二次創作
集え、水禁学園!
005号室 〜水城 海&サーシャ・ウォーテル〜
立て続けに転移ということで、俺はもうそこまで驚いていなかった。もう誰よりも冷静な気さえする。どころか呑気に色んなサーシャ(人数的に)の顔を思い出しては少し笑ってしまう。
「何呑気に笑ってるんですか」
「いや、もうどうでも良くなって。これもいいかなと」
そして複数のサーシャを頭の中に浮かべて一つ、思い当たる。あれ?うちのサーシャって...
「何か、お前特徴薄くない?他のサーシャと比べて」
「目を離したらすぐ忘れてしまいそうな顔のあなたが何を言うんですか」
そう、サーシャはこの毒舌以外には特徴がない。しかもこの毒舌、当たり前だが皆に構わず言うわけではないので本当に影が薄くなるのではないか。そう俺は危惧している。そしてサーシャは機嫌を損ねたようにそっぽを向くと、俺に問う。
「じゃあ何ですか、私にスライムにでもなれと?」
「そうは言わん。ってかそれパクリだろ...」
複数ある世界のサーシャの内、二体がスライムとか訳分からんだろ。個性を奪うな、個性を。うーむ、どうしたものか。毒舌を誰彼構わず披露したら、それはただの嫌な奴だしな。やはり語尾だとか一人称が大事か?我、ワシ、サーシャ...どれもピンとこない。
「一度語尾に『なのです』と付けてくれ」
「何で私がそんなことをしなければならないのです?嫌なのです」
口では否定しながら、案外ノリが良かった。しかしそのギャップらしきものに堪えきれず、俺は吹き出す。
「何笑ってるのです!私も真剣なのです!」
「いや、それはもういい...。キャラブレというか崩壊が酷いし、何より俺が耐えられない」
「そうですか...」
どうやら本人も他の自分と比べて特徴が薄いのを気にしているようだ。だから俺のふざけた提案にも乗ってきたと考えられる。我が世界が誇る[漢字]水魔法使い[/漢字][ふりがな]アクア[/ふりがな]、サーシャ・ウォーテル!いや、迫害されてるんだっけか、まあいい。彼女が変わった暁には、伝記でも書いてやろう。タイトルはそうだな、ある水魔法使いの革命という内容から考えると、よし。「AQUA The IMAGINATION」にしよう。何だこの漂ってくるパクリの香りは。
「あなたももっと真剣に考えてください」
「んー、そうだな」
「お前様よ、わしの魔法を見るが良いぞ」
「水城様、お帰りをお待ちしていました」
「オレは魔法使い随一の腕を誇るんだぜ!」
…あれ?元のサーシャどんなだったっけ?話し方を変える度に不機嫌さが増すサーシャ。月曜日なのに機嫌悪いなコイツ。もしかして夏服がいいのか?何それ、キャ?ワ!イイv。
俺は一通りサーシャの人格革命を試したあと、とある結論に辿り着く。少し気恥ずかしいので、壁にかかった時計を見て頭を掻きながら言う。
「まあ、何だ。その、もう元のサーシャでいいよ。というかそれが良い」
「......はぁ、まあそうですね。私もそれがいいと思い始めたところなのです」
言って「あっ」と口を押さえるサーシャ。もしかして自分を忘れたのだろうか。俺は肩をすくめて苦笑した。そもそも言われて変えた自分は本当に自分なのか。そもそも本当の自分とは何なのか。
導入は馬鹿な話だったが、俺はそんな哲学的なことを考え始めたのだった。まあ、哲学が何なのかよく分かってないんだけどな。
[水平線]
006号室 〜トビウオ&サーシャ〜
「カリギュラ効果」という言葉を知っているだろうか。名前は聞いた事はあっても「〇〇効果」が多すぎてどれがどれだか分からないと言う人もいるかもしれない。なので簡単に説明すると「禁止されたものをしたくなる」あの現象のことだ。僕は元のここに来る前の世界で、このカリギュラ効果を上手く利用してサーシャを軽く操っていた。そのことを完全に失念していた僕は言ってしまった。
「ここは学校だから、みんな仲良くしないといけないんだ。だからあのスライムのサーシャを討伐したら『ダメ』だよ」
「......了解」
