二次創作
集え、水禁学園!
イングリット先生から配られた手紙の内容はこうだ。少し長くなるので、それぞれを把握してるヤツは適当に飛ばして読んでいるだろう。俺もペアの人たちについてはなんとなく分かったので、サーシャ達の部分のみを探して読む。
…ふむふむなるほど、大体分かったが、数日はこの紙を片手に学園生活を送る必要があるかな。ん?サーシャは全員で十人だと思っていたのだが…。もう一つサーシャの枠と流水 蘭という今日の自己紹介では聞いていない名前があった。うーん、まだ増えるの?多くない?いくらなんでも水ヒロインが多すぎる!
と、皆もこの二人分の名前が気になったか頭上にはてなを浮かべるといった感じだった。それに気がついたか、イングリットさんはニヤッと笑って言う。
「あー、その二人は明日転校してくる予定らしい。お姉さ、いや先生にしようか!先生もよく知らないが、初心なキミたちと違ってこの娘たちは大人らしいぞー?進展はないのかな、キミたちは!どうだい少年っ」
「は?いやいやっそんな!」
「そ、そうですよ!ボクとマルヤマさんはち、違いますからぁ…!」
「そんな反応だから弄り甲斐があるんだよねーっ」
いいように弄ばれる二人を尻目に、小さく宮沢とガウディーネが話し始める。
「なあサー...じゃない、ガヴディーネ。これ、いつになったら帰れるんだろう?」
「あのぅ、カイ...」
「どうした?」
「その、二人で話すときはサーシャって呼んでほしい...です」
「な、なんだよ改まって。...サ、サーシャ」
こ、こいつら...人前で堂々とイチャつき始めやがった。なんだか苛立ちの感情が現れる。目を逸らすと、サーシャと目が合う。俺は理由の分からない恥ずかしさに見舞われ、ふいっとまた別方向に目を逸らした。さ、流石は高校。すぐに色恋沙汰に結びつくんだな...。そんな俺たちとは違い、あの幼サーシャと『寡黙なヨウ』じゃない、『多盾のヨウ』を見てほしい。黙ってどこかを見つめるヨウを幼サーシャが不思議そうに見つめる。可愛い。是非その平和さを見習いたいところだ。
「......」
「ねえヨウ、どこみてるの?」
「...どうやったら帰れるかを考えて、外を見ていた」
「そっか、一緒にかんがえようよ」
「分かった」
やはり皆、帰りたいよな。俺も日本に帰りたい。そしてトビウオくんだが、こちらは普通に平和じゃなかった。話の内容が。
「あのサーシャさん。質問なんだけど、この体って戻るんでしょうか」
「例えばの話なんだけど」
「?」
「クッキーを焦がしちゃったとき、君はどうする?」
「次のを...作る?」
「うん、そうだね。...そういうこと」
「いやおいどういうことだよ」
「だから、失敗したクッキー見ても『この焦がしたクッキーをどうやって成功したクッキーに変えよう』なんて考えないでしょ?というかできないでしょ?」
「つまり...?」
「端的に言えば、私にはできない」
「.........はぁ」
トビウオくんは机に置かれた水槽の中でくるっと回り、いじけたようにサーシャのいない方向を向いた。あまりに酷い答えに、途中で敬語が崩れていた。よし、トビウオくんのサーシャは「おてんばサーシャ」としよう。
「あ、そうそう今日はこれだけだから!自分のペアサーシャちゃんと寮の部屋で仲良くねー!じゃ、先生も帰るねー!あ、誰か飲み行くー?」
イングリット先生は初めから返答が来ないのを予測していたか、誰も待つことなく教室を去った。おお...嵐が去った。今日はなんだか忙しかったから疲れた。皆もそうなのか教室がざわついている。
黒板を見ると、席順に対応した部屋を使ってくださいと書いてあった。なるほど、ざわつきの原因にはこれも含まれていたか。既に同居している人もいるかもしれないが、女性と同棲というのはかなり緊張する。俺だってそうだ。女の子を家に呼んだことなんてない。いや、妹の友達は来ていたっけ。つまり俺には関係ない。
するとキマ・レウミデスにサーシャ・クリスタロスさんが腕を回して言った。
「同じ部屋だね、キー君!」
キマは頬を赤らめるでもなく、ただただ不快そうに舌打ちをした。俺がこのクリスタロスさんから感じた不気味さと何か関係はあるのだろうか。そういえばこの男、キー君と呼ばれているのか。俺がそう呼ぶには馴れ馴れしいと言うか、居た堪れなくなる気がする。ここは、そうだな。隣の部屋になるわけだし、挨拶するか。
