なんだ、一生不幸でも構わない。[/太字]