あ。気づいた頃にはもう遅い。サーシャはなんだかニヤニヤしながら肩を回す。え、この娘おてんばが過ぎない?こんなに強いカリギュラ効果見たことないぞ。もしかして僕はこの効果を自由自在に操る「カリギュラー」だったのか。思っているうちにサーシャが部屋を出ようと扉に手をかけていた。まずい、まずいまずい。あの扉にかけられた手は、次はスライムサーシャさんにかけられる。スライムサーシャさんが強くても弱くてもどっちにしても危険だ。討伐してほしくないが、返り討ちにもされてほしくない。トビウオにされた恨みが無いとは言わないが、だからといって痛い目に遭ってほしいとも思わないのだ。
颯爽と外へ出るサーシャ。まずい。ここは006号室。教室の席から考えて、スライムサーシャさんは隣の部屋。5秒もかからず到達する事は明白だ。どうしようどうしよう。
もう考えている暇もない。後のことも考えずに僕は水槽から飛び出した。さてどれだけ持つか、我慢のしどころだ。幸い扉は開いたままで、僕はぴちぴちと時間を掛けながら扉の外へ出た。するとノックされてから開けるまでに時間を要したか、今まさに007号室の扉から光が漏れ出すのが見えた。
「さあ出てきなさい、スライム!私が討伐してあげ.....」
「やめろサーシャああああ」
どこにそんな体力があったか自分でも分からないが、廊下の床から高く跳ねた僕はサーシャの頬に横から突撃した。突然の出来事にサーシャは目を丸くさせて
「な、何⁉︎」
「マジで今回だけは...本当にいけないことだ...今後は...もっと自重.....し...ろ」
水のないここではもう、僕はぴちぴちと跳ねることしかできず次第に意識が朦朧としてきた。開いた扉の奥にはスライムサーシャさんとティアラさんが状況がよくわからずにぼーっとしている姿が見えた。
次に目を覚ましたのは僕たちの部屋のベッドの上、に置かれた水槽の中だった。
「さっきはごめんなさい。あれは流石に私も反省するわ」
「うん、猛省してくれ」
サーシャはスライム討伐をやめて僕の安全を確保することにしたようだ。良かった、良識があって。後で謝った方がいいかな。水槽の中をくるりと一周する僕を、サーシャは左手で頬杖をついて、右手の指でつんとつついた。
立て続けに転移ということで、俺はもうそこまで驚いていなかった。もう誰よりも冷静な気さえする。どころか呑気に色んなサーシャ(人数的に)の顔を思い出しては少し笑ってしまう。
「何呑気に笑ってるんですか」
「いや、もうどうでも良くなって。これもいいかなと」
そして複数のサーシャを頭の中に浮かべて一つ、思い当たる。あれ?うちのサーシャって...
「何か、お前特徴薄くない?他のサーシャと比べて」
「目を離したらすぐ忘れてしまいそうな顔のあなたが何を言うんですか」
そう、サーシャはこの毒舌以外には特徴がない。しかもこの毒舌、当たり前だが皆に構わず言うわけではないので本当に影が薄くなるのではないか。そう俺は危惧している。そしてサーシャは機嫌を損ねたようにそっぽを向くと、俺に問う。
「じゃあ何ですか、私にスライムにでもなれと?」
「そうは言わん。ってかそれパクリだろ...」
複数ある世界のサーシャの内、二体がスライムとか訳分からんだろ。個性を奪うな、個性を。うーむ、どうしたものか。毒舌を誰彼構わず披露したら、それはただの嫌な奴だしな。やはり語尾だとか一人称が大事か?我、ワシ、サーシャ...どれもピンとこない。
「一度語尾に『なのです』と付けてくれ」
「何で私がそんなことをしなければならないのです?嫌なのです」
口では否定しながら、案外ノリが良かった。しかしそのギャップらしきものに堪えきれず、俺は吹き出す。
「何笑ってるのです!私も真剣なのです!」
「いや、それはもういい...。キャラブレというか崩壊が酷いし、何より俺が耐えられない」
「そうですか...」
どうやら本人も他の自分と比べて特徴が薄いのを気にしているようだ。だから俺のふざけた提案にも乗ってきたと考えられる。我が世界が誇る[漢字]水魔法使い[/漢字][ふりがな]アクア[/ふりがな]、サーシャ・ウォーテル!いや、迫害されてるんだっけか、まあいい。彼女が変わった暁には、伝記でも書いてやろう。タイトルはそうだな、ある水魔法使いの革命という内容から考えると、よし。「AQUA The IMAGINATION」にしよう。何だこの漂ってくるパクリの香りは。
