二次創作
集え、水禁学園!
さて、ペア組の自己紹介は終わったわけだが次は問題のサーシャたちだ。どう覚えたものか。皆 そのことについて思案しているようだ。当のサーシャたちはさも他人事のようで、大半は周りを珍しそうに見ている。すると今度は田中が手を打ち、
「話し方と声の感じでサーシャ当てクイズしてみない?覚えやすいと思うんだけど」
「利きサーシャか」
丸山は賛同したようだが、ウチのサーシャがその言葉にピクリと反応して顰めっ面になる。さも不愉快そうに髪を払うと
「私たちを思って色々提案しているのは分かりますが、利きサーシャはもう面白がってませんか?」
なんて言い出した。とんでもない、真剣に考えているのに。しかしクイズ形式というのは良い覚え方だと感じる。基本勉強より、趣味で得た知識の方が頭に残りやすいのもそういった理屈だろう。
サーシャたちを置いてけぼりに、基本日本出身の者たちを中心に話が広がる。すると日本人チームに負けず劣らずグイグイ会話に参加する積極的なアクアフェアリー、ティアラちゃんは提案した。なるほど、男子が勘違いして振られそうだ。
「二十席あるから、右左にお姉ちゃんたちと私たちペア組で半分に分かれようよ」
「お姉ちゃんって?」
俺が聞くと、
「あのスライムサーシャちゃんのこと。わたしの知ってるお姉ちゃんは元々同じアクアフェアリーだったんだけど、ここへ来た時にはお姉ちゃん、スライムになってたの。また理由を聞けたら聞きたいかな」
なんか、多分過酷な人生送ってるんだろうな。他人事のように思ってしまう。しかし所詮他人事。突き放したように思われるかもしれないが、突然分かった気になられるのも結構不快なのだ。これも俺なりの気遣いである。
「じゃあ、準備もできたところだし、君たちは後ろを向いて」
大人びたサーシャさん、席の位置的に田中の世界の方だろうか。なんだか教員がコスプレしているように見えなくもないが…そういう年齢に関わる話は命に関わる場合もあると聞く。そっとしておこう。そもそも自分の意思で制服着たんじゃないしな。
俺たちはどのサーシャの声か、せめて自分のペアのサーシャの声は聞き逃すまい、間違えるまい、と耳を研ぎ澄ませる。
「じゃあまずは私ですね。これはクイズなので、今フルネームを名乗れないのは残念ですが、必ず正解して才も可愛さも溢れ出る完璧なサーシャちゃんの名前を完璧に覚えてください!」
…これは俺のサーシャじゃないな。ん?「俺の」ってなんだよ、恥ずかしいじゃねえか。一人で羞恥心に見舞われた俺は誤魔化しにもならないかもしれないが、周りをチラと見る。すると俺と同じように少し恥ずかしそうにしている奴がちらほらいた。
それにしても自己肯定感の高いサーシャだった。なんかCV.雨◯天が担当してそうなセリフだな、なんて思いながら、雨宮サーシャのペアを探すと手が上がった。男版サーシャのような見た目をした、確か宮沢だ。
「今のは俺のサーシャだ。サーシャ・ガヴディーネ。俺には言葉の最後に(ドヤさ‼︎)って見えたね」
恥ずかしげもなく俺のサーシャと言ってしまう宮沢に感心しながらも、恋愛的な意味じゃなく、俺もサーシャとこんなくらいの信頼関係を築けたらな、なんて思う。
よし、雨宮サーシャは宮沢のペアでガヴディーネ!覚えたぞ。次は誰なのだろう、なんて少しワクワクする。そんな雰囲気の中、俺たちペア組から声を上げるものがいた。
「あの、先ほどから思っていたのだが…」
「?」
「何故今すぐ覚えようとしているんだ?名前なんて名札に書いていたらそのうち覚えるだろう?」
…確かにその通りだ。納得だ。けど。だけれど。先ほどから思っていたのなら…