「なあ、俺は今からお前をキー坊…」
「やめとけ」
雨傘に止められた。うーん、良いと思ったんだけどなぁ。幸いキー坊(心中で思うことにする)は聞いていなかったようだ。
「ダメか?」
「本当に良いと思うか?」
「ああ、タフそうな感じがして良いと思う」
「やめとけ」
やはりダメか。バカな問答を繰り返していると、あちらのサーシャ、アクエリオスさんがこっちにとててっとやって来た。
「水城さんですね、今後ともよろしくお願いします。そちらのウォーテルさんも。私はサーシャです」
「あら、アクエリオスさん。仲良くできたら嬉しいです。私もサーシャです」
なんだこのピリついた雰囲気...。その内誰が本当のサーシャかを決める闘いを始めちゃうんじゃないの?まあ誰も何も、たとえそれがスライムであろうと全員が本当のサーシャであることには違いない。基本優劣をつけようとすると碌なことにならない。できれば平和に過ごしたいものだ。
チャイムが鳴る。それを皮切りに皆席を立った。で、寮はどこなのだろうか。まだ教壇で倒れている爺さんをボクっ娘サーシャさんだけが心配する。優しいな、癒されるな。「隣の芝生は青い」という。ならば今は隣のサーシャの髪色がより青く見えているのかもしれない。
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寮につくと、それぞれが自分の席を思い浮かべてそれに準ずる扉を開けた。俺たちは五番目の席なので005号室に入る。サーシャと同室に...。健全な高校生である俺は、同年代の女の子と共に同じ部屋で過ごすと言うシチュエーションにドギマギしていた。
仕方ないだろう。死にかけていたからこそ色恋なんて頭に浮かびすらしなかったものの、平和な状況下で住まいを共有するなんて冷静になると嬉しさもあれど恥ずかしさが勝り、少し気後れしてしまう。そんな俺の心中を察することないサーシャは
「ここが私たちの部屋ですか...」
なんて部屋をぐるりと見てから、壁際に学生鞄を置いた。うむ、考えたって余計に悪くなるだけだ。考えるな、感じるな。なんだよそれ、本当に生きてんの?
「なあサーシャ。なんでそんなに落ち着いていられるんだ?もしかして男慣れしてるのか?」
「ななな何言ってるんですか?私はあなたなんて意識してませんからねっ!」
「へいへいそうかい」
おぉ...予想していなかったツンデレ的な言葉に不覚にもときめいてしまった。ダメだ、どんどん意識してしまう。サーシャの中心には意識のみを吸い込むブラックホールでもあるのだろうか、なんて馬鹿なことを考えてしまうくらい視線が引き寄せられる。
部屋にある時計は午後6時を示している。そういやご飯ってどうすんだろ。風呂...は部屋にあるか。ダメだぞ俺、風呂というワードに何も反応するな。で、どっちが先に入った方が気まずくないの?分からないことだらけだ。
「サ、サーシャ。飯ってどうするか分かるか?」
「そ、そこのテーブルにある魔法陣から7時くらいに転送されるそうですよ」
魔法陣って便利だな。この技術があれば運送にかかる費用だとか、鮮度が落ちるだとか一切考えなくていいし。ぎこちない雰囲気に耐えられず、魔法陣の便利さについて考える。
「じゃ、じゃあ風呂はどうする?」
「へ?あ、ああ!お風呂ですね、どうぞ入る時は先に入ってください」
「了解」
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無心で風呂を済ましてしまいリビングへ行くと、サーシャは食事をせずに待っていた。先に食べればよかったのに。俺は苦笑しながら声をかける。
「よし、サーシャ。食べようぜ」
「は、はい!お腹が空きました」
「「いただきます」」
俺たちは手を合わせて、いや正確にはサーシャは違う動作をしていたのだが行為の意味は同じだろう。そうして俺たちはまだほんのり温かさの残った食事を口に運んだ。
…ふむふむなるほど、大体分かったが、数日はこの紙を片手に学園生活を送る必要があるかな。ん?サーシャは全員で十人だと思っていたのだが…。もう一つサーシャの枠と流水 蘭という今日の自己紹介では聞いていない名前があった。うーん、まだ増えるの?多くない?いくらなんでも水ヒロインが多すぎる!