「あなたももっと真剣に考えてください」
「んー、そうだな」
「お前様よ、わしの魔法を見るが良いぞ」
「水城様、お帰りをお待ちしていました」
「オレは魔法使い随一の腕を誇るんだぜ!」
…あれ?元のサーシャどんなだったっけ?話し方を変える度に不機嫌さが増すサーシャ。月曜日なのに機嫌悪いなコイツ。もしかして夏服がいいのか?何それ、キャ?ワ!イイv。
俺は一通りサーシャの人格革命を試したあと、とある結論に辿り着く。少し気恥ずかしいので、壁にかかった時計を見て頭を掻きながら言う。
「まあ、何だ。その、もう元のサーシャでいいよ。というかそれが良い」
「......はぁ、まあそうですね。私もそれがいいと思い始めたところなのです」
言って「あっ」と口を押さえるサーシャ。もしかして自分を忘れたのだろうか。俺は肩をすくめて苦笑した。そもそも言われて変えた自分は本当に自分なのか。そもそも本当の自分とは何なのか。
導入は馬鹿な話だったが、俺はそんな哲学的なことを考え始めたのだった。まあ、哲学が何なのかよく分かってないんだけどな。
[水平線]
006号室 〜トビウオ&サーシャ〜
「カリギュラ効果」という言葉を知っているだろうか。名前は聞いた事はあっても「〇〇効果」が多すぎてどれがどれだか分からないと言う人もいるかもしれない。なので簡単に説明すると「禁止されたものをしたくなる」あの現象のことだ。僕は元のここに来る前の世界で、このカリギュラ効果を上手く利用してサーシャを軽く操っていた。そのことを完全に失念していた僕は言ってしまった。
「ここは学校だから、みんな仲良くしないといけないんだ。だからあのスライムのサーシャを討伐したら『ダメ』だよ」
「......了解」
あ。気づいた頃にはもう遅い。サーシャはなんだかニヤニヤしながら肩を回す。え、この娘おてんばが過ぎない?こんなに強いカリギュラ効果見たことないぞ。もしかして僕はこの効果を自由自在に操る「カリギュラー」だったのか。思っているうちにサーシャが部屋を出ようと扉に手をかけていた。まずい、まずいまずい。あの扉にかけられた手は、次はスライムサーシャさんにかけられる。スライムサーシャさんが強くても弱くてもどっちにしても危険だ。討伐してほしくないが、返り討ちにもされてほしくない。トビウオにされた恨みが無いとは言わないが、だからといって痛い目に遭ってほしいとも思わないのだ。
颯爽と外へ出るサーシャ。まずい。ここは006号室。教室の席から考えて、スライムサーシャさんは隣の部屋。5秒もかからず到達する事は明白だ。どうしようどうしよう。
もう考えている暇もない。後のことも考えずに僕は水槽から飛び出した。さてどれだけ持つか、我慢のしどころだ。幸い扉は開いたままで、僕はぴちぴちと時間を掛けながら扉の外へ出た。するとノックされてから開けるまでに時間を要したか、今まさに007号室の扉から光が漏れ出すのが見えた。
「さあ出てきなさい、スライム!私が討伐してあげ.....」
「やめろサーシャああああ」
どこにそんな体力があったか自分でも分からないが、廊下の床から高く跳ねた僕はサーシャの頬に横から突撃した。突然の出来事にサーシャは目を丸くさせて
「な、何⁉︎」
「マジで今回だけは...本当にいけないことだ...今後は...もっと自重.....し...ろ」
水のないここではもう、僕はぴちぴちと跳ねることしかできず次第に意識が朦朧としてきた。開いた扉の奥にはスライムサーシャさんとティアラさんが状況がよくわからずにぼーっとしている姿が見えた。
次に目を覚ましたのは僕たちの部屋のベッドの上、に置かれた水槽の中だった。
「さっきはごめんなさい。あれは流石に私も反省するわ」
「うん、猛省してくれ」
サーシャはスライム討伐をやめて僕の安全を確保することにしたようだ。良かった、良識があって。後で謝った方がいいかな。水槽の中をくるりと一周する僕を、サーシャは左手で頬杖をついて、右手の指でつんとつついた。