[大文字][太字]「...もっと早く言ってもよかっただろう⁉⁉」[/太字][/大文字]
またもや口々にそう言う皆を見て、本日二度目の呆れサーシャはこの〔匿名〕に問うた。
「なあキミ、やっぱりそのズレたタイミングは持ちネタなんじゃないか?」
「いや、普通に記憶喪失で思い出せないんだ」
「それは今の状況に関係ないだろう。ボクにはキミがつくづく分からないよ」
この妙に知的に感じる話ぶり、なるほど特徴的だ。そういえばボクっ娘サーシャは二人いるんだな。いいよね、ボクっ娘。いかん話が逸れた。
この空気の読めない発言のせいでやる気を削がれた俺たちは名札作りに勤しんだ。そうして利きサーシャは不発に終わった。
「よし、出来たー」
皆 一様に自作の名札を感慨深そうに見つめると、それを各自自分の机に戻って置いた。と、その時。
「遅れてスマーン、少年少女ども!学園生活は楽しいかぁー?」
「…何してんスか、イングリットさん」
突如開いた扉から爆ぜるようなテンションで教員らしきお姉さんがやってきた。ほぼ全員がポカーンと口を開けている。…この人、もしかして酔ってる?そんな俺たちを気にする風もなく、その女性は顎ほどまでの長さの茶髪を揺らし、元からなのか酔いのせいか分からないが、その垂れ目で楽しそうに俺たちを順に見ると
「わぁー、サーシャちゃんがいっぱいだー!じゃあ、クラスの皆のことがまとめてある紙と、それぞれの名札配るねー。で、お姉さんも分からないことだらけだから、そこんとこよろしく」
えぇ…俺たち、ずっと無駄なことしてたの?もっと早く来てほしかった…。後、どうよろしくすればいいのん?そしてインなんとかさんはその饒舌さでまた言葉を次々と繰り出す。
「はい、このクラス…しかないけど、担任をすることになりました!さっきマ…誰だっけ?」
「丸山です」
「そうそうマルヤマ、覚えてる覚えてる。めっちゃ覚えてる。そのマルヤマ君が言ってくれた通り、イングリット先生でーす。皆の担任なので、よろしくー!あ、飲むかい少年?」
「マ、マルヤマさん!だ、ダメですからねっ」
「分かってるよ、サーシャ」
「あ、それ!サーシャって名前だけどここにはいっぱいいるから、呼び方変えた方がいいかもよー?フルネーム教えられない子達もいるし、あだ名とかつけてさっ」
名前を確認されたにも関わらず結局「少年」と呼ばれた丸山は、その酔っぱらいことイングリットさんに苦笑いしながらボクっ娘サーシャと話している。嵐のような人だ。しかし担任だと言ったな、この人。嵐は上陸後停止して、本土に居座り続けるようだ。何それ終わりじゃね?
「あ、それともう一人、お姉さんたちの世界から来てるよー!校長先生どうぞー」
扉が開く。そこから覗いた顔には皺が深く刻まれており、多くの経験を積んだのであろうことが察せられる。
「うぅむ…。やはり前回が特殊だったのだな。いきなり異世界なんぞ言う彼奴が悪い。今回の転移でももう驚かなくなったんじゃ。もうこれ以上驚く事があれば、それは死ぬときじゃわい」
老人は言って豪快に笑うと、顔を上げて辺りを見渡した。爺さんはこの教室にサーシャが複数いることをしっかりと確認する。
ジジイがぶっ倒れた。
事情を知るのだろうか。丸山が立ち上がり、皆の視線を集める。そして教壇で倒れている爺さんを指して紹介した。
「この爺さんはラスカリスさんだ。アレなところもあるが基本いい人だ。牛の…いやそれはいい。とにかくいい人ではあるから」
いい人なのは分かったが、「牛の…」が気になりすぎて正直それどころじゃない。しかし教えてくれるつもりもないようなので潔く諦めた。
俺は前のサーシャさんから受け取った紙を机に置き、まじまじと見る。なんだか俺たちの前のペアは若干不穏な感じだな。ちょっと微笑んだサーシャさんが怖かった。
