完全読み切り恋愛短編集
「そういえば深雪、最近彼氏とどうなんよ。」
わたしの親友、[漢字]藤[/漢字][ふりがな]ふじ[/ふりがな]あいらはそう言いながら、プリ機の横にある鏡に近づきながら前髪を整えていた。
「あー...最近マジ絡みないんよね。うちらと比べて向こうは受験あるし、仕方ないのかな。」
「えーマジ?深雪、前クリスマスも彼氏と居れないって言ってたよね?やばくねそれー」
わたしとあいらが通っている高校は、中高大一貫だからエスカレーター式でそのまま進級できるけど、彼氏...李市の通っている高校は普通の公立高校。
だから12月中旬なんていう季節の中で、付き合いが悪くなるのはごく普通の事だと理解しているつもりだった。
けれどやっぱり、クリスマスすらも彼氏のそばにいられないのは辛い。
受験期だし、李市はああ見えて将来の事も考えているみたいだったから、わたしが変に止める事ができないことも同じく辛い事だ。
「あ、てかディズニーほんとごめんね。2人分のやつ...期限切れしちゃってて渡せなくて。」
そう言って、あいらは深々とお辞儀をした。
「いいよそんなの。」
「でも、彼氏学校早退したんでしょ?いやほんと...申し訳ない...」
まあ確かに、李市は基本学業優先だからなんとも言えないけど...
「でもよかったの?わたしとプリで...彼氏と遊べばよかったのに。」
「あー...いいよ。どうせバイト入れてそうだし。」
「え、バイト?深雪の彼氏勉学系なんじゃなかったっけ?」
「ちょっと前まではバイトほぼ入れずに勉強って感じだったんだけど、最近急にバイト入れるようになったんだよねー。」
えーなにそれ、とあいらは口を尖らせた。
でも本当に、最近の李市は口を開けばバイトバイトと言っている。
なんで急にそんなにシフトを入れたがるのか分からないし、何かお金が必要な事情があるなら言ってくれれば全然貸すのに。
こういう時に頼ってくれないんじゃ...もうわたしたち、一緒に居ないほうがいいのかな。
「とりまプリ撮ろ!一旦彼氏の事忘れてさー。」
あいらはわたしを励ますようにそう言って、プリ機へと誘導する。
今日はクリスマス。
本当なら李市と居たかったけど...わざわざあいらも誘ってくれたし、李市はバイトなんだろうし。
一緒にいたかったなあ。
そんな名残惜しさとともにプリ機へ入ろうとした時、ぎゅっと服の裾が引っ張られた。
「えっ......」
びっくりして思わず振り向くと、思いもよらない人物がそこにいた。
「みゆ...!」
「えっ、り、李市!?」
着崩れた制服、髪が張り付くほどの汗。
よっぽどの全速力で走りはしない限り、こんな姿にはならないはずだ。
ましてや李市が何かに対して本気になる事なんてめったにないから、余計に。
「今...友達と居る?」
「...ねえ深雪何してんのー...って、深雪の彼氏くん!?」
なかなか機械に入らないわたしを不思議に思ったのか、あいらがプリ機から出てきた。
「あ...えっと、俺マックで待ってるんで。遊び終わったらちょっと、時間ください。」
「えっ、いやいやそんな!深雪よくわかんないけど良かったね、彼氏と居なよ!わたし琴葉呼び出すし!じゃあね深雪、彼氏くん!」
まるで通り風...いや嵐のようなスピードで去っていったあいら。
状況が波乱すぎてついていけてないけど...そもそもなんで李市がここに?
