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鬱展開覚悟で読んで下さい

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崩壊の魔窟と勇者達の現実

#1

1話 勇者の帰還

ここはイシズエ王国。
全てはここから始まったとされる国。
国を兵器で破壊し、次々と略奪と虐殺を殺す非情な怪物を引き連れる魔王により、世界の5分の1はすでに魔王の支配下にあった。
そんな魔王を打ち倒す為にとある人間が立ち上がった。
勇者の「クリス」、戦士の「アルバート」、魔法使いの「スージィ」、僧侶の「レベッカ」の4人だ。
幼馴染という関係である4人は、
「「「「必ず魔王を滅ぼす」」」」
という志を旨に旅立っていった。
[水平線]
それから3年後。

この世で1番占い上手と呼ばれる占い師のおばあさまが真実の水晶玉を覗き、絶句した。
跡形も無く崩れた魔王城が水晶玉に映った。
「魔王軍が…魔王軍が滅びておる!」
その叫びを聞き付け、なんだなんだと言わんばかりに王国の民がおばあさまの家の前に集まった。
丁度その時。
所々凹凹になったチェストプレートを身に着けた男が王国の入口にやってきた。
「あ゛ーう゛ー」
謎の言葉を喋り始めた男の顔は、まさに廃人のようだった。
槍を構え、警戒する兵士に、ちょっと待てと言うようにズボンのポケットから煙草を取り出して、一服した後に、また喋り始めた。
「詳しいことは後。俺は3年前に魔王を倒す旅に出てきたクリスだ。王様に会わしてくれ。」
3年前の勇者が身につけていたボロボロのスカーフを自分がクリスである証拠として差し出した。
これを見た兵士は、直様王座の間にクリスを案内した。
「あなたがクリス殿か!よく戻ってきた!我、感激であ〜る!」
半泣きで王様はクリスを褒めた。
「早く話を聞きたいであ~る!さ、さ!早く民衆の前で盛大に話してくれであ~る!
おや?お仲間はどうしたのであ~るか?」
「後で話す。」
勇者からの元気の無い返事に王様は不安になった。
[水平線]
これでもかと言うような量の民衆の前でクリスは喋り始めた。
「俺らは、魔王軍を打ち破り、滅ぼす事に成功した。」
その発表に歓声が上がる中、クリスは落ち着いて興奮する民衆を宥めた。
「はい、で、みんなが聞きたいであろう仲間の行方に関してなんだが…俺だけが生き残った。」
国民はさっきの歓声から一転。ざわざわしている。
「最初に死んでいった仲間から話そうか。
最初の犠牲者は、戦士のアルバートだ。待て、気持ちはわかるが落ち着け。」[水平線]「あいつは勇敢な漢だった。所で、戦士の戦い方って分かるか?そうだ。近距離からの肉弾戦だ。あいつは、どうしても攻撃を受ける必要があったんだ。」
クリスはつらつらと話を進める。
「魔王軍の幹部が巣食う町があった。あそこで、運悪く俺らは幹部に見つかった。そして、ことごとく捻り潰された。あの幹部に善意の手加減があったから勝てたが、アルバートは幹部の攻撃で右手を失い、内臓を潰されて死んだ。」
国民は疑問に思った。
死んでも教会で蘇生できる筈では?
その質問にクリスは答えた。
「あのな、蘇生されたら体は元通りだが精神はそうとはいかないんだ。アイツは既に何回も死んだ経験がある。自分の惨い死に方なんて感じたら忘れられねーよ。現に俺は…おっと話が反れたな。んで、あれからアイツはおかしくなっていった。」
[水平線]「そうか、俺内臓潰されて死んでたのか。そっか。アハハ…ハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」アルバートが崩壊した時の記憶が脳裏を過ぎり、クリスは身震いした。
[水平線]「そんで、精神が崩壊した時とか死にかけた時に効く万能な薬草があってさ、それを使いすぎると[太字]中毒[/太字]になんのよ。ほら、これでわかるだろ?」
手の震えが止まらないクリスはまた煙草で一服した。
「当然のようにあいつは中毒になった。[小文字]…みんなそうだけど[/小文字]そして、その薬草には副作用がある。強い幻覚と幻聴に襲われるんだ。あいつは更におかしくなってついには赤ん坊みたいな言葉しか喋れなくなった。恐らくもう効果が長続きしないそれを使ってようやく正常心を取り戻したアルバートはさ、色々病んじゃってから、最期にその薬草を使って、こう言ったんだよ。『お願いだ…俺を殺してくれ…』喜んで俺はアルバートを殺したよ。1年前のことだけど今も後悔している。あの時俺はまともな判断が出来なくなってた。なんせ…いや、それは後で話すか。さて、次の犠牲者の話だ。」

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2024/05/20 22:57

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