さて、それはともかくとしてこの配られた紙でクラスメイトを把握するとしよう。
「話し方と声の感じでサーシャ当てクイズしてみない?覚えやすいと思うんだけど」
「利きサーシャか」
丸山は賛同したようだが、ウチのサーシャがその言葉にピクリと反応して顰めっ面になる。さも不愉快そうに髪を払うと
「私たちを思って色々提案しているのは分かりますが、利きサーシャはもう面白がってませんか?」
なんて言い出した。とんでもない、真剣に考えているのに。しかしクイズ形式というのは良い覚え方だと感じる。基本勉強より、趣味で得た知識の方が頭に残りやすいのもそういった理屈だろう。
サーシャたちを置いてけぼりに、基本日本出身の者たちを中心に話が広がる。すると日本人チームに負けず劣らずグイグイ会話に参加する積極的なアクアフェアリー、ティアラちゃんは提案した。なるほど、男子が勘違いして振られそうだ。
「二十席あるから、右左にお姉ちゃんたちと私たちペア組で半分に分かれようよ」
「お姉ちゃんって?」
俺が聞くと、
「あのスライムサーシャちゃんのこと。わたしの知ってるお姉ちゃんは元々同じアクアフェアリーだったんだけど、ここへ来た時にはお姉ちゃん、スライムになってたの。また理由を聞けたら聞きたいかな」
なんか、多分過酷な人生送ってるんだろうな。他人事のように思ってしまう。しかし所詮他人事。突き放したように思われるかもしれないが、突然分かった気になられるのも結構不快なのだ。これも俺なりの気遣いである。
「じゃあ、準備もできたところだし、君たちは後ろを向いて」
大人びたサーシャさん、席の位置的に田中の世界の方だろうか。なんだか教員がコスプレしているように見えなくもないが…そういう年齢に関わる話は命に関わる場合もあると聞く。そっとしておこう。そもそも自分の意思で制服着たんじゃないしな。
俺たちはどのサーシャの声か、せめて自分のペアのサーシャの声は聞き逃すまい、間違えるまい、と耳を研ぎ澄ませる。
「じゃあまずは私ですね。これはクイズなので、今フルネームを名乗れないのは残念ですが、必ず正解して才も可愛さも溢れ出る完璧なサーシャちゃんの名前を完璧に覚えてください!」
…これは俺のサーシャじゃないな。ん?「俺の」ってなんだよ、恥ずかしいじゃねえか。一人で羞恥心に見舞われた俺は誤魔化しにもならないかもしれないが、周りをチラと見る。すると俺と同じように少し恥ずかしそうにしている奴がちらほらいた。
それにしても自己肯定感の高いサーシャだった。なんかCV.雨◯天が担当してそうなセリフだな、なんて思いながら、雨宮サーシャのペアを探すと手が上がった。男版サーシャのような見た目をした、確か宮沢だ。
「今のは俺のサーシャだ。サーシャ・ガヴディーネ。俺には言葉の最後に(ドヤさ‼︎)って見えたね」
恥ずかしげもなく俺のサーシャと言ってしまう宮沢に感心しながらも、恋愛的な意味じゃなく、俺もサーシャとこんなくらいの信頼関係を築けたらな、なんて思う。
よし、雨宮サーシャは宮沢のペアでガヴディーネ!覚えたぞ。次は誰なのだろう、なんて少しワクワクする。そんな雰囲気の中、俺たちペア組から声を上げるものがいた。
「あの、先ほどから思っていたのだが…」
「?」
「何故今すぐ覚えようとしているんだ?名前なんて名札に書いていたらそのうち覚えるだろう?」
…確かにその通りだ。納得だ。けど。だけれど。先ほどから思っていたのなら…
[大文字][太字]「...もっと早く言ってもよかっただろう⁉⁉」[/太字][/大文字]
またもや口々にそう言う皆を見て、本日二度目の呆れサーシャはこの〔匿名〕に問うた。
