「ぶいあーるげえむ？？」

口いっぱいにパンをほおばりながら，私ー鈴咲　音羽は聞き返した。

知らない単語だな。

「ふふ，音羽，ケチャップついてる」そう言って笑いながら私の口元を拭くのは雪。親友である。


「VRゴーグルをつけて，仮想空間に意識・勧角ごと行くのよ」

なんじゃそりゃ。


「音羽，ゲームうまいでしょ？特に音ゲーなんてトッププレイヤーじゃない」

そういわれても…。冒険じゃないの？


そう口にすると，怪しい笑みを浮かべながら，雪はこう言った。


「歌を歌うことで攻撃ができる職業があったら？」


歌。それは，私が一度諦めた道。もう二度とできないと思っていたもの。


ほかの人にはわからないだろうけど，その言葉は，私の好奇心と欲求を大いに刺激した。


「やる」いつの間にかそう呟いていた。


「ま，判定がシビアなんだけどね」

「音羽なら，無双できるんじゃない？」


「あはは，それはないよ」無双って，冒険無理だし。

「歌ってるときは攻撃はいらないし。ま，その代わりシビアなんだけどね，判定」

え，まって，シビア？

いやいやいやいや。

「それ無理じゃん」


「音羽ならいけるでしょ！」

そういって雪は拍子抜けするぐらい楽観的な考えをさらけ出してきたのだった。

いや，無理だって…。

そうぼやく私をよそに，雪はどこか楽しそうな顔つきでスマホを捜査していたのだった。




ん？ちょ，まてよ(キ〇タクかよby主)メタい！！！！


「高くない？」


そう。お金！！！マネー！！！あーゆーおーけい？？


「私の家，お金持ちだから★」あ…(察＆諦め)，そういや，大金持ちだったな…，雪さん。


「音羽のためなら何でも買ってあげちゃう♪」

それでいいの？？？

お金持ちが。



は，はっはっは。(もう壊れた)


ま，何とかなるかぁ。







そんな楽観的な考えで始まった彼女の無双物語は，なにを紡ぎだすのだろうか。


まだ，彼女は知らない。


いろいろな出会いや発見が，この先の未来にあふれ出しているということを。