「...ごめん、本当は明日でも良かったんだけど...」
そう言って、李市はわたしの首に腕をまわした。
「誕生日おめでとう、みゆ。」
「....えっ...」
首あたりを確認すると、そこには確かに、リング型のネックレスがあった。
「なんで...バイトなんじゃ...?」
「え、バイトは夜から。ごめん、もっとちゃんとしたシチュエーションで渡そうと思ってたんだけど、ディズニーなくなるしみゆ友達と遊ぶって言うし、色々タイミングが合わなくて...いや、本当は学校終わってからサプライズで渡すつもりだったんだどね!?」
必死にそう話す李市に、思わず笑いが込み上げた。
....そっか、そっか。
「最近、急にバイトばっかりになったのはこれを買うため?」
「あー...バレてた?うん、そうだよ。」
「勉強はいいの?受験前なのに。」
「みゆとの時間のほうが大事に決まってる。」
あまりにわたし優先な返事を即答する李市。
恥ずかしくなって、自分でも顔が赤くなっているのが分かるくらいだった。
しかも、リング型のネックレスがほしいなんて李市の前では一言も言ってないし、誕生日だって言った覚えがない。
なんで知ってるのかは謎だけど...今は、そんな事をいちいち考えるほどの余裕はなかった。
「ありがとう李市....ありがとう。」
わたしはぎゅっと、李市の手を握った。
[水平線]
「...[漢字]翠[/漢字][ふりがな]すい[/ふりがな]に色々調査したんだけど...合ってた?ほしいもの。」
「あ、なんでわたしの欲しいもの知ってるのかなと思ったら...そっか、翠か。」
翠とは今わたしが通っている空手教室の...同期?みたいなもの。翠が教室を辞めてからも時々連絡を取り合って会っている仲だ。
今となっては、翠が李市を紹介してくれなかったらわたし達は出会えなかったのかと思うと恐ろしい。
あのあと一段落してから、わたし達は琴葉ちゃんとあいらと合流していた。
「深雪先輩、彼氏さんとデートしてたんですかー?」
琴葉ちゃんは、あいらの腕に抱きつきながらそう聞いた。
本当に、琴葉ちゃんはどこから見ても200%かわいい...
「うん、ついさっきまでねー。でも琴葉ちゃんのがかわいいから、琴葉ちゃんとデートしようかなー?」
「は?おいみゆ!」
12月25日。クリスマス兼わたしの誕生日。
とっても素敵な一日になりました。
わたしの親友、[漢字]藤[/漢字][ふりがな]ふじ[/ふりがな]あいらはそう言いながら、プリ機の横にある鏡に近づきながら前髪を整えていた。
「あー...最近マジ絡みないんよね。うちらと比べて向こうは受験あるし、仕方ないのかな。」
「えーマジ?深雪、前クリスマスも彼氏と居れないって言ってたよね?やばくねそれー」
わたしとあいらが通っている高校は、中高大一貫だからエスカレーター式でそのまま進級できるけど、彼氏...李市の通っている高校は普通の公立高校。
だから12月中旬なんていう季節の中で、付き合いが悪くなるのはごく普通の事だと理解しているつもりだった。
けれどやっぱり、クリスマスすらも彼氏のそばにいられないのは辛い。
受験期だし、李市はああ見えて将来の事も考えているみたいだったから、わたしが変に止める事ができないことも同じく辛い事だ。
「あ、てかディズニーほんとごめんね。2人分のやつ...期限切れしちゃってて渡せなくて。」
そう言って、あいらは深々とお辞儀をした。
「いいよそんなの。」
「でも、彼氏学校早退したんでしょ?いやほんと...申し訳ない...」
まあ確かに、李市は基本学業優先だからなんとも言えないけど...