「なあキミ、やっぱりそのズレたタイミングは持ちネタなんじゃないか?」
「いや、普通に記憶喪失で思い出せないんだ」
「それは今の状況に関係ないだろう。ボクにはキミがつくづく分からないよ」
この妙に知的に感じる話ぶり、なるほど特徴的だ。そういえばボクっ娘サーシャは二人いるんだな。いいよね、ボクっ娘。いかん話が逸れた。
この空気の読めない発言のせいでやる気を削がれた俺たちは名札作りに勤しんだ。そうして利きサーシャは不発に終わった。
「よし、出来たー」
皆 一様に自作の名札を感慨深そうに見つめると、それを各自自分の机に戻って置いた。と、その時。
「遅れてスマーン、少年少女ども!学園生活は楽しいかぁー?」
「…何してんスか、イングリットさん」
突如開いた扉から爆ぜるようなテンションで教員らしきお姉さんがやってきた。ほぼ全員がポカーンと口を開けている。…この人、もしかして酔ってる?そんな俺たちを気にする風もなく、その女性は顎ほどまでの長さの茶髪を揺らし、元からなのか酔いのせいか分からないが、その垂れ目で楽しそうに俺たちを順に見ると
「わぁー、サーシャちゃんがいっぱいだー!じゃあ、クラスの皆のことがまとめてある紙と、それぞれの名札配るねー。で、お姉さんも分からないことだらけだから、そこんとこよろしく」
えぇ…俺たち、ずっと無駄なことしてたの?もっと早く来てほしかった…。後、どうよろしくすればいいのん?そしてインなんとかさんはその饒舌さでまた言葉を次々と繰り出す。
「はい、このクラス…しかないけど、担任をすることになりました!さっきマ…誰だっけ?」
「丸山です」
「そうそうマルヤマ、覚えてる覚えてる。めっちゃ覚えてる。そのマルヤマ君が言ってくれた通り、イングリット先生でーす。皆の担任なので、よろしくー!あ、飲むかい少年?」
「マ、マルヤマさん!だ、ダメですからねっ」
「分かってるよ、サーシャ」
「あ、それ!サーシャって名前だけどここにはいっぱいいるから、呼び方変えた方がいいかもよー?フルネーム教えられない子達もいるし、あだ名とかつけてさっ」
名前を確認されたにも関わらず結局「少年」と呼ばれた丸山は、その酔っぱらいことイングリットさんに苦笑いしながらボクっ娘サーシャと話している。嵐のような人だ。しかし担任だと言ったな、この人。嵐は上陸後停止して、本土に居座り続けるようだ。何それ終わりじゃね?
「あ、それともう一人、お姉さんたちの世界から来てるよー!校長先生どうぞー」
扉が開く。そこから覗いた顔には皺が深く刻まれており、多くの経験を積んだのであろうことが察せられる。
「うぅむ…。やはり前回が特殊だったのだな。いきなり異世界なんぞ言う彼奴が悪い。今回の転移でももう驚かなくなったんじゃ。もうこれ以上驚く事があれば、それは死ぬときじゃわい」
老人は言って豪快に笑うと、顔を上げて辺りを見渡した。爺さんはこの教室にサーシャが複数いることをしっかりと確認する。
ジジイがぶっ倒れた。
事情を知るのだろうか。丸山が立ち上がり、皆の視線を集める。そして教壇で倒れている爺さんを指して紹介した。
「この爺さんはラスカリスさんだ。アレなところもあるが基本いい人だ。牛の…いやそれはいい。とにかくいい人ではあるから」
いい人なのは分かったが、「牛の…」が気になりすぎて正直それどころじゃない。しかし教えてくれるつもりもないようなので潔く諦めた。
俺は前のサーシャさんから受け取った紙を机に置き、まじまじと見る。なんだか俺たちの前のペアは若干不穏な感じだな。ちょっと微笑んだサーシャさんが怖かった。
さて、それはともかくとしてこの配られた紙でクラスメイトを把握するとしよう。