二次創作
集え、水禁学園!
003号室 〜宮沢 海&サーシャ・ガヴディーネ〜
俺たち二人の部屋...。屋敷に住んでいたとはいえあの広さだ。しかしあれでも互いを意識するには十分だった。それが、いきなりこんな部屋である。糖分の過剰摂取によって死んでしまう恐れがある。気を引き締めて、俺はサーシャに微笑みかける。
「大変なことになったな...」
「は、はい。そうですね...」
どこか上の空でそう言うサーシャは可愛くて、つい揶揄ってしまいたくなる。
「なんで緊張してるんだ?」
「わ、分かってるくせに、意地悪です」
頬をかあっと赤らめながら拗ねるサーシャを見て、つい口元が緩む。しかし俺もこうでもしないと変なことを口走ってしまいそうだ。今までもつい口を滑らせることもあったしな。そして俺が壁際へ学生カバンを置くと、その数秒後にサーシャは俺の置いた隣にとことこと移動してカバンを下ろした。そして一つ、言い忘れていたことがあった。
「あ、そうだサーシャ」
「なんですか?カイ」
「制服姿も、その、可愛いな」
「へ?も、もも勿論知っていますとも!伊達にマギポリス[漢字]一[/漢字][ふりがな]いち[/ふりがな]の可愛さを誇っていません(ドヤさ)」
照れながらも胸を張るサーシャ。いつもならもう少しすらっと言えていた筈なのに、今日は何故か言葉に詰まってしまった。サーシャが横にいれば、それがどんな状況であろうとそれだけで良いような気がしてくる。それがましてやこんなにも平和な場所なのである。確かにサーシャが沢山いるのは異様な光景だが、俺はサーシャを間違えない自信がある。それに色んな年齢のサーシャがいるというのは、なんだかアルバムをこっそりと読んでいるような感じがして、少しこそばゆいが新鮮だ。
しかしこのままだと二人とも頭から煙が出てしまいそうだ。俺は風呂を沸かすためにボタンを押すことにした。
[中央寄せ]✕ ✕ ✕[/中央寄せ]
学園で初めての食事を済ませて風呂も終えた俺は、歯ブラシをとろうと思い洗面所のある部屋の扉を開ける。サーシャが風呂に入っていたのを忘れて。
「ふえ、カカっカイ⁉︎」
「なっ⁉︎ち、違う!待て、とりあえずカーテンを閉めよう?」
俺は慌てて扉をバタンと閉める。心臓がドキドキ、どころかバクバクいっている。クソ...なんでこの寮はビジネスホテルみたいな作りなんだよ。すると風呂場から
「い、いいですよ」
と聞こえてきた。幸い先程はサーシャが浴槽に浸かっていたため、特に何も見えなかった。ふう、最悪の事態は避けられたか。少し火照った顔に滴が伝う首元、後は仄赤い肩や首筋を流れた水が綺麗な鎖骨に溜まっていく程度しか見えなかったし。何も見てない。いや寧ろ見える範囲は全部見たとも言えるな、これ。
「そ、その...ごめん」
「い、いえカーテンを閉めていなかった私が悪かったです」
「ま、まあ何も見えなかったから、その、安心して欲しい」
「そ、そうですか」
ぎこちない二人の声がこだまする。その気まずさにそれきり黙ってしまう。風呂場には、水のピトンという音と歯ブラシのシャカシャカとした音だけが響いていた。
[水平線]
004号室 〜キマ・レウミデス&サーシャ・クリスタロス〜
「マスター。先ほどからこの転移災害の原因を解析しているのですが検討がつきません」
「僕もだよ、サーシャ。さて、どうしたものか。この服装といい、訳が分からない」
無表情にそう事実を告げるサーシャに頷く。そして僕の問いかけにいくらか考えて、サーシャは答えた。
「教室では状況の把握を優先して''ワタシ''が話しておりました。しかし」
無機質に喋るサーシャは「しかし」という言葉を口にした瞬間に表情が豊かになった。まるで別人、いやほぼ別人なのか。
「しかし、一回''わたし''が喋った時は皆もそっちの方がリラックスしてたし」
そしてまたその綺麗な顔は表情を失う。目まぐるしく変わるそれに僕はもう慣れてしまったのだろうか。
「この転移についての情報が分かるまでは、基本ワタシが出る必要はないと考えますがどうしましょう」