「でもよかったの?わたしとプリで...彼氏と遊べばよかったのに。」
「あー...いいよ。どうせバイト入れてそうだし。」
「え、バイト?深雪の彼氏勉学系なんじゃなかったっけ?」
「ちょっと前まではバイトほぼ入れずに勉強って感じだったんだけど、最近急にバイト入れるようになったんだよねー。」
えーなにそれ、とあいらは口を尖らせた。
でも本当に、最近の李市は口を開けばバイトバイトと言っている。
なんで急にそんなにシフトを入れたがるのか分からないし、何かお金が必要な事情があるなら言ってくれれば全然貸すのに。
こういう時に頼ってくれないんじゃ...もうわたしたち、一緒に居ないほうがいいのかな。
「とりまプリ撮ろ!一旦彼氏の事忘れてさー。」
あいらはわたしを励ますようにそう言って、プリ機へと誘導する。
今日はクリスマス。
本当なら李市と居たかったけど...わざわざあいらも誘ってくれたし、李市はバイトなんだろうし。
一緒にいたかったなあ。
そんな名残惜しさとともにプリ機へ入ろうとした時、ぎゅっと服の裾が引っ張られた。
「えっ......」
びっくりして思わず振り向くと、思いもよらない人物がそこにいた。
「みゆ...!」
「えっ、り、李市!?」
着崩れた制服、髪が張り付くほどの汗。
よっぽどの全速力で走りはしない限り、こんな姿にはならないはずだ。
ましてや李市が何かに対して本気になる事なんてめったにないから、余計に。
「今...友達と居る?」
「...ねえ深雪何してんのー...って、深雪の彼氏くん!?」
なかなか機械に入らないわたしを不思議に思ったのか、あいらがプリ機から出てきた。
「あ...えっと、俺マックで待ってるんで。遊び終わったらちょっと、時間ください。」
「えっ、いやいやそんな!深雪よくわかんないけど良かったね、彼氏と居なよ!わたし琴葉呼び出すし!じゃあね深雪、彼氏くん!」
まるで通り風...いや嵐のようなスピードで去っていったあいら。
状況が波乱すぎてついていけてないけど...そもそもなんで李市がここに?
「...ごめん、本当は明日でも良かったんだけど...」
そう言って、李市はわたしの首に腕をまわした。
「誕生日おめでとう、みゆ。」
「....えっ...」
首あたりを確認すると、そこには確かに、リング型のネックレスがあった。
「なんで...バイトなんじゃ...?」
「え、バイトは夜から。ごめん、もっとちゃんとしたシチュエーションで渡そうと思ってたんだけど、ディズニーなくなるしみゆ友達と遊ぶって言うし、色々タイミングが合わなくて...いや、本当は学校終わってからサプライズで渡すつもりだったんだどね!?」
必死にそう話す李市に、思わず笑いが込み上げた。
....そっか、そっか。
「最近、急にバイトばっかりになったのはこれを買うため?」
「あー...バレてた?うん、そうだよ。」
「勉強はいいの?受験前なのに。」
「みゆとの時間のほうが大事に決まってる。」
あまりにわたし優先な返事を即答する李市。
恥ずかしくなって、自分でも顔が赤くなっているのが分かるくらいだった。
しかも、リング型のネックレスがほしいなんて李市の前では一言も言ってないし、誕生日だって言った覚えがない。
なんで知ってるのかは謎だけど...今は、そんな事をいちいち考えるほどの余裕はなかった。
「ありがとう李市....ありがとう。」
わたしはぎゅっと、李市の手を握った。
[水平線]
「...[漢字]翠[/漢字][ふりがな]すい[/ふりがな]に色々調査したんだけど...合ってた?ほしいもの。」
「あ、なんでわたしの欲しいもの知ってるのかなと思ったら...そっか、翠か。」
翠とは今わたしが通っている空手教室の...同期?みたいなもの。翠が教室を辞めてからも時々連絡を取り合って会っている仲だ。
今となっては、翠が李市を紹介してくれなかったらわたし達は出会えなかったのかと思うと恐ろしい。
あのあと一段落してから、わたし達は琴葉ちゃんとあいらと合流していた。
「深雪先輩、彼氏さんとデートしてたんですかー?」
琴葉ちゃんは、あいらの腕に抱きつきながらそう聞いた。
本当に、琴葉ちゃんはどこから見ても200%かわいい...
「うん、ついさっきまでねー。でも琴葉ちゃんのがかわいいから、琴葉ちゃんとデートしようかなー?」
「は?おいみゆ!」
12月25日。クリスマス兼わたしの誕生日。
とっても素敵な一日になりました。