と、皆もこの二人分の名前が気になったか頭上にはてなを浮かべるといった感じだった。それに気がついたか、イングリットさんはニヤッと笑って言う。
「あー、その二人は明日転校してくる予定らしい。お姉さ、いや先生にしようか!先生もよく知らないが、初心なキミたちと違ってこの娘たちは大人らしいぞー?進展はないのかな、キミたちは!どうだい少年っ」
「は?いやいやっそんな!」
「そ、そうですよ!ボクとマルヤマさんはち、違いますからぁ…!」
「そんな反応だから弄り甲斐があるんだよねーっ」
いいように弄ばれる二人を尻目に、小さく宮沢とガウディーネが話し始める。
「なあサー...じゃない、ガヴディーネ。これ、いつになったら帰れるんだろう?」
「あのぅ、カイ...」
「どうした?」
「その、二人で話すときはサーシャって呼んでほしい...です」
「な、なんだよ改まって。...サ、サーシャ」
こ、こいつら...人前で堂々とイチャつき始めやがった。なんだか苛立ちの感情が現れる。目を逸らすと、サーシャと目が合う。俺は理由の分からない恥ずかしさに見舞われ、ふいっとまた別方向に目を逸らした。さ、流石は高校。すぐに色恋沙汰に結びつくんだな...。そんな俺たちとは違い、あの幼サーシャと『寡黙なヨウ』じゃない、『多盾のヨウ』を見てほしい。黙ってどこかを見つめるヨウを幼サーシャが不思議そうに見つめる。可愛い。是非その平和さを見習いたいところだ。
「......」
「ねえヨウ、どこみてるの?」
「...どうやったら帰れるかを考えて、外を見ていた」
「そっか、一緒にかんがえようよ」
「分かった」
やはり皆、帰りたいよな。俺も日本に帰りたい。そしてトビウオくんだが、こちらは普通に平和じゃなかった。話の内容が。
「あのサーシャさん。質問なんだけど、この体って戻るんでしょうか」
「例えばの話なんだけど」
「?」
「クッキーを焦がしちゃったとき、君はどうする?」
「次のを...作る?」
「うん、そうだね。...そういうこと」
「いやおいどういうことだよ」
「だから、失敗したクッキー見ても『この焦がしたクッキーをどうやって成功したクッキーに変えよう』なんて考えないでしょ?というかできないでしょ?」
「つまり...?」
「端的に言えば、私にはできない」
「.........はぁ」
トビウオくんは机に置かれた水槽の中でくるっと回り、いじけたようにサーシャのいない方向を向いた。あまりに酷い答えに、途中で敬語が崩れていた。よし、トビウオくんのサーシャは「おてんばサーシャ」としよう。
「あ、そうそう今日はこれだけだから!自分のペアサーシャちゃんと寮の部屋で仲良くねー!じゃ、先生も帰るねー!あ、誰か飲み行くー?」
イングリット先生は初めから返答が来ないのを予測していたか、誰も待つことなく教室を去った。おお...嵐が去った。今日はなんだか忙しかったから疲れた。皆もそうなのか教室がざわついている。
黒板を見ると、席順に対応した部屋を使ってくださいと書いてあった。なるほど、ざわつきの原因にはこれも含まれていたか。既に同居している人もいるかもしれないが、女性と同棲というのはかなり緊張する。俺だってそうだ。女の子を家に呼んだことなんてない。いや、妹の友達は来ていたっけ。つまり俺には関係ない。
するとキマ・レウミデスにサーシャ・クリスタロスさんが腕を回して言った。
「同じ部屋だね、キー君!」
キマは頬を赤らめるでもなく、ただただ不快そうに舌打ちをした。俺がこのクリスタロスさんから感じた不気味さと何か関係はあるのだろうか。そういえばこの男、キー君と呼ばれているのか。俺がそう呼ぶには馴れ馴れしいと言うか、居た堪れなくなる気がする。ここは、そうだな。隣の部屋になるわけだし、挨拶するか。
「なあ、俺は今からお前をキー坊…」
「やめとけ」