判断を委ねられた僕は軽く逡巡して、決めた。
「そうだな、じゃあ教室ではサーシャ...あー、僕の幼馴染のサーシャでいてもらおう。二人になったときの判断は君に任せる」
「承知しました、マスター。一度切り替わります」
またもや表情が復活したサーシャは僕を見て、クスリと笑った。本当に忙しい。そして僕の胸を指でつつくと本当に楽しそう言う。
「キ、キー君っ自己紹介の時、すっごい緊張してた。言葉が変に固くなって」
言い終わると、今日抑えていた分の笑いを一気に出すかの如く笑って目尻に溜まった涙を拭った。僕は少しムッとして言い返す。
「仕方ないだろう、【[漢字]蘇生の奇蹟[/漢字][ふりがな]リザレクション[/ふりがな]】以降友好的に話したのはサーシャだけなんだから。他はミゼットとダイクだ、戦闘中に会話における緊張なんてする筈がない」
「ふふ、そうだねー」
そんなことを言っていると突如卓上の魔法陣に食事が現れた。同時に出現した紙切れにはこれから午前七時頃に朝食、午後七時頃に夕食が転送される旨が書いてあった。昼食は教室で食べるとのこと。
「おー、美味しそう!竜の肉だって!」
表情豊かにそういう彼女は軽やかな足取りでテーブルへと向かい、ガタンと椅子を引くとそこに座った。
「ほら、キー君も」
僕も呼ばれたので同じように椅子を引く。
「じゃあ食べるとするか」
「うん!」
嬉しそうに小さく切った肉を口に運んでいくサーシャを見ていると、初めの一口が舌に触れるその刹那、浮かんでいた満面の笑みが消えた。
「どうした、美味しくなかったのか?」
「いえ、美味しいですよ」
予想外にも帰ってきた声は感情をはらんでいなかった。無表情にもぐもぐと口を動かすサーシャ。お、お前も食べたかったのか...
「あれ?わたしが食べようとしたお肉が⁉︎」
勝手に切り替わったことで初めの一口を失ったサーシャが嘆く。そんなサーシャを見て、僕も食べようとナイフとフォークに手を伸ばす。
さあ、ゆっくり食べるとしよう。僕の人格が切り替わることはないのだから。
俺たち二人の部屋...。屋敷に住んでいたとはいえあの広さだ。しかしあれでも互いを意識するには十分だった。それが、いきなりこんな部屋である。糖分の過剰摂取によって死んでしまう恐れがある。気を引き締めて、俺はサーシャに微笑みかける。
「大変なことになったな...」
「は、はい。そうですね...」
どこか上の空でそう言うサーシャは可愛くて、つい揶揄ってしまいたくなる。
「なんで緊張してるんだ?」
「わ、分かってるくせに、意地悪です」
頬をかあっと赤らめながら拗ねるサーシャを見て、つい口元が緩む。しかし俺もこうでもしないと変なことを口走ってしまいそうだ。今までもつい口を滑らせることもあったしな。そして俺が壁際へ学生カバンを置くと、その数秒後にサーシャは俺の置いた隣にとことこと移動してカバンを下ろした。そして一つ、言い忘れていたことがあった。
「あ、そうだサーシャ」
「なんですか?カイ」
「制服姿も、その、可愛いな」
「へ?も、もも勿論知っていますとも!伊達にマギポリス[漢字]一[/漢字][ふりがな]いち[/ふりがな]の可愛さを誇っていません(ドヤさ)」
照れながらも胸を張るサーシャ。いつもならもう少しすらっと言えていた筈なのに、今日は何故か言葉に詰まってしまった。サーシャが横にいれば、それがどんな状況であろうとそれだけで良いような気がしてくる。それがましてやこんなにも平和な場所なのである。確かにサーシャが沢山いるのは異様な光景だが、俺はサーシャを間違えない自信がある。それに色んな年齢のサーシャがいるというのは、なんだかアルバムをこっそりと読んでいるような感じがして、少しこそばゆいが新鮮だ。
しかしこのままだと二人とも頭から煙が出てしまいそうだ。俺は風呂を沸かすためにボタンを押すことにした。
[中央寄せ]✕ ✕ ✕[/中央寄せ]
学園で初めての食事を済ませて風呂も終えた俺は、歯ブラシをとろうと思い洗面所のある部屋の扉を開ける。サーシャが風呂に入っていたのを忘れて。
「ふえ、カカっカイ⁉︎」
「なっ⁉︎ち、違う!待て、とりあえずカーテンを閉めよう?」
俺は慌てて扉をバタンと閉める。心臓がドキドキ、どころかバクバクいっている。クソ...なんでこの寮はビジネスホテルみたいな作りなんだよ。すると風呂場から
「い、いいですよ」
と聞こえてきた。幸い先程はサーシャが浴槽に浸かっていたため、特に何も見えなかった。ふう、最悪の事態は避けられたか。少し火照った顔に滴が伝う首元、後は仄赤い肩や首筋を流れた水が綺麗な鎖骨に溜まっていく程度しか見えなかったし。何も見てない。いや寧ろ見える範囲は全部見たとも言えるな、これ。
「そ、その...ごめん」
「い、いえカーテンを閉めていなかった私が悪かったです」
「ま、まあ何も見えなかったから、その、安心して欲しい」
「そ、そうですか」
ぎこちない二人の声がこだまする。その気まずさにそれきり黙ってしまう。風呂場には、水のピトンという音と歯ブラシのシャカシャカとした音だけが響いていた。
[水平線]
004号室 〜キマ・レウミデス&サーシャ・クリスタロス〜
「マスター。先ほどからこの転移災害の原因を解析しているのですが検討がつきません」
「僕もだよ、サーシャ。さて、どうしたものか。この服装といい、訳が分からない」
無表情にそう事実を告げるサーシャに頷く。そして僕の問いかけにいくらか考えて、サーシャは答えた。
「教室では状況の把握を優先して''ワタシ''が話しておりました。しかし」
無機質に喋るサーシャは「しかし」という言葉を口にした瞬間に表情が豊かになった。まるで別人、いやほぼ別人なのか。
「しかし、一回''わたし''が喋った時は皆もそっちの方がリラックスしてたし」
そしてまたその綺麗な顔は表情を失う。目まぐるしく変わるそれに僕はもう慣れてしまったのだろうか。
「この転移についての情報が分かるまでは、基本ワタシが出る必要はないと考えますがどうしましょう」
判断を委ねられた僕は軽く逡巡して、決めた。
「そうだな、じゃあ教室ではサーシャ...あー、僕の幼馴染のサーシャでいてもらおう。二人になったときの判断は君に任せる」
「承知しました、マスター。一度切り替わります」
またもや表情が復活したサーシャは僕を見て、クスリと笑った。本当に忙しい。そして僕の胸を指でつつくと本当に楽しそう言う。
「キ、キー君っ自己紹介の時、すっごい緊張してた。言葉が変に固くなって」
言い終わると、今日抑えていた分の笑いを一気に出すかの如く笑って目尻に溜まった涙を拭った。僕は少しムッとして言い返す。
「仕方ないだろう、【[漢字]蘇生の奇蹟[/漢字][ふりがな]リザレクション[/ふりがな]】以降友好的に話したのはサーシャだけなんだから。他はミゼットとダイクだ、戦闘中に会話における緊張なんてする筈がない」
「ふふ、そうだねー」
そんなことを言っていると突如卓上の魔法陣に食事が現れた。同時に出現した紙切れにはこれから午前七時頃に朝食、午後七時頃に夕食が転送される旨が書いてあった。昼食は教室で食べるとのこと。
「おー、美味しそう!竜の肉だって!」
表情豊かにそういう彼女は軽やかな足取りでテーブルへと向かい、ガタンと椅子を引くとそこに座った。
「ほら、キー君も」
僕も呼ばれたので同じように椅子を引く。
「じゃあ食べるとするか」
「うん!」
嬉しそうに小さく切った肉を口に運んでいくサーシャを見ていると、初めの一口が舌に触れるその刹那、浮かんでいた満面の笑みが消えた。
「どうした、美味しくなかったのか?」
「いえ、美味しいですよ」
予想外にも帰ってきた声は感情をはらんでいなかった。無表情にもぐもぐと口を動かすサーシャ。お、お前も食べたかったのか...
「あれ?わたしが食べようとしたお肉が⁉︎」
勝手に切り替わったことで初めの一口を失ったサーシャが嘆く。そんなサーシャを見て、僕も食べようとナイフとフォークに手を伸ばす。
さあ、ゆっくり食べるとしよう。僕の人格が切り替わることはないのだから。