雨傘に止められた。うーん、良いと思ったんだけどなぁ。幸いキー坊(心中で思うことにする)は聞いていなかったようだ。
「ダメか?」
「本当に良いと思うか?」
「ああ、タフそうな感じがして良いと思う」
「やめとけ」
やはりダメか。バカな問答を繰り返していると、あちらのサーシャ、アクエリオスさんがこっちにとててっとやって来た。
「水城さんですね、今後ともよろしくお願いします。そちらのウォーテルさんも。私はサーシャです」
「あら、アクエリオスさん。仲良くできたら嬉しいです。私もサーシャです」
なんだこのピリついた雰囲気...。その内誰が本当のサーシャかを決める闘いを始めちゃうんじゃないの?まあ誰も何も、たとえそれがスライムであろうと全員が本当のサーシャであることには違いない。基本優劣をつけようとすると碌なことにならない。できれば平和に過ごしたいものだ。
チャイムが鳴る。それを皮切りに皆席を立った。で、寮はどこなのだろうか。まだ教壇で倒れている爺さんをボクっ娘サーシャさんだけが心配する。優しいな、癒されるな。「隣の芝生は青い」という。ならば今は隣のサーシャの髪色がより青く見えているのかもしれない。
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寮につくと、それぞれが自分の席を思い浮かべてそれに準ずる扉を開けた。俺たちは五番目の席なので005号室に入る。サーシャと同室に...。健全な高校生である俺は、同年代の女の子と共に同じ部屋で過ごすと言うシチュエーションにドギマギしていた。
仕方ないだろう。死にかけていたからこそ色恋なんて頭に浮かびすらしなかったものの、平和な状況下で住まいを共有するなんて冷静になると嬉しさもあれど恥ずかしさが勝り、少し気後れしてしまう。そんな俺の心中を察することないサーシャは
「ここが私たちの部屋ですか...」
なんて部屋をぐるりと見てから、壁際に学生鞄を置いた。うむ、考えたって余計に悪くなるだけだ。考えるな、感じるな。なんだよそれ、本当に生きてんの?
「なあサーシャ。なんでそんなに落ち着いていられるんだ?もしかして男慣れしてるのか?」
「ななな何言ってるんですか?私はあなたなんて意識してませんからねっ!」
「へいへいそうかい」
おぉ...予想していなかったツンデレ的な言葉に不覚にもときめいてしまった。ダメだ、どんどん意識してしまう。サーシャの中心には意識のみを吸い込むブラックホールでもあるのだろうか、なんて馬鹿なことを考えてしまうくらい視線が引き寄せられる。
部屋にある時計は午後6時を示している。そういやご飯ってどうすんだろ。風呂...は部屋にあるか。ダメだぞ俺、風呂というワードに何も反応するな。で、どっちが先に入った方が気まずくないの?分からないことだらけだ。
「サ、サーシャ。飯ってどうするか分かるか?」
「そ、そこのテーブルにある魔法陣から7時くらいに転送されるそうですよ」
魔法陣って便利だな。この技術があれば運送にかかる費用だとか、鮮度が落ちるだとか一切考えなくていいし。ぎこちない雰囲気に耐えられず、魔法陣の便利さについて考える。
「じゃ、じゃあ風呂はどうする?」
「へ?あ、ああ!お風呂ですね、どうぞ入る時は先に入ってください」
「了解」
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無心で風呂を済ましてしまいリビングへ行くと、サーシャは食事をせずに待っていた。先に食べればよかったのに。俺は苦笑しながら声をかける。
「よし、サーシャ。食べようぜ」
「は、はい!お腹が空きました」
「「いただきます」」
俺たちは手を合わせて、いや正確にはサーシャは違う動作をしていたのだが行為の意味は同じだろう。そうして俺たちはまだほんのり温かさの残った食事を口